勇者が俺の所属ギルドから出ていってくれないんだが

アールグレイ

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序章

勇者の話 4

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誰もが真剣になった、はずだった。


「ええー········でも、それはないと思う!」


シリアスな空気をものともせず、ヨウスケが呑気な声を出す。


またもやカレンのこめかみに青筋が浮かび、他のみんながそれを横目で見ながら呆れたようにヨウスケを見る。


カレンの怒りに触れないよう黙ってしまったみんなに代わり、メイがヨウスケに尋ねる。


「·····なんで、そう思ったの?」


少し区切ったように言い、頼むから変なことは言うな、とヨウスケに目で訴える。

しかし。


「んー、強いて言うなら·······勘?」


この発言に、とうとうカレンの怒りが爆発するのでは、と恐る恐るメイとジークがカレンを見る。


しかし。


「あら、そうなの。じゃあ危険な人じゃ無さそうね。」


カレンは、納得したかのようにそう言った。


「·····いや、いやいやいや!なんでそこで納得する⁉おかしいだろ!勘だぞ⁉」


仰天して言うジークに、カレンは実はね、と少し困ったように話した。


「ヨウスケの勘はよく当たるの。当たる確率は九割以上と言っても過言ではないかも。逆に、考えて導きだした事の方がむしろ外れてるわ。」



そんなこんなで。


「じゃあまあ、ヨウスケの勘が当たってるとして、だ。なんで勧誘した?わかんないってのは無しだ。纏まってなくても良いから、考えてることを教えてくれ。」


ようやく本筋に戻し、ジークは聞いた。


「·····今はさ、色んな国に目をつけられないようにってこんな行動してるけど、俺達の一番の目的は、元の世界に帰ることなんだ。·····メイとジークには、会ったばかりの頃にちょっと言っただけだったけど、帰りたいって気持ちは今も変わってない。だから·······」


「だから、魔力の質が良さそうなアルさんには、仲間になっていてほしい。私達は、沢山の人の魔力を使った魔法陣で召喚された。国が行った時の人数は集められないかも知れないから、魔力の質を重視しようと思ってる。······どうやったら帰れるか、まだわかってないけど。」


「それに、魔道具を持ってる人=お金持ちなら、コネでも使って召喚魔法と逆の魔法がないか、情報を集めてもらうのも良いかも知れないしね。」


ヨウスケ、サナ、カレンの順に話し、ずっと考えてきていたことをメイとジークに話した。


「·······カレンみたいながめつい事は、流石に考えてなかったけどな。」


ぼそりと呟いたヨウスケに、カレンが睨みをきかせた。


三人の考えを聞いたメイとジークは、反対する理由もなく。


こうして、アルを勧誘し続ける方針に決定した。

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