弟にするプレイじゃないよね!?

卵丸

文字の大きさ
上 下
34 / 52
禁断の関係

俺のばーかマジでばーか!! ※スパンキング有り

しおりを挟む
 この虚しさは何だろうな。
 いや、ずっと感じてた。埋まらない穴が胸にあってスースーしていた。
 でもそれを一生懸命埋めてくれようとした人達がいた。
 母ちゃんや婆さんや尚も。近所のおばさんや、肉屋のご主人やタバコ屋の奥さんも。小学生の頃から何かにつけ遊びに連れて出してくれた。春になるとタケノコ堀に連れて行ってくれたり、土手に土筆取りに行ったり、カブトの幼虫のいる場所教えてくれたり、一緒に川に泳ぎに連れて行ってくれたり。

 本当は父ちゃんがしないと行けない事、全部他人がしてくれた。

 わかってんのかよ。何が弱い者いじめは楽しいだよ。

 お前が


 お前が1番


 ガキじゃねえか!


 俺はモコが大好きなネーブルの木から手探りで実を一つ引き千切った。まだ熟していないやつは固い。
 野球のボールくらいには.................


「なんだよ。それで何かすんのか?いいぞ。投げてみろ。当たんねーよ。バーカ。ミカンなんて痛くねーぞ。ははははは!」
「じゃあ、受けてみろ」

 俺は尚の革ジャンをボトリと落とし構えた。

 これでダメなら死ぬかもしれない。母ちゃん大丈夫かな.........尚警察呼んでくれたかな?
 モコ......最後に会いたい。モコが居たから、俺......頑張れた。俺より弱かったから。
だから守らなきゃって........



 ネーブルをぎゅっと握り、振りかぶって渾身の力を込めて放った。

 あいつの顔面に向かって

 俺にはこんな事しか出来ないけど。




「コントロールは抜群だったんだよ。馬鹿野郎」


 ガンッ!


 奴の顔が吹き飛ぶ。弾かれたネーブルは屋根にバウンドして消えて行った。

 今だ!

 俺は尚の革ジャンを地面から引ったくり父ちゃんの脇をすり抜ける。

「モコーーーー!」
「こっちだ!」
「尚!」
「バッカ!心配さすな!」
「ごめん。尚。母ちゃんは.......」
「わからん。だがモコは居た。あの石垣の下にうずくまってた」
「怪我、してるのか?」
「前足が切られてたけど体は大丈夫そうだ」
「モコ.................!」
「警察は連絡した。すぐ来ると思う。刃物持ってるって言っといたから」
「どうしよう。家の中に母ちゃんが。尚.....俺....」   怖い....

「.................俺が見て来る。お前はモコを連れて道路に出とけ。警察来るから。待ってろ。いいな?」

 そう言うと尚は家の中に入って行った。

 俺は一瞬呆けた。
 なんだよ。なんでそんな.....カッコいい事出来んだよ。悔しいよ。尚.................!

「きゅーん....」

 ハッ!

「モコ!」

 モコは右足をぴょこぴょことびっこを引きながら俺に近づいて来る。俺は急いでモコを担ぎ上げ、踵を返して道路に向かって走り出した。

「ああ!モコ!ごめんな。痛い思いさせて。俺が守らなきゃいけなかったのに!」

 モコは俺の顔を弱々しくペロペロ舐める。血の匂いがした。

 鼻が痛い。喉がヒリヒリする。額が熱い。唇が震える。悔しくて、悔しくて、悔しくて.................

 門を出た所でパトカーの回転灯のチカチカする光が見えた。音はしてない。夜だからか?でも、間に合った?段々近づいて来た。これで助かる。いや、母ちゃんは?兎に角父ちゃんさえ捕まれば........



「あーーーーーーーーーーあああああーーー!!!」



 俺はビクリと固まる。
 突然背後から大声量の男の声がこだまする。
 目を先行させゆっくり振り返りそれを見る。

 下を向きながらゆらりゆらりと歩いて来た。

 それは金属バットと

 片手に..............ナイフを持った


 怪物だった。







しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

春ですね~夜道で出会った露出狂をホテルに連れ込んでみたら~

夏芽玉
BL
4月、第3週目の金曜日。職場の歓迎会のせいで不本意にも帰りが遅くなってしまた。今日は行きつけのハプバーのイベント日だったのに。色んなネコとハプれるのを楽しみにしていたのに!! 年に1度のイベントには結局間に合わず、不貞腐れながら帰路についたら、住宅街で出会ったのは露出狂だった。普段なら、そんな変質者はスルーの一択だったのだけど、イライラとムラムラしていたオレは、露出狂の身体をじっくりと検分してやった。どう見ても好みのど真ん中の身体だ。それならホテルに連れ込んで、しっぽりいこう。据え膳なんて、食ってなんぼだろう。だけど、実はその相手は……。変態とSMのお話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...