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18,今後の話をしようか。うん、監禁は嫌よ?
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ち、沈黙が重い……
説明の殆どはラムンさんがしてくれた。まぁ俺はある意味被害者的立ち場だから何とも言えない。
「つまり、あいつは今アオイの世界にいると?」
「そうです。」
「アオイがこの世界に来てから奴からの連絡は?」
「ありません。」
「ならこのままここにいればいい。」
「お、王様……」
「アオイ……番と出会い、そしてその番がいなくなった後の残された者の最期を知ってるか?」
「いえ……」
番の最期か……何となく想像はできるけど、壮絶なんだろうな。
「番の片割れが病気や戦死など先に絶たれ残された番は……始めは悲しみに暮れ、次に気が狂い暴れだし、次に自傷行為をしだし、最終的には……生きた屍となり植物になったかのようにただ息を吸って吐く生き物に成り下がり最期を迎えるのだ。」
「うっ………」
壮絶なんてものじゃなかった。かなりヤバいよそれ。薬物中毒者みたいじゃん。
番とは生きているうちに出会える確率が最も低く、番の夫婦は希にしかいないそうだ。この国に何組かいるらしく、片割れを亡くした番の姿を王様もラムンさんも何度か見たらしい。
だから運命の番は出会えれば幸せであり、それに比例して不幸でもあるらしい。呪われた運命とも言われてるらしい。
「我はこの国の王であり縄張りを守らなければならないという強い責務を担っているため、確実にとは言えぬが狂うことはしないだろう。だがもう王として表舞台にはでれなくなるだろうと想像ができる……」
「お、王様……」
「だからアオイ……出産したらいなくなってしまうのなら我は子は望まぬ。今すぐその腹の子を堕ろせ!」
「王よ!それは言いすぎです!」
「言い過ぎではない!アオイがいなくなってしまえば我は死んだも同然。……そうだ、我もそのアオイの世界とやらに付いていく!その生まれた子を次期国王に据えればよい!そうだ、そうすればいいのだ!そしてもしそれが叶わなければ何としてでもアオイをこの部屋から出れないよう呪術で……ああ、万事解決だ。」
「なにが万事解決だよ王様。とりあえず落ち着いて。」
なんか王様が暴走しだした。思考が斜め上、じゃない下に行き過ぎてかなり怖い。それに最後の方、聞き捨てにならないよ?……え、俺監禁されちゃうの?
とりあえず抱きしめた。グータラな生活しすぎて足がもた付いたけど王様の近くに行って脇じゃなく肩の方に腕を回して後頭部を掴み顔を自分の肩に抱え込むようにして抱きしめた。
そしたら抱きしめ返された。なんかおデコを肩に擦りつけられてる感覚がしたが気にしないでおこう。
「子は堕ろさない。生まれてくる子に罪はない。親の都合で殺された子の身になって。」
「……すまん。」
「そして俺は元の世界に帰るよ。俺にも生活がある。親もいるし、学校もバイトもあるし、何より時間がどうなってるのか気になる。俺がここと同じ時間が過ぎてるなら俺は周りの人たちに多大なる迷惑をかけてることになる!……そーゆう確認も兼ねて俺は元の世界に帰りたい。」
「…………」
「そもそもピコリオさんと連絡がとれるのか不明だから、とにかく子供が生まれなければ話は進まないんだ。……ね、王様、俺はそんな直ぐにいなくなるわけじゃないんだから、そんな心配しないでよ。」
「…………」
あ~王様ついに無言になっちゃった。てか俺タメ語で話してるけど不敬罪にならないのかな?
俺はとりあえずラムンさんに目配せして部屋から出ていってもらった。……多分、気を利かせてお偉いさんにも今日はお休みにしてもらえるよう伝えてくれるだろう。
とりあえず立ちっぱなしが辛かったからソファーへと誘導して座った、というか座らせた。
俺は王様の肩に手を置いて王様の膝の上に座らされた。そして俺の胸元に頭をグリグリ押し付けられたので頭を抱きしめてやった。……意外と甘えたか?
「ねぇ王様聞いて?俺は王様の事、嫌いじゃないんだよ。」
「………」
「むしろす、好き、だし?離れたくないって思える位には、その、好きだし?」
「………」
「だからさ、ピコリオさんと連絡とれたらさ、元の世界に帰った後、またこっちに来れるか、相談してみようと思うんだ。」
「………」
「だからさ………そんな気落ち、しないでくれよ。まだ先の事なんかわかんないんだから、さ?」
「………ああ」
う~ん………なんな喋ってほしいんだけどなぁ~?
とりあえず頭を撫でた。
よしよし、よしよし、
ナデナデ、ナデナデ、
あ、耳がピピッと動いた。どうやらくすぐったかったらしい。そうそう、猫のこの耳の反応が可愛いよね~!
機嫌良く頭を撫でてたら「遊ぶな」と怒られた。それでも撫で続けたら顔を上げられベロリと頬を思いっきり舐められた。
おぅ、ザラザラしてくすぐったかったぞ。
それから暫く戯れあった。うん、少しは気分が上がったかな?
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