『王子』の僕が死んだ後

アールグレイ

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プロローグ2

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 「近頃、王国が随分と力を付けたようだ。だが、あの国は皆頭が固い。」

「それなのに政治に口出しをしてきた。少々邪魔だ。」

 数年前、参謀官達から伝えられた王国の現状の報告の後、多くの貴族が不満を言い出した。また、税金も高く、国民も苦しい生活を送っているらしい。
 そして、王国を滅ぼす事になったのだ。

 帝国軍の隊長、ラル・マークルは城の中にいた兵士達を殺し、次の指示を与えていた。高い身体能力を持っていると聞いていたが、連携が取れておらず、正直期待はずれだと思った。
 その時、少し震えた声が聞こえた。振り替えると、そこには小柄な美しい青年が立っており、彼が声をかけてきたのだとわかった。王国民はプライドが高く、絶対に他国の言葉を話さないと聞いていたのに、身分の高そうな彼が流暢に帝国の言語を話していてとても驚いた。

 青年は、何とこの国の王子だった。その青年が、自国の負けだから、戦をやめてほしいと頭を下げてきたことに唖然としてしまう。今まで聞いてきた王国人のイメージとは似ても似つかず、周りの者達も困惑していた。

 王子と会話していると、幾つかの事に気付いた。王子の肌は青白く、とても健康そうには見えない。口元にはいつも小さな笑みが浮かんでいて好印象を受けたが、彼の目を見た後に背筋が凍り、考えを改めた。少し長めの、光を全く反射しない黒髪の奥に隠れていた蒼目は暗く、何の感情も感じられない。何かを見ているようで、何も見ていない。それなのにその目と口元の笑みが合わさると、見透かされているような、諭されているような気がする。そのつり気味の目がひどく恐ろしいものに見えた。

 王子を人質にすると決めたとき、ラルは『何か』を決意した。
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