哀しい兎に笑ってほしくて

卵丸

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偽りの関係

不得意な事

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『褒めてきやがるけどアイツは俺をどうしたいんだ・・・。』

昨日、中村陸と出かけて改めてアイツが分からなくなった俺はボーッとしていると俺の名前が聞こえてきた。

「---さん、柊さん!!」

「はっはい!?」

担任の先生が怒った顔をして名前を呼ばれて俺は驚きながら返事をすると周りの生徒が大爆笑して、とっても恥ずかしかった。

「この問題、解けますか?」

先生の呆れた表情に申し訳なく思いながら答えを言って正解だったけど注意はされてしまった。

『あーもう、全部中村陸のせいだ!!』

俺は項垂れながらも授業を聞こうと必死になったが油断をするとアイツの優しそうな顔を思い出すので集中出来なかった。
やっと授業が終わり安堵の息を吐くと悲しそうな表情をした植田君が俺の席までやってきた。理由は何となくわかったが敢えて聞く事にした。

「どうしたの?」

「・・・・この前は本当にごめんなさい」

彼は涙まで浮かべながら頭を下げて案の定、あの時の事を謝ったので俺は欠かさずに直ぐに気にしてない事を説明した。

「もういいよ、俺も言わなくてごめん・・・次も南條君と一緒にゲームしよう。」

「・・・・柊君・・・・ありがとう。」

植田君は笑顔になり俺は安心していると彼は俺の腕を見つめてリストバンドを指してきた。

「このリストバンド、前はしてなかったよね。日曜日に買ったの?」

「あっうん、デザインが良かったから。」

『流石にCollarなんて言えないなぁ・・・。』

全授業が終わり部屋に戻ると宿題をした後にゲームをしていると中村陸と目つきの悪いプリン頭の男が入ってきた。

「お邪魔しまーす!」

『げぇ、誰だよ!?』

見た目で決めるのは良くないがチャラそうな男が入ってきて俺はゲームの手を止めているとプリン頭が俺に近づいてニカッと意外にも明るい笑顔を見せてきた。

「ほぉ~君が噂の柊圭兎君だね。初めまして澤村誠司です。」

澤村誠司って奴は俺が珍しい生き物のように目を輝かせて眺めていたので、とっても不愉快に思っていると中村陸が奴の頭を叩いて奴は痛かったのか疼きながら頭を押えていた。

「いてぇ!!」

「・・・ごめん、どうしても圭兎君を見たいって聞かなくて・・・。」

「俺は新種の動物か?」

俺は不快感を隠さずに澤村誠司に言うと奴はまたヘラヘラ笑って俺のゲーム画面を見てわぁ!と歓声をあげた。

「バトスマじゃん!」

「そっそうだけど?」

「なぁなぁ、せっかくだし対戦しようぜ!」

「はっはぁ?」

俺は訳が分からなくて固まっていると奴は俺のゲーム機を奪い勝手にリモコンを外して2人プレイにしやがった。

「おれはコイツにしよ~・・・陸か圭兎君どっちがやる?」

勝手にやって言ってきたので俺は腹たって完全に無視をすると澤村誠司は中村陸を誘ったが断られていた。

「そういや、お前って格ゲーが苦手だもんな~。」

「るせぇ、苦手じゃねーし!」

澤村誠司にからかわれてムカついたのか中村陸はリモコンを持ってゲームをしだしたので少しだけ気になり様子を見る事にすると・・・中村陸は想像以上に下手くそだった。

必殺技は掠って当たらないし、後ろに飛んでフィールドから落下してゲームオーバーになったり中村陸は三戦三敗していた。
その下手っぷりに俺と澤村誠司は大爆笑をしてしまった。

「あはははは、陸は相変わらず格ゲーが死ぬほど苦手だな。」

「ふは、さすがに酷い!」

「・・・次は圭兎君と勝負する。酷いってほざいた事を後悔させてやる。」

中村陸の不機嫌な顔をあまり見たことが無かったので楽しくなりながら俺は澤村誠司からリモコンを貰ってゲームを開始した。結果は俺が勝ったと言うかアイツのプレイが酷かった。
必殺技を繰り出したが俺が避けてそのままフィールドに落ちたり、俺のキャラを見失ってる内に攻撃してやられたりしていた。自分が負ける度に歯を食いしばって悔しがる姿は精々した。

「・・・・・・。」

「悔しーね、中村陸くーん?」

すると中村陸は不貞腐れてリモコンを乱暴にテーブルに置くと不機嫌な顔を隠さずにいきなり俺の両頬を引っ張った。

「いひゃい、いひゃい、やへろぉー!」

『いきなりガキっぽいことしやがって!』

俺が嫌がっていると澤村誠司がアイツの頭を強く叩いて止めてくれた。

「やめんか!」

「・・・はぁー痛かった。」

「負けるのが悔しいのは分かるけど圭兎君に当たるんじゃないの!」

「うるせー」

珍しく不貞腐れている中村陸を見ていると苦手な事も分かり少しだけ可愛げがあるなと思った。

『未だに苦手だけど、すっごくいい気分』

俺は2人にバレないように微笑んでいるとアイツらが俺に聞こえないように内緒話をしだしたので少しイラついたが関係ことなのでリモコンを戻してゲームを1人でやり始めた。

「やっぱ、俺がオカズにしてるラパンちゃんにそっくり!」

「あっそう」

その時、ニヤニヤしている澤村誠司と呆れてため息を吐いている中村陸が一瞬だけ見えた。

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