6 / 11
序章
勇者の話 4
しおりを挟む
誰もが真剣になった、はずだった。
「ええー········でも、それはないと思う!」
シリアスな空気をものともせず、ヨウスケが呑気な声を出す。
またもやカレンのこめかみに青筋が浮かび、他のみんながそれを横目で見ながら呆れたようにヨウスケを見る。
カレンの怒りに触れないよう黙ってしまったみんなに代わり、メイがヨウスケに尋ねる。
「·····なんで、そう思ったの?」
少し区切ったように言い、頼むから変なことは言うな、とヨウスケに目で訴える。
しかし。
「んー、強いて言うなら·······勘?」
この発言に、とうとうカレンの怒りが爆発するのでは、と恐る恐るメイとジークがカレンを見る。
しかし。
「あら、そうなの。じゃあ危険な人じゃ無さそうね。」
カレンは、納得したかのようにそう言った。
「·····いや、いやいやいや!なんでそこで納得する⁉おかしいだろ!勘だぞ⁉」
仰天して言うジークに、カレンは実はね、と少し困ったように話した。
「ヨウスケの勘はよく当たるの。当たる確率は九割以上と言っても過言ではないかも。逆に、考えて導きだした事の方がむしろ外れてるわ。」
そんなこんなで。
「じゃあまあ、ヨウスケの勘が当たってるとして、だ。なんで勧誘した?わかんないってのは無しだ。纏まってなくても良いから、考えてることを教えてくれ。」
ようやく本筋に戻し、ジークは聞いた。
「·····今はさ、色んな国に目をつけられないようにってこんな行動してるけど、俺達の一番の目的は、元の世界に帰ることなんだ。·····メイとジークには、会ったばかりの頃にちょっと言っただけだったけど、帰りたいって気持ちは今も変わってない。だから·······」
「だから、魔力の質が良さそうなアルさんには、仲間になっていてほしい。私達は、沢山の人の魔力を使った魔法陣で召喚された。国が行った時の人数は集められないかも知れないから、魔力の質を重視しようと思ってる。······どうやったら帰れるか、まだわかってないけど。」
「それに、魔道具を持ってる人=お金持ちなら、コネでも使って召喚魔法と逆の魔法がないか、情報を集めてもらうのも良いかも知れないしね。」
ヨウスケ、サナ、カレンの順に話し、ずっと考えてきていたことをメイとジークに話した。
「·······カレンみたいながめつい事は、流石に考えてなかったけどな。」
ぼそりと呟いたヨウスケに、カレンが睨みをきかせた。
三人の考えを聞いたメイとジークは、反対する理由もなく。
こうして、アルを勧誘し続ける方針に決定した。
「ええー········でも、それはないと思う!」
シリアスな空気をものともせず、ヨウスケが呑気な声を出す。
またもやカレンのこめかみに青筋が浮かび、他のみんながそれを横目で見ながら呆れたようにヨウスケを見る。
カレンの怒りに触れないよう黙ってしまったみんなに代わり、メイがヨウスケに尋ねる。
「·····なんで、そう思ったの?」
少し区切ったように言い、頼むから変なことは言うな、とヨウスケに目で訴える。
しかし。
「んー、強いて言うなら·······勘?」
この発言に、とうとうカレンの怒りが爆発するのでは、と恐る恐るメイとジークがカレンを見る。
しかし。
「あら、そうなの。じゃあ危険な人じゃ無さそうね。」
カレンは、納得したかのようにそう言った。
「·····いや、いやいやいや!なんでそこで納得する⁉おかしいだろ!勘だぞ⁉」
仰天して言うジークに、カレンは実はね、と少し困ったように話した。
「ヨウスケの勘はよく当たるの。当たる確率は九割以上と言っても過言ではないかも。逆に、考えて導きだした事の方がむしろ外れてるわ。」
そんなこんなで。
「じゃあまあ、ヨウスケの勘が当たってるとして、だ。なんで勧誘した?わかんないってのは無しだ。纏まってなくても良いから、考えてることを教えてくれ。」
ようやく本筋に戻し、ジークは聞いた。
「·····今はさ、色んな国に目をつけられないようにってこんな行動してるけど、俺達の一番の目的は、元の世界に帰ることなんだ。·····メイとジークには、会ったばかりの頃にちょっと言っただけだったけど、帰りたいって気持ちは今も変わってない。だから·······」
「だから、魔力の質が良さそうなアルさんには、仲間になっていてほしい。私達は、沢山の人の魔力を使った魔法陣で召喚された。国が行った時の人数は集められないかも知れないから、魔力の質を重視しようと思ってる。······どうやったら帰れるか、まだわかってないけど。」
「それに、魔道具を持ってる人=お金持ちなら、コネでも使って召喚魔法と逆の魔法がないか、情報を集めてもらうのも良いかも知れないしね。」
ヨウスケ、サナ、カレンの順に話し、ずっと考えてきていたことをメイとジークに話した。
「·······カレンみたいながめつい事は、流石に考えてなかったけどな。」
ぼそりと呟いたヨウスケに、カレンが睨みをきかせた。
三人の考えを聞いたメイとジークは、反対する理由もなく。
こうして、アルを勧誘し続ける方針に決定した。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる