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誰!?
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「すっげ……美少女じゃん」
高木くんが、ため息交じりの声を上げる。葛西くんも興味を持ったのか、高木くんの携帯を覗き込みにいく。
「へぇー……これは、かなり……」
「な、可愛いだろ?」
うん、と葛西くんは深く頷く。
「目鼻立ちがくっきりしてるね。睫毛が長くて、目が大きく見えるのもいい感じだ。肌が白くて透き通ってる。純潔、可憐な感じはポイントが高い。そして何より、ふっくら感のある唇が最高だ……バストのサイズ感、形、ともにS……スマートな体形なのに貧相な感じはなくて、むしろむっちり感が漂ってる。全体的なフォルムも良好、と……」
なんか、評論家みたいなことを言い出した。葛西くん、こんなキャラだったっけ?
「な? な? 抜群じゃね?」
「うん、高木くんのいう通りだ。文句なしの美少女だよ」
なんだなんだ、どうしちゃったの葛西くんは。僕はひたすら戸惑うしかない。
「葵くん。君、最高に可愛いよ。僕なんかじゃ足元にも及ばない。感服だ」
「う、うーん……?」
「悔しいけど、女体化ヒロインナンバー1の座は君に託すよ」
「女体化ヒロイン?? なにそれ??」
「あ、聞こえちゃった? 独り言だから気にしないでね」
「は……?」
僕は葛西くんのおかしな様子に、ただただ戸惑うばかりだ。
高木くんは僕の加工画像をじっくり眺めてるし、なんか怖い。
「なあアキ、ケータイにデータ送ってやるよ。自分がどんな風になったか知りたいだろ」
「え、いや別に」
「いいからいいから」
「見ておいた方がいいよ。絶対に衝撃を受けるから」
いつも大げさな高木くんはともかく葛西くんまでもがこんなに大きいリアクションするなんて、ちょっと意外だ。
そんなに僕の加工写真が衝撃だったんだろうか。なんか見るのが怖い……。
次の瞬間、ピロロンと僕の携帯が鳴った。高木くんが送ったデータが届いたんだろうか。
仕方ないな、チラ見して適当に誤魔化すか。
そう思った僕は、携帯の画像を開く。
画像表示するアプリが映し出した写真が映し出される。そして、それを見た僕は一瞬、固まってしまった。
「……これ、僕?」
「そうだぜー」
「可愛いよね」
僕のリアクションが期待通りだったのか、鈴木くんと葛西くんが顔を見合わせ得意気にほほ笑んでいる。
信じられなかった。
これが僕? 嘘じゃなくて?
確かに面影はある。顔の輪郭とか、目とか鼻の筋とかはそのままだ。
だけど、この顔立ち……まるで自分とは思えない。
まず髪の毛がサラリとした触感っぽいのが、すごくよく伝わってきている。
髪型はセミロングで、前髪は片方だけ長いワンレンだった。
片目だけ前髪で隠れている。見えている方の目は、クリクリッとしていて涙がこぼれるんじゃないかってくらいに潤んでいた。
長い睫毛が艶めいていて、目の周りを縁取っている。つぶらに煌めいていて、ほんわかした印象を愛らしく強調している。
髪と目だけでも、抜群の美少女っていうのが分かった。
もちろん、それだけじゃない。
桃色の唇はプクッとしていて柔らかそうだ。女の子っぽく密やかで、まるで何かを期待しているかのように緩く閉じられている。
頬、首、あご、のどといったラインがすぅっと通っていて、すっきりとした印象を受ける。
そして驚くべきは、その胸元だった。
ふっくらと膨らんだ胸は、本来の僕とは似ても似つかないほどに豊かなサイズ感で、前にせり出している。
柔らかそうな胸元……おっぱいが、不安そうに添えられた腕の上に乗っかり、ひしゃげている。
腰がきゅっとしまっている。腰からヒップにかけてのくびれは、女性的な妖しさを表現していた。
可憐さと妖艶さの入り混じった美少女……それが、女体化加工された僕の姿だった。
葛西くんが評論家みたくなるのも無理はないのかもしれない。それくらい、可愛らしかった。
「ねぇ、これって本当に僕の写真を加工したの?」
「当たり前だろ。さっき撮ったばっかのヤツを使ったんだ」
本当に、僕の姿を女子化したらこんなにスタイルが良くなるのか? って首を傾げざるを得ないほどの美少女っぷりだ。
どうもこのアプリ、全身を加工するみたいで、僕の頭のてっぺんから足先までを緻密に女性化していた。
ちなみに学ランはブレザーに置き換えられている。至れり尽くせりすぎる……!
胸の奥がもやもやする。なんだこの気持ち……。
「なんだかなぁ、本当にこんな子がいたら、俺だったらソッコー告白しちまうね! 可愛すぎる!」
「や、やめてよ」
「しゃーねーだろ、マジで可愛いんだからさぁ! それに中身がアキってことは、気心が知れてるってことだし!」
「うんうん。それには僕も同意見だ」
2人がはやし立てる。
う、嬉しくない……。こんな嬉しくない報告って他にある?
「ま、まぁ、こんなのただのお遊びだしね。実際にこんな子がいるわけじゃないから……」
僕が気を取り直してそう言い放った、次の瞬間、だった。
『みつけた』
「え」
なんだ、このひび割れたみたいな声は。
『見つけた!!』
電子音めいた声が、はっきりと形作られ、そして響き渡る。
僕は硬直し、手元を見た。それは、携帯電話の中から響いていたからだ。
直後、ピロロン、という音が響き渡り、そして、携帯の画面が強烈に光を放った。
「ええッ!?!?」
それは異変だった。
スマホの画面がキラキラと輝き、そしてその画面から光線のようなものがあふれ出したのだ。
ぶわああああああッ!!
「な、な、なな……!?」
電子音の嵐が室内に響き渡る。
僕は戸惑うあまりに手が震え、そのはずみで携帯を放り投げてしまった。
ゴトンと音を立てて床に落下した携帯が、ピカピカの光の渦に包み込まれていく。
上を向いた画面からは、光の渦がドバドバとあふれ出る用に真上に向かって放たれ続けている。
ばあああああッ!!
音は出ていないが、そんな感じに、ぴかぴかと光っている。
「な、なな、なんなの、コレッ!!??」
僕の視界は金ぴかの光で埋め尽くされていた。僕はひたすらに戸惑うしかない。
しかし、しばらくの時がたって、ようやく僕はその異変の中心にいる何かに気づいた。
その光の渦、その奥に、何かいる……?
光の海になった教室の中心に、一つの影があったのだ。
人影……フォルムからして、僕と同じか、一回り小さい姿だ。
そう僕が気づいた時、だった。
「キラッキラのTSっ娘、見ぃつけた☆☆」
弾けそうなほどの甲高い声が、教室内に響き渡った。
高木くんが、ため息交じりの声を上げる。葛西くんも興味を持ったのか、高木くんの携帯を覗き込みにいく。
「へぇー……これは、かなり……」
「な、可愛いだろ?」
うん、と葛西くんは深く頷く。
「目鼻立ちがくっきりしてるね。睫毛が長くて、目が大きく見えるのもいい感じだ。肌が白くて透き通ってる。純潔、可憐な感じはポイントが高い。そして何より、ふっくら感のある唇が最高だ……バストのサイズ感、形、ともにS……スマートな体形なのに貧相な感じはなくて、むしろむっちり感が漂ってる。全体的なフォルムも良好、と……」
なんか、評論家みたいなことを言い出した。葛西くん、こんなキャラだったっけ?
「な? な? 抜群じゃね?」
「うん、高木くんのいう通りだ。文句なしの美少女だよ」
なんだなんだ、どうしちゃったの葛西くんは。僕はひたすら戸惑うしかない。
「葵くん。君、最高に可愛いよ。僕なんかじゃ足元にも及ばない。感服だ」
「う、うーん……?」
「悔しいけど、女体化ヒロインナンバー1の座は君に託すよ」
「女体化ヒロイン?? なにそれ??」
「あ、聞こえちゃった? 独り言だから気にしないでね」
「は……?」
僕は葛西くんのおかしな様子に、ただただ戸惑うばかりだ。
高木くんは僕の加工画像をじっくり眺めてるし、なんか怖い。
「なあアキ、ケータイにデータ送ってやるよ。自分がどんな風になったか知りたいだろ」
「え、いや別に」
「いいからいいから」
「見ておいた方がいいよ。絶対に衝撃を受けるから」
いつも大げさな高木くんはともかく葛西くんまでもがこんなに大きいリアクションするなんて、ちょっと意外だ。
そんなに僕の加工写真が衝撃だったんだろうか。なんか見るのが怖い……。
次の瞬間、ピロロンと僕の携帯が鳴った。高木くんが送ったデータが届いたんだろうか。
仕方ないな、チラ見して適当に誤魔化すか。
そう思った僕は、携帯の画像を開く。
画像表示するアプリが映し出した写真が映し出される。そして、それを見た僕は一瞬、固まってしまった。
「……これ、僕?」
「そうだぜー」
「可愛いよね」
僕のリアクションが期待通りだったのか、鈴木くんと葛西くんが顔を見合わせ得意気にほほ笑んでいる。
信じられなかった。
これが僕? 嘘じゃなくて?
確かに面影はある。顔の輪郭とか、目とか鼻の筋とかはそのままだ。
だけど、この顔立ち……まるで自分とは思えない。
まず髪の毛がサラリとした触感っぽいのが、すごくよく伝わってきている。
髪型はセミロングで、前髪は片方だけ長いワンレンだった。
片目だけ前髪で隠れている。見えている方の目は、クリクリッとしていて涙がこぼれるんじゃないかってくらいに潤んでいた。
長い睫毛が艶めいていて、目の周りを縁取っている。つぶらに煌めいていて、ほんわかした印象を愛らしく強調している。
髪と目だけでも、抜群の美少女っていうのが分かった。
もちろん、それだけじゃない。
桃色の唇はプクッとしていて柔らかそうだ。女の子っぽく密やかで、まるで何かを期待しているかのように緩く閉じられている。
頬、首、あご、のどといったラインがすぅっと通っていて、すっきりとした印象を受ける。
そして驚くべきは、その胸元だった。
ふっくらと膨らんだ胸は、本来の僕とは似ても似つかないほどに豊かなサイズ感で、前にせり出している。
柔らかそうな胸元……おっぱいが、不安そうに添えられた腕の上に乗っかり、ひしゃげている。
腰がきゅっとしまっている。腰からヒップにかけてのくびれは、女性的な妖しさを表現していた。
可憐さと妖艶さの入り混じった美少女……それが、女体化加工された僕の姿だった。
葛西くんが評論家みたくなるのも無理はないのかもしれない。それくらい、可愛らしかった。
「ねぇ、これって本当に僕の写真を加工したの?」
「当たり前だろ。さっき撮ったばっかのヤツを使ったんだ」
本当に、僕の姿を女子化したらこんなにスタイルが良くなるのか? って首を傾げざるを得ないほどの美少女っぷりだ。
どうもこのアプリ、全身を加工するみたいで、僕の頭のてっぺんから足先までを緻密に女性化していた。
ちなみに学ランはブレザーに置き換えられている。至れり尽くせりすぎる……!
胸の奥がもやもやする。なんだこの気持ち……。
「なんだかなぁ、本当にこんな子がいたら、俺だったらソッコー告白しちまうね! 可愛すぎる!」
「や、やめてよ」
「しゃーねーだろ、マジで可愛いんだからさぁ! それに中身がアキってことは、気心が知れてるってことだし!」
「うんうん。それには僕も同意見だ」
2人がはやし立てる。
う、嬉しくない……。こんな嬉しくない報告って他にある?
「ま、まぁ、こんなのただのお遊びだしね。実際にこんな子がいるわけじゃないから……」
僕が気を取り直してそう言い放った、次の瞬間、だった。
『みつけた』
「え」
なんだ、このひび割れたみたいな声は。
『見つけた!!』
電子音めいた声が、はっきりと形作られ、そして響き渡る。
僕は硬直し、手元を見た。それは、携帯電話の中から響いていたからだ。
直後、ピロロン、という音が響き渡り、そして、携帯の画面が強烈に光を放った。
「ええッ!?!?」
それは異変だった。
スマホの画面がキラキラと輝き、そしてその画面から光線のようなものがあふれ出したのだ。
ぶわああああああッ!!
「な、な、なな……!?」
電子音の嵐が室内に響き渡る。
僕は戸惑うあまりに手が震え、そのはずみで携帯を放り投げてしまった。
ゴトンと音を立てて床に落下した携帯が、ピカピカの光の渦に包み込まれていく。
上を向いた画面からは、光の渦がドバドバとあふれ出る用に真上に向かって放たれ続けている。
ばあああああッ!!
音は出ていないが、そんな感じに、ぴかぴかと光っている。
「な、なな、なんなの、コレッ!!??」
僕の視界は金ぴかの光で埋め尽くされていた。僕はひたすらに戸惑うしかない。
しかし、しばらくの時がたって、ようやく僕はその異変の中心にいる何かに気づいた。
その光の渦、その奥に、何かいる……?
光の海になった教室の中心に、一つの影があったのだ。
人影……フォルムからして、僕と同じか、一回り小さい姿だ。
そう僕が気づいた時、だった。
「キラッキラのTSっ娘、見ぃつけた☆☆」
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