5 / 11
序章
勇者の話 3
しおりを挟む
「で、なんであいつに声をかけた?」
宿に戻ってすぐに聞いてきたジークに、せっかちだなあと苦笑しながら、俺はカレンとサナに目配せをする。
二人は俺が説明するように目で促してきたけど·········
「俺にも、よくわかんないんだよね······」
なんで勧誘したのか。
「「「「·······はあ?」」」」
メイとジークとサナが呆れたように、そしてカレンはイラッとしたように声を出した。
ははは·······いやぁメンゴ!
「あんたのそういう態度がめんどくさいのよこのグズ!」
「グズ⁉」
イライラとしたようにカレンがキッ!と俺を睨み、代わりに話し始める。
「あの人、アルさんが、化け物級に強いってわかったからよ。あんな魔力、今まで見たことがないわ。」
「·····そ、そんなにか?でも、そのアルって言うのは、どう見てもギルド職員だったが······」
「あら、ギルド職員は強くないのが当たり前なの?」
「·····いや、冒険者が突然喧嘩をし始めても止められるように、ある程度の人数、戦える奴はいるらしいが。でもあいつはどう見ても違うだろ。それに、何年か前に俺もこの国に来たことがあるが、あいつはそのときも居て、冒険者にいちゃもんをつけられても小さくなってただけだったぞ。」
「········でも、確かにあの人は強者のはずよ。·······まあそれにしては魔力が少なかったけど。」
カレンの呟くように言った言葉にジークがガクッとなる。
「少なかったのかよ!あんな魔力見たことないとか言ってたじゃねーか!それに、化け物級に強い、とかも言ってたろ!·······あ、でも、別に魔力がなくても、力があれば強いって事になるか。」
「ちょっと、一人で勝手に納得しないで。ちゃんと説明するわよ。·····魔力は確かに見たことがないものだったわ。でもそれは魔力量の事じゃない。·····何て言うのかしら······質?色?密度?····とにかく、そういう所が普通の人とは違ったの。それに、どうやってるのか知らないけど、魔力を箱にぎゅうぎゅう詰めにしてるみたいな印象もうけたわね。」
「魔力を?······抑え込んでるって事か?」
「そうね、多分そんな感じ。でも、もうちょっとカチコチに固めたような·······?」
うまく言えないのか、カレンがうんうんと唸る。
そこでようやくサナも会話に入り始めた。
「カレンの言ってること、的を射てる。あの人は何かを使って、自然に出る筈の魔力の放出を抑えてる。多分、魔道具。後、顔の辺りからも若干魔力を感じた。普通あの辺りからは感知できる程放出されない。」
それを聞いたメイが真剣な表情で考える。
「·····ちょっと怪しいわね、その人。魔道具は一般人には手が出せないくらい高いのよ?それを日常使いするなんて、どこかのボンボンかしら。それに、顔から魔力を感じるってことは、多分認識阻害の魔道具でも身に付けてるんでしょう。······普通はそんな微量の魔力を感知なんてできないから、油断してたんでしょうね。·······そこまでして自分を隠すなんて。危険人物かも知れないわよ。」
メイのその一言で、誰もが真剣になった。
宿に戻ってすぐに聞いてきたジークに、せっかちだなあと苦笑しながら、俺はカレンとサナに目配せをする。
二人は俺が説明するように目で促してきたけど·········
「俺にも、よくわかんないんだよね······」
なんで勧誘したのか。
「「「「·······はあ?」」」」
メイとジークとサナが呆れたように、そしてカレンはイラッとしたように声を出した。
ははは·······いやぁメンゴ!
「あんたのそういう態度がめんどくさいのよこのグズ!」
「グズ⁉」
イライラとしたようにカレンがキッ!と俺を睨み、代わりに話し始める。
「あの人、アルさんが、化け物級に強いってわかったからよ。あんな魔力、今まで見たことがないわ。」
「·····そ、そんなにか?でも、そのアルって言うのは、どう見てもギルド職員だったが······」
「あら、ギルド職員は強くないのが当たり前なの?」
「·····いや、冒険者が突然喧嘩をし始めても止められるように、ある程度の人数、戦える奴はいるらしいが。でもあいつはどう見ても違うだろ。それに、何年か前に俺もこの国に来たことがあるが、あいつはそのときも居て、冒険者にいちゃもんをつけられても小さくなってただけだったぞ。」
「········でも、確かにあの人は強者のはずよ。·······まあそれにしては魔力が少なかったけど。」
カレンの呟くように言った言葉にジークがガクッとなる。
「少なかったのかよ!あんな魔力見たことないとか言ってたじゃねーか!それに、化け物級に強い、とかも言ってたろ!·······あ、でも、別に魔力がなくても、力があれば強いって事になるか。」
「ちょっと、一人で勝手に納得しないで。ちゃんと説明するわよ。·····魔力は確かに見たことがないものだったわ。でもそれは魔力量の事じゃない。·····何て言うのかしら······質?色?密度?····とにかく、そういう所が普通の人とは違ったの。それに、どうやってるのか知らないけど、魔力を箱にぎゅうぎゅう詰めにしてるみたいな印象もうけたわね。」
「魔力を?······抑え込んでるって事か?」
「そうね、多分そんな感じ。でも、もうちょっとカチコチに固めたような·······?」
うまく言えないのか、カレンがうんうんと唸る。
そこでようやくサナも会話に入り始めた。
「カレンの言ってること、的を射てる。あの人は何かを使って、自然に出る筈の魔力の放出を抑えてる。多分、魔道具。後、顔の辺りからも若干魔力を感じた。普通あの辺りからは感知できる程放出されない。」
それを聞いたメイが真剣な表情で考える。
「·····ちょっと怪しいわね、その人。魔道具は一般人には手が出せないくらい高いのよ?それを日常使いするなんて、どこかのボンボンかしら。それに、顔から魔力を感じるってことは、多分認識阻害の魔道具でも身に付けてるんでしょう。······普通はそんな微量の魔力を感知なんてできないから、油断してたんでしょうね。·······そこまでして自分を隠すなんて。危険人物かも知れないわよ。」
メイのその一言で、誰もが真剣になった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる