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17,番と言われましても……

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「アオイは間違いなく我の番だ!やはり発情期の時に確信した。いや、そもそも出会った頃から予感はしていた!」


ツガイってあの番?あの唯一無二の存在で魂の片割れとも言われてる(?)あれの事ですか?

健診の為ベッドに寝かされてた身体を王様がギュ~~っと抱き締めてきた。あ、力加減抜群で苦しくはないね。

下腹部が重い気がするのは子供が二人もお腹にいるからで気のせいじゃなかったわけだ。
あらまぁどーしましょ。


王様は執務の途中だったらしく、またお偉いさんが迎えにきて王様を引っ張って出ていった。出ていく時「ご懐妊おめでとうございます」と言って90度に腰を折り曲げ一礼して出ていった。
この前と違いお偉いさんの姿をはっきりと見れた。手や顔がシワが刻まれて丸い耳と尻尾があった。ガタイも良く短髪だがサラサラな感じがなんとも言えない姿だった。……多分、クマだろう。
穏やかな笑顔で祝言を言ってきたあたり歓迎はされているらしい。王様を見る目はギラギラして怒りオーラが半端なかったけどね。


「……どうしようラムンさん……俺、まだ王様に言ってないんだけど……」

「……えっと、師匠と連絡は?」

「…どうやって?」

「………………」


え、俺、本当に出産したら帰れるの?



__________________




それから怒涛の日々が続いた。

まず後宮。俺が身籠ったという事で解体された。中には後宮に留まりたいと言う者もいたらしく、留まりたい理由次第で処遇が決まったらしい。
中には、純粋に王様を慕ってる人もいて、発情期に希望を抱きずっと後宮にいた者もいたらしい。
……凄いね。

次に俺の立ち位置。
……俺は一応、ピコリオさんの親族という事になった。遥か遠くの国に住んでて、ピコリオさんに会いに来たときに偶然王様と出会い寵愛を得たという設定になった。名前は変わらずアオイ・ニノミヤで良いらしい。
とにかく誰も王様の子を身篭らなかった事もあり俺は身分関係なく手厚い対応をしてもらう事になった。
と、言っても今までと変わらず俺は初めて来たゴージャスな部屋からでれないけどね。

あ、ちゃんと理由があるよ?
やっぱり俺は狙われるらしい。他国の暗殺者に。
王様はまだまだ現役だが他国からすれば世継ぎがいない事でよく襲われたりしているらしい。
そこは野生のルールが適応されるらしく、国の王がいなくなれば乗っ取られてしまうようだ。
レオニクス様が収めてる国はかなり広く大国な為、よく狙われてるらしく、よく視察を繰り返し見回りをしているらしい。
緑豊かで土地は肥えており、環境も過ごしやすい天候が続いてるらしく、他国が羨んでるようだ。

他国については犬族至上主義な国もあれば草食種族のみが暮らしてる国もあるらしい。俺のいる国は誰でもウェルカムな国らしく様々な種族がいて混血種が多いようだ。

というわけで俺はこの部屋、王宮の離れから出ない方が安全らしい。結界が張ってあるしね。
だから生活は今まで通り変わらずだった。

ただ食事が変わった。
なんと王宮勤めである料理人がわざわざ足を運んで俺の所まできて


「王妃様が食べれる料理を作りたいと考える所存でございます!どうか私めにご教授頂けませんか!」


と第一声で言われた。
まぁ調理法を教えるのは構わない。構わないけど、なんか聞き捨てにならない事をこの料理人が発したのは気のせいかな?


「おうひ………?」

「はい!王妃様!」

「………おうひさまって、誰の事?」

「………え?」

「「……………」」


チラッとラムンさんの方を盗み見した。
ちょっとラムンさん、目を逸らさないでほしいな?
ちょーっと、説明してもらえるかな?


………


なんだかんだ勝手に話が進んでいたらしい。

俺、王妃になんてなれないよ?子供生んだら元の世界に帰るんだから。


とりあえず料理人には一旦帰ってもらいラムンさんを問い詰めてみた。


「王がもう話を進めています……」

「ラムンさんは事情を知ってますよね?反対してくれなかったんですか?」

「もちろん話を勝手に進めては良くないと進言しました。しかし王が「事後報告で問題ない!」と言い切られてしまいまして……」

「………はぁ、早くピコリオさんとの話を王様に話さなければ取り返しのつかない状態になりそう……」

「そうですね。出産したら元の世界に帰る事を王が知ったら」





「それはどういう事だ?」

「「!」」


あ、言う前にバレた。




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