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オレの一番古い記憶は、オレの小さな指をにぎるもっと小さな指
◇ ◇ ◇
いわゆる、ベッドタウンて言われてる街の
若い家族が多い、30軒ほどの家が集まった住宅街の
隣同士の家で
オレ 咲良 朔
と
あいつ 佐藤 柊斗
は育った。
まずはオレのことから紹介しよう。
咲良 朔 読み方はさくら さく
1月1日に変わった瞬間に産まれたオレにつけられた名前はそんなんだった。
「さくら」「さくちゃん」「さく」
周りからはそんな風に呼ばれてた。
父さんと母さんと5つ上の兄ちゃん。
北欧の方の血をひくハーフの父さんと日本人の母さんは、大学生の時にバスケットボールを通じて知り合った。
違う大学だったけど、お互い選手として全国大会にも出たらしい。
190センチ超えの父さんと日本人ながら175センチある母さんから産まれた兄ちゃんも大きくて、小学校6年の時にはすでに170センチくらい身長があってミニバスケットボールの選手として活躍していた。
そんな家庭で育ったオレも、もれなく小さい頃からバスケットボールをおもちゃにしながら育ち、小学校に入る頃には周りの友達より頭ひとつぶんほどでかくなり、この辺りのガキ大将として周りをバスケットボール仲間に引きずりこんでいた。
そんなオレの隣の佐藤さん家にオレより2つ下で産まれた
佐藤 柊斗 読み方はさとう しゅうと
も、もれなくオレの子分としてバスケットボールの道に引きずり込んだ。
学生時代サッカーをしていたおじさん(柊の父さん)が、息子にもサッカーしてほしくて付けた名前らしいけど、おじさんごめん、柊は立派なバスケットボール仲間に育った。
柊には7つ上の姉ちゃんがいて、オレの兄ちゃんと幼なじみで、中学生に入る頃に付き合いだして、そのうちオレの義姉ちゃんになるんだけど、今それは置いておこう。
そんな感じのお隣さん、柊が産まれたのはオレが2歳になる1ヶ月前で、まぁその頃の記憶なんかよく覚えてないんだけど、家族が言うには木に登ろうとして落ちたやら1時間エンドレス滑り台やらショッピングモールで逃げ出したやら、とにかく元気で奔放だったらしい。
そんなオレなんだけど、柊にはじめて会った日のことはびっくりするほと覚えてる。
オレの小さな指をにぎるもっと小さな指
その時おれは、なんか心がギュ~ってして、でもやっとす隙間がうまる気がして。
(こいつのこと守らないと)
って思ったんだ、ほぼ2歳児がだぜ?びっくりだよな。
それからは、もう柊にべったり!
抱っこしようとしたり、ご飯食べさせようとしたり。
柊の方も、「さくちゃん、さくちゃん」って、オレのあとばっかり付いて来てたし。
柊がはじめて喋った言葉も「ささ」ってオレのことみながら言ったやつだったし。
おじさんががっくり肩を落としてるのを何回も見たよ。
そんなべったりな2人の間を邪魔するのが
《年の差》
幼稚園、小学校とどうしても離れなきゃいけない時があった。
でも幼稚園の時は、なぜか両家とも購入した電動2人乗せ自転車の前に柊を乗せ後ろにオレがのって母さんが送り迎えしたり、もちろん参観日には柊も来たし、オレの描く絵には柊がいた。
帰ってきたら、近所の仲間とバスケ。小さいながらもオレと柊はバディのようにいつでも息ぴったりだった。
オレが小学校に入ると、オレの帰りを毎日柊が窓からながめながら待ってて、「おかえり」って出迎えて。んでまたバスケ。で夕飯食べたら宿題して。たまにどっちかの家に泊まりに行って一緒に寝たり。
「あと4ヶ月でさくちゃんといっしょに小学校にいける」
なんて、柊が指折り数えながら迎えた柊の誕生日。
ーあの日ー
柊にサッカーを習わすことをやっと諦めたおじさんが、誕生日プレゼントにバスケットボールをプレゼントしてくれたらしくて、朝からオレんちに来て、一緒に朝ごはん食べながら
「きょうこのボールで遊ぼうね」
なんて指切りして、オレは小学校に登校した。
息子の誕生日なのに朝ごはんを一緒に食べられなかったおじさんはがっくり肩を落としたらしい。なんでも前夜に柊の大好きなプリンをおじさん自ら作って朝一緒に食べるつもりだったとか。
んで、幼稚園から帰ったあと、ボールかかえて、オレのこと待ってた柊は、まち切れなくて、いつも窓からみてるのに、住宅街の入り口まで迎えに来てて。
住宅街自体は、住んでる人しか使わないしそこまで危なくないんだけど、その外はそこそこ車通りもあって、歩道はあるけどガードレールはないって感じの道で。その入り口でオレを待ってた柊はオレを見つけて大きく手を振った。
「さくちゃんおかえりー」
同じ住宅街に住む同級生と話してたオレは、その声に顔を向けて
で
手を振る柊の後ろにトラックの姿を見つけ、反射的に走り出した。
多分あの時、オレ、日本一足が速い小学2年生だったと思う。風みたいだった。
父さんと母さんに似て、でっかく生まれてきたのも、バスケするためじゃなく、今この瞬間、柊を守るためだったんじゃないかと思った。
なんで自分の方に必死に走ってくるのかわかってない柊は、自分に向かって走ってくるオレに笑顔で手を向けて。
そんな笑顔の柊を思いっ切り突き飛ばした。住宅街の入り口にある芝生に向かって。
その直後に自分の身体にすごい衝撃が来て、なんか飛んでる感じと叩きつけられる感じがしたんだけど。
薄れゆく意識の中で、涙ためながらこっちみてる柊の無事確認しながら。
「よかった」
って呟きながら意識を手放した。
◇ ◇ ◇
いわゆる、ベッドタウンて言われてる街の
若い家族が多い、30軒ほどの家が集まった住宅街の
隣同士の家で
オレ 咲良 朔
と
あいつ 佐藤 柊斗
は育った。
まずはオレのことから紹介しよう。
咲良 朔 読み方はさくら さく
1月1日に変わった瞬間に産まれたオレにつけられた名前はそんなんだった。
「さくら」「さくちゃん」「さく」
周りからはそんな風に呼ばれてた。
父さんと母さんと5つ上の兄ちゃん。
北欧の方の血をひくハーフの父さんと日本人の母さんは、大学生の時にバスケットボールを通じて知り合った。
違う大学だったけど、お互い選手として全国大会にも出たらしい。
190センチ超えの父さんと日本人ながら175センチある母さんから産まれた兄ちゃんも大きくて、小学校6年の時にはすでに170センチくらい身長があってミニバスケットボールの選手として活躍していた。
そんな家庭で育ったオレも、もれなく小さい頃からバスケットボールをおもちゃにしながら育ち、小学校に入る頃には周りの友達より頭ひとつぶんほどでかくなり、この辺りのガキ大将として周りをバスケットボール仲間に引きずりこんでいた。
そんなオレの隣の佐藤さん家にオレより2つ下で産まれた
佐藤 柊斗 読み方はさとう しゅうと
も、もれなくオレの子分としてバスケットボールの道に引きずり込んだ。
学生時代サッカーをしていたおじさん(柊の父さん)が、息子にもサッカーしてほしくて付けた名前らしいけど、おじさんごめん、柊は立派なバスケットボール仲間に育った。
柊には7つ上の姉ちゃんがいて、オレの兄ちゃんと幼なじみで、中学生に入る頃に付き合いだして、そのうちオレの義姉ちゃんになるんだけど、今それは置いておこう。
そんな感じのお隣さん、柊が産まれたのはオレが2歳になる1ヶ月前で、まぁその頃の記憶なんかよく覚えてないんだけど、家族が言うには木に登ろうとして落ちたやら1時間エンドレス滑り台やらショッピングモールで逃げ出したやら、とにかく元気で奔放だったらしい。
そんなオレなんだけど、柊にはじめて会った日のことはびっくりするほと覚えてる。
オレの小さな指をにぎるもっと小さな指
その時おれは、なんか心がギュ~ってして、でもやっとす隙間がうまる気がして。
(こいつのこと守らないと)
って思ったんだ、ほぼ2歳児がだぜ?びっくりだよな。
それからは、もう柊にべったり!
抱っこしようとしたり、ご飯食べさせようとしたり。
柊の方も、「さくちゃん、さくちゃん」って、オレのあとばっかり付いて来てたし。
柊がはじめて喋った言葉も「ささ」ってオレのことみながら言ったやつだったし。
おじさんががっくり肩を落としてるのを何回も見たよ。
そんなべったりな2人の間を邪魔するのが
《年の差》
幼稚園、小学校とどうしても離れなきゃいけない時があった。
でも幼稚園の時は、なぜか両家とも購入した電動2人乗せ自転車の前に柊を乗せ後ろにオレがのって母さんが送り迎えしたり、もちろん参観日には柊も来たし、オレの描く絵には柊がいた。
帰ってきたら、近所の仲間とバスケ。小さいながらもオレと柊はバディのようにいつでも息ぴったりだった。
オレが小学校に入ると、オレの帰りを毎日柊が窓からながめながら待ってて、「おかえり」って出迎えて。んでまたバスケ。で夕飯食べたら宿題して。たまにどっちかの家に泊まりに行って一緒に寝たり。
「あと4ヶ月でさくちゃんといっしょに小学校にいける」
なんて、柊が指折り数えながら迎えた柊の誕生日。
ーあの日ー
柊にサッカーを習わすことをやっと諦めたおじさんが、誕生日プレゼントにバスケットボールをプレゼントしてくれたらしくて、朝からオレんちに来て、一緒に朝ごはん食べながら
「きょうこのボールで遊ぼうね」
なんて指切りして、オレは小学校に登校した。
息子の誕生日なのに朝ごはんを一緒に食べられなかったおじさんはがっくり肩を落としたらしい。なんでも前夜に柊の大好きなプリンをおじさん自ら作って朝一緒に食べるつもりだったとか。
んで、幼稚園から帰ったあと、ボールかかえて、オレのこと待ってた柊は、まち切れなくて、いつも窓からみてるのに、住宅街の入り口まで迎えに来てて。
住宅街自体は、住んでる人しか使わないしそこまで危なくないんだけど、その外はそこそこ車通りもあって、歩道はあるけどガードレールはないって感じの道で。その入り口でオレを待ってた柊はオレを見つけて大きく手を振った。
「さくちゃんおかえりー」
同じ住宅街に住む同級生と話してたオレは、その声に顔を向けて
で
手を振る柊の後ろにトラックの姿を見つけ、反射的に走り出した。
多分あの時、オレ、日本一足が速い小学2年生だったと思う。風みたいだった。
父さんと母さんに似て、でっかく生まれてきたのも、バスケするためじゃなく、今この瞬間、柊を守るためだったんじゃないかと思った。
なんで自分の方に必死に走ってくるのかわかってない柊は、自分に向かって走ってくるオレに笑顔で手を向けて。
そんな笑顔の柊を思いっ切り突き飛ばした。住宅街の入り口にある芝生に向かって。
その直後に自分の身体にすごい衝撃が来て、なんか飛んでる感じと叩きつけられる感じがしたんだけど。
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