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24,異世界との時差が凄かった!
しおりを挟む今日は政和にうちで泊まってもらい色々と話をした。丁度明日は土曜日という事で夜更しをしながら……
「………あれ?今日って何月何日?」
「今日は10月6日だな。」
「………………え?」
「アオがいなくなって一ヶ月ちょっとだな。」
……俺、あっちに少なくとも半年以上居た気がするんだけど……?
異世界行って即襲われて……それから爛れた生活しかしてなかった気がするのだが……
一応、何日寝込んだのかとか現状把握はしていたが実際は半年、もしかしたら1年近くはいたはずだ。
それなのにこっちの世界ではまだ一ヶ月しか経ってないというのか……
………異世界あるある?逆・浦島太郎気分だね。
「あの人、バイト先で色々やらかしてるからな。」
「は?」
「あっちで食生活が貧しいのか料理した事がないらしくて、アオのバイトって確か厨房だったよな?全く料理できないらしく接客の方をやってたぞ。」
「あ~………」
「そんであの人の接客がな~………愛想は良かったが態度がな……」
あ~うん、何となく想像できる。敬語なんて使った事ないんじゃないかなあの人。自己中だし。
で、やはりマサから聞いた内容に更に頭を抱える羽目になった。俺……明日バイト入ってるのに何て言い訳したらいいのやら……
「フォローになるかわからないが、お前は一応、記憶喪失ってことにしてある。初日に俺があの人の知人として付き添って説明したから……まぁ、記憶が戻ったとか何とか言いなよ。」
「有難うマサ……俺は良い友を持ったよ。」
ほんと!政和様々です!
持つべき物は友ですな!
______
それから一週間が過ぎた。ほんと、怒涛の毎日だった。
バイト先ではなんか憐れんだ目で見られ「お前は今後、厨房以外外に出るな。頼むマジで」と言われ、大学先では「二ノ宮ってあんな性格だったんだな」と訳の分からない事を言われたり、よく絡んでる友達には「あ~元の葵の方が良いわ。」と更に訳の分からない事を言われた。
ほんと…………あの人、俺の代わりに何しちゃってんの?一発殴りたいんですけど。
「俺………なんでピコリオさんの尻拭いをしてるんだろう……」
「あ~……身中お察しします。で、今日はどうした?」
「いやぁ~バイト先でさ……週1くらいしか合わない先輩に会ってさ……まぁ周りと同じく生暖かい目で見てきて「記憶戻ったんだ。うん、お前は厨房にいるべきだ」ってさ。……その人の話の内容がさ……」
「あ~………村中さんか?」
「うん。」
先輩、村中さんの話いわく、接客中にピコリオさんは酔っ払い客にセクハラされたらしく、それを見た村中さんがピコリオさんを庇いに行こうとしたら………
『僕のお尻ってそんな魅力的かい?でも僕は受けより攻めの方が適しててね………一度僕と体験してみるかい?』
と、セクハラしてきた20後半のサラリーマンに妖美な笑みを浮かべて挑発したらしい。ま、結局サラリーマンの方が怖気づいて会計済ませて楚々くさ帰ってったらしいんだけどね。
も~それ聞いた時の俺の怒り具合と言ったら……腸煮えくり返る思いですわ。
『君にあんな特技があったとは思わなかったよ。見た目真面目そうなのにね。』
って言われた俺の身にもなってほしい。咄嗟に
『え~俺そんな事言ったんですか?俺、記憶がないんですけどね~?』
と言って誤魔化したよ。……ピコリオ、マジ許すまじ。
「そういえば、これ、どうするんだ?」
「あ~これ?まぁ別に邪魔にはならないからこのままかな。粗大ごみ扱いだけど処分するの手間取りそうだし………」
「ま、そうだよな。………若干この部屋には存在感半端ない気がするんだが……」
そう、俺が帰ってきてまず気になった事がある。
かなりゴージャスな全身鏡がベッドの隣にドカッと置いてあったのだ。
しかもこの鏡はピコリオさんが魔法で作ったらしい。
はじめ、魔法がない世界でピコリオさんが魔法が使える事に驚いたが普通に使えたようだ。
それでも魔力の源、魔素?というものが異世界に比べ極僅かだが有ったらしく(ある事に驚いたが)少しずつ魔力を練って?作ったらしい。
「生活に支障はないからこのままかな。引っ越すとかするなら考えるけど」
「そっか。………あのさ、暫く俺もここに居候してもいいか?」
「ん?ああ、別にいいよ。もう少しピコリオさんとマサの話を聞きたいし。……でもどうして急に?」
「……………」
政和は苦笑いして何も答えてくれなかった………
________
それからまた一週間経った。
政和も同じく一人暮らしだった事でルームシェアしようかという話をして引っ越しをした。
俺たちは来年大学卒業&就職という事で大学からは少し遠ざかったが駅近で防音完備の2LDKの良い物件を見つけ敷金礼金を割り勘して払い借りた。
あのゴージャスな全身鏡、なんか宝石のようなキラキラした物が大量にあしらってて、なんだか傷付けたら大変な事が起きそうだと二人で話し、エアーキャップを大量に巻いて大切に大切に移動させ、リビングに置く事にした。
風水なんて知らん。
とりあえずリビングに置いておけば自ずと目に入るし問題なし。なんか売ったら高値つきそうだから盗まれたら大変だし。
かといってお蔵入りはさせません。
出かける時に身嗜みチェックできるから意外と重宝してます。
やるじゃんピコリオさん。
「うん、アオと同居は正解だな。飯が美味い。」
「マサは掃除上手だよな!凄く部屋綺麗!いいコンビじゃん?」
「そうだな。」
互いに邪魔にならない、役割分担もできて、居心地抜群!
友人と同居最高です!
…………こっち帰ってきてから喪失感を感じるようになったけど政和がいてくれて助かった。
やっぱり、どこか物足りない、寂しい気持ちで押しつぶされそうな時がある。
それはきっと政和もなんだろうな………よく、ピコリオさんが作った全身鏡見つめて寂しそうな顔してる姿をみるからね。
はぁ…………王様、今頃何してるかな………?
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