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オレが中学2年生になる前くらいに、VRMMORPG《pass through a gate》が発売された。
その頃のVRMMORPGゲームと言えば、若者の脳への負担やなんやかやで、基本的には16歳にならないとプレイ出来ない形になってたんだけど、このゲームは、新しい取り組みとして、ゲームの本筋には参加出来ないし、時間制限もあるけれど、中学生もプレイ出来るエリアを作った。
対象は、不登校だったり、支援が必要な子どもたち。
大手の塾が提携して勉強を教えてくれたり、将来選ぶ職業の幅が広がるように色々なスクールを開いたり。
ゲームの中で、運動会やキャンプ、冒険者の討伐見学、ホームルームで新しいモンスターをみんなで考えたり。
学校でもらってきたそのチラシを見た両親のすすめで、ゲーム発売と同時にオレはそのゲームの学校にも通いはじめた。
黒手袋のキャラや眼帯してるのが多めの色々なアバターがあふれる教室は異様だったけど、すぐに慣れて充実した時間を過ごした。
そこでパソコンを使ってデザインする勉強をおそわったオレは、自分の進む道を見つけられたし、他の仲間も、ゲーム会社に就職する道を、漫画家への道を、デジタルで音楽を作る道を、等々色々な道をそれぞれ見つけて行った。なにより自分にもこんなに可能性があるんだと自信がついたことが嬉しかった。
そうそう、ゲームで最初のログインキャンペーンには、俺たちも参加出来たので、あの城下町のギルドルームの権利をここに通う中学生7人が見事当選で持っている。そのうちの一人がオレで、ギルド《スリーポイント》のギルドルームの所有者はオレだったりする。
(あれ、オレが死んだ後どうなったんだろう?)
16歳になりメインストーリーに参加する資格を得ると、ここを卒業して、ゲームを楽しむようになった。卒業祝に、運営から一回こっきりアバターを変更する権利をもらったので、そこで手袋を脱いで、眼帯を外すやつが多かったと思う。変更出来てよかったな!
◇ ◇ ◇
オレがゲームの学校に通いはじめたのが13歳。その頃、柊は11歳で所属ミニバスチームをかえて、全国大会にまで行く実力をつけていた。
オレはオレで、中学校に通いながらゲームの学校に通い、リハビリも続けてて忙しく、柊とたまにしか会えなくなっていた。
まぁたまにでも会えばいつも通り過ごせるんだけどな。
その後、結局地元のバスケ強豪中学校に進学した柊はいつの間にかオレの身長を抜かし、手もめちゃデカくなっていた。中1ながらエースだぜ、すごいよな~
久々に我が家に泊まりに来たときに実際に手を合わせてびっくりしたし、朝起きたら抱きかかえられてて、さらにびっくりしたよ。本当にデカくなった!羨ましくなんか、ちょっとしかないぞ!
オレが守らなきゃと思ってたのに、守られてるみたいじゃん。
「おまえそんなにデカくなったら、セミダブルベッドキツキツじゃん、ダブルベッドに買い替えるかな~」
って言ったら、俯いて何か耐えてたんだけど、そういや昨日から柊ずっと顔赤かったな~、体調悪かったのかな?
そんななんだかんだあまり会えない状況にオレが耐えられなくなって来て、柊の13歳の誕生日にオレは思い切って柊に告白をすることに決めた。
ま、オレが柊のこと好きなのバレバレだし、今さら?感はあるんだけど。柊の方はわかんないじゃん?
オレの前では見えない尻尾ブンブン振ってるの見えるくらいには好かれてるの知ってるけど。それがLOVEなのかLIKEなのか?、オレはもちろんLOVEだし。
でも柊って優しいじゃん?
オレが付き合ってって言ったら、優しいから付き合ってくれそうだし。
事故の罪悪感とか責任感もまだ持ってるの知ってるし、でもそんな気持ちで付き合いたくないじゃん。
「って訳でどうしたらいいと思う?」
「いや、知らねーよ!ってかまだ付き合ってなかったのかよ、そのことにびっくりだよ!!どうみてもカップルだよ!一緒のベッドで寝てて付き合ってないってなんだよ!ついでに柊斗はその時体調悪くないよ、絶好調だよ!」
目の前で、オレと柊の共通のひとつ下の幼なじみの智が飲んでたジュースを吹き出しそうになりながら勢いよくそう答える。
「きたないなー。ジュース飛ばすなよ。それより、オレと柊って付き合ってるように見えるんだ?」
眼鏡を外してハンカチで拭く真似をしながら、顔がニヨニヨしてしまう。そっか~オレの片想いじゃなく付き合ってるように見えるんだ。
嬉しくてクフフと笑った時に、周りがザワザワしてることに気がついた。なんだろう?
智は「チッ」と舌打ちしたあと、オレに眼鏡をかけ直す。
本当は飛んで来てないのに、眼鏡拭く真似なんかして悪かったよ。
「いや、そう言うことじゃなく、まぁいいか、周りから見たら両思いにみえるけどなー。不安ならそのまま、罪悪感?とかでは返事して欲しくないって言えばいいじゃん、柊斗ならちゃんと考えてくれるだろ…って俺なんでこんなアドバイス好きなやつにしてるんだろう、俺可哀想すぎる」
最後の方は、ブツブツ何言ってるかわからないけど、智の言葉は告白への後押しになった。それにしても、話きいただけで、柊斗の体調までわかるなんて智すげーな!!
なんか疲れた顔してる智に身体を乗り出して昔みたいに、頭をクシャクシャと撫でてやる。子分を褒めるのは親分の役目だからな!
智もこの前の柊みたいに俯いて何か耐えてるみたいだけど、さっきの話からすると体調悪いわけじゃないんだよな?
「悪くねーよ!!」
だから、ジュース飛びそうじゃん。また眼鏡を拭く真似をしようとしたけど、今度ははずす前に智に止められた。
だから、ごめんてば!
んで迎えた、柊の誕生日。
オレの部屋に遊びに来た柊にプレゼント渡してドキドキしながら、告白…
する前に柊から「朔が好きだ付き合って欲しい」って告白された!
びっくりだろ? オレたち告白するタイミングまで一緒なんだぜ!
「オレも柊が好きだ、付き合えて嬉しい」
って返事してたら、柊の手のひらが頬に触れて、ゆっくり顔が近付いてきた、こいつこんな顔も出来るんだ、13年の付き合いで初めて見るって考えながら目を閉じる。
触れるだけのキスが終わったあと、柊は涙を流していた。
「相変わらず泣き虫だな~」
そう言うオレの頬を柊が優しく拭う仕草でオレも泣いてたことに気がついた。
どちらからともなく、もう一度顔を近づける。
初雪が舞った中3の冬の出来事
その頃のVRMMORPGゲームと言えば、若者の脳への負担やなんやかやで、基本的には16歳にならないとプレイ出来ない形になってたんだけど、このゲームは、新しい取り組みとして、ゲームの本筋には参加出来ないし、時間制限もあるけれど、中学生もプレイ出来るエリアを作った。
対象は、不登校だったり、支援が必要な子どもたち。
大手の塾が提携して勉強を教えてくれたり、将来選ぶ職業の幅が広がるように色々なスクールを開いたり。
ゲームの中で、運動会やキャンプ、冒険者の討伐見学、ホームルームで新しいモンスターをみんなで考えたり。
学校でもらってきたそのチラシを見た両親のすすめで、ゲーム発売と同時にオレはそのゲームの学校にも通いはじめた。
黒手袋のキャラや眼帯してるのが多めの色々なアバターがあふれる教室は異様だったけど、すぐに慣れて充実した時間を過ごした。
そこでパソコンを使ってデザインする勉強をおそわったオレは、自分の進む道を見つけられたし、他の仲間も、ゲーム会社に就職する道を、漫画家への道を、デジタルで音楽を作る道を、等々色々な道をそれぞれ見つけて行った。なにより自分にもこんなに可能性があるんだと自信がついたことが嬉しかった。
そうそう、ゲームで最初のログインキャンペーンには、俺たちも参加出来たので、あの城下町のギルドルームの権利をここに通う中学生7人が見事当選で持っている。そのうちの一人がオレで、ギルド《スリーポイント》のギルドルームの所有者はオレだったりする。
(あれ、オレが死んだ後どうなったんだろう?)
16歳になりメインストーリーに参加する資格を得ると、ここを卒業して、ゲームを楽しむようになった。卒業祝に、運営から一回こっきりアバターを変更する権利をもらったので、そこで手袋を脱いで、眼帯を外すやつが多かったと思う。変更出来てよかったな!
◇ ◇ ◇
オレがゲームの学校に通いはじめたのが13歳。その頃、柊は11歳で所属ミニバスチームをかえて、全国大会にまで行く実力をつけていた。
オレはオレで、中学校に通いながらゲームの学校に通い、リハビリも続けてて忙しく、柊とたまにしか会えなくなっていた。
まぁたまにでも会えばいつも通り過ごせるんだけどな。
その後、結局地元のバスケ強豪中学校に進学した柊はいつの間にかオレの身長を抜かし、手もめちゃデカくなっていた。中1ながらエースだぜ、すごいよな~
久々に我が家に泊まりに来たときに実際に手を合わせてびっくりしたし、朝起きたら抱きかかえられてて、さらにびっくりしたよ。本当にデカくなった!羨ましくなんか、ちょっとしかないぞ!
オレが守らなきゃと思ってたのに、守られてるみたいじゃん。
「おまえそんなにデカくなったら、セミダブルベッドキツキツじゃん、ダブルベッドに買い替えるかな~」
って言ったら、俯いて何か耐えてたんだけど、そういや昨日から柊ずっと顔赤かったな~、体調悪かったのかな?
そんななんだかんだあまり会えない状況にオレが耐えられなくなって来て、柊の13歳の誕生日にオレは思い切って柊に告白をすることに決めた。
ま、オレが柊のこと好きなのバレバレだし、今さら?感はあるんだけど。柊の方はわかんないじゃん?
オレの前では見えない尻尾ブンブン振ってるの見えるくらいには好かれてるの知ってるけど。それがLOVEなのかLIKEなのか?、オレはもちろんLOVEだし。
でも柊って優しいじゃん?
オレが付き合ってって言ったら、優しいから付き合ってくれそうだし。
事故の罪悪感とか責任感もまだ持ってるの知ってるし、でもそんな気持ちで付き合いたくないじゃん。
「って訳でどうしたらいいと思う?」
「いや、知らねーよ!ってかまだ付き合ってなかったのかよ、そのことにびっくりだよ!!どうみてもカップルだよ!一緒のベッドで寝てて付き合ってないってなんだよ!ついでに柊斗はその時体調悪くないよ、絶好調だよ!」
目の前で、オレと柊の共通のひとつ下の幼なじみの智が飲んでたジュースを吹き出しそうになりながら勢いよくそう答える。
「きたないなー。ジュース飛ばすなよ。それより、オレと柊って付き合ってるように見えるんだ?」
眼鏡を外してハンカチで拭く真似をしながら、顔がニヨニヨしてしまう。そっか~オレの片想いじゃなく付き合ってるように見えるんだ。
嬉しくてクフフと笑った時に、周りがザワザワしてることに気がついた。なんだろう?
智は「チッ」と舌打ちしたあと、オレに眼鏡をかけ直す。
本当は飛んで来てないのに、眼鏡拭く真似なんかして悪かったよ。
「いや、そう言うことじゃなく、まぁいいか、周りから見たら両思いにみえるけどなー。不安ならそのまま、罪悪感?とかでは返事して欲しくないって言えばいいじゃん、柊斗ならちゃんと考えてくれるだろ…って俺なんでこんなアドバイス好きなやつにしてるんだろう、俺可哀想すぎる」
最後の方は、ブツブツ何言ってるかわからないけど、智の言葉は告白への後押しになった。それにしても、話きいただけで、柊斗の体調までわかるなんて智すげーな!!
なんか疲れた顔してる智に身体を乗り出して昔みたいに、頭をクシャクシャと撫でてやる。子分を褒めるのは親分の役目だからな!
智もこの前の柊みたいに俯いて何か耐えてるみたいだけど、さっきの話からすると体調悪いわけじゃないんだよな?
「悪くねーよ!!」
だから、ジュース飛びそうじゃん。また眼鏡を拭く真似をしようとしたけど、今度ははずす前に智に止められた。
だから、ごめんてば!
んで迎えた、柊の誕生日。
オレの部屋に遊びに来た柊にプレゼント渡してドキドキしながら、告白…
する前に柊から「朔が好きだ付き合って欲しい」って告白された!
びっくりだろ? オレたち告白するタイミングまで一緒なんだぜ!
「オレも柊が好きだ、付き合えて嬉しい」
って返事してたら、柊の手のひらが頬に触れて、ゆっくり顔が近付いてきた、こいつこんな顔も出来るんだ、13年の付き合いで初めて見るって考えながら目を閉じる。
触れるだけのキスが終わったあと、柊は涙を流していた。
「相変わらず泣き虫だな~」
そう言うオレの頬を柊が優しく拭う仕草でオレも泣いてたことに気がついた。
どちらからともなく、もう一度顔を近づける。
初雪が舞った中3の冬の出来事
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