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20,ついにこの時がやってきました!(出産編)
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「う…………?」
深夜。
寝返りをしようと横寝から仰向けになった所でお腹に違和感を感じた。
あれ、これってまさか……?
多分、直感でわかる。これ、ついに陣痛の兆しだ。
急いで隣に眠ってる王様を起こした。
ペチペチと頬を叩く。
「お、王様、レオニクス様!おぉ起きて!起きて!」
「んぅ……?どうかしたかアオイ……?」
「お、お腹痛い!う、生まれるかもっ!」
「なんだとっ!?待て、すぐ産婆を呼ぶっ!待っておれ!」
「うん、うん、早くっ!お願いします!」
半裸で寝ているので急いで近くにあったバスローブを羽織りバーン!と音を立てて扉から出ていった。……もう少し静かに出ていってほしいなぁ。
それから何度も出産に立ち会った事のあるという助産師さんがきた。……?あれさっき王様、産婆って言ってなかった?なんか30後半位の若そうな女性が来たよ?
「お初にお目にかかります。助産師のミーナルと申します。」
「は、はぁ……」
「挨拶はそこそこですね。とりあえず、魔法で身体を綺麗にさせてもらいますね~。お腹の痛みはどうですかぁ?」
それから色々と質問をされ返答しながら腹の痛みに耐えながらとにかく応えた。
それから2人ほど助手?らしき女性がやってきて。お湯やタオルなど準備し始めた。そして王様を始め男性は立入禁止となった。……扉の先でザワザワしてるのが聞こえるんだけど今は気にする余裕がない。
「う~ん、う~ん、……うぅ~……」
「少しずつお子が降りてきてますからね~。頑張ってください王妃さま~。」
俺、女の子じゃないから妊娠・出産の知識ゼロなんだよね。世の中のママさん……こんな苦労して子供出産してるのっ!?友達に5人兄弟がいるって奴いたけど、この苦しみを5回も経験してるママさんって……うわぁ尊敬するわ。
「あ~~~~!痛い、痛い、痛い~!」
「まだです~まだ力んじゃ駄目ですよ~。はい深呼吸~深呼吸~」
「う~~~………」
し、死ぬ…………
_________
只今、小さな小さな双子のモフモフを両手に抱えてモフり中。
そう、何を隠そう、生まれた子は人形ではなく獣の姿で生まれてきた。
先に生まれたのが雄、次に生まれたのが雌。見事に王子を生ませていただきました。
意識朦朧としてる中、ミィーミィーと子猫が泣くようなか細い鳴き声が股の間から聞こえて驚いたよ。まさか自分の腹ん中からモフモフが出てくるとは思いもよらなかったよ。
双子ちゃんが生まれた後にバーン!と扉の方から聞こえ「アオイー!」と王様の声が聞こえたあたりでプツンと意識が途切れてしまった。
次に目が覚めたら両腕に小さなケモノちゃんが包まってスヨスヨ寝ていたよ。もう可愛くて感動しちゃったよ。
双子はどちらも黒いライオンだった。見事に俺と王様の遺伝を半々受け継いだね。
お兄ちゃんであるラオクルス(王様が決めた)の首周りにはもう長毛があり、成長すれば立派な鬣が生えそうな予感が今から感じる。
妹のレイミール(これも王様が)はくっきりとした瞳に赤子だからかもしれないが毛艶がとても良い。王様は初めてレイミールを見て「美人に育つぞ。さすが我が子だ!」とべた褒めしていた。
……俺、平凡顔なんですけど。うん、どうか王様に容姿だけ似てください!性格は俺が鍛えるからど~か性格だけは王様に似ないでください!
俺はまだできないが為に王様が二匹を毎日グルーミングしている。…流石に俺には出来ない。毛玉吐き出せる自信がない。
代わりに撫でたりキスしたりスキンシップをとった。…何故か王様に嫉妬されたけど。無視。
我が双子ちゃんはすくすく育った。
……信じられない事に、俺の胸から母乳が出た。
だから俺自ら母乳をあげおしめ(布おむつみたいなやつ)を変え一緒に寝たりと全て世話した。…オムツを履いてる子ライオン。なんともシュールな……
王様は双子ちゃんに嫉妬しつつも俺のやる事に関心しながら一緒に子育てをしている。主に王様にしかできない事を教えてる。
俺はまだ魔法も獣化もできないでいる。この世界にきて間もなく発情期、身籠ってしまったから勉強はできても実体験できないでいた。
だから王様が双子ちゃんに優雅な歩き方(?)や獲物の捕り方、あと肝心な獣から人への変身など。俺が教えられない事が多々ある。
そんなこんなで一ヶ月経った頃。
なんだか胸騒ぎを感じ夜中に目が覚めた。
隣には双子ちゃんと王様が眠っている。川の字…だと線が一本多いが家族絵図によくでる光景を見て思わず口元が綻ぶ。
夜は少し冷えるためガウンを肩に掛けベランダへ行く。
……うん、とても静かな夜だ。
未だに胸騒ぎが収まらず不意に目に入った月を眺め胸元に手を置く。すると……
『ああ、やっと返事が帰ってきたね!』
あのドッペルゲンガーの声、ピコリオさんの声が脳に響いた……
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