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13,発情期、らしいものがきました。
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「フーッ、フーッ、フーッ、……うぅ、なんだ、これ……?」
朝から身体が怠い。
4日前に王様は視察しに留守にしている。
これ、どーしたらいい?風邪でもひいたのか俺?でも昨日まで普通に生活してたんだけどなぁ……
__________________
俺は王様が視察に城を留守にしている間、体力が回復し(多分慣れもある)、ベッドから起き上がり調理場へ向かいラムンさんに調味料を買って貰い料理し始めた。
造りはまんま日本式キッチン。使い勝手も同じ。器具もそう。フライパン、お鍋、包丁、お玉など……
あ、でもコンロの火は魔法でした。それはラムンさんに助けてもらいました。
とりあえず肉をステーキの様に切って焼いた。何の肉かは聞いてない。魔獣の肉って知ってるから。多分、牛や豚という生き物はいないんだろうね。
あるある異世界の魔獣、なんちゃらバッファローとか、そーゆー系だろうな。だから何の肉か聞いてもわからないから聞かない。
簡単に塩コショウで味付けして少し味見。そう、ラムンさんから貰った調味料は塩と胡椒だった。こちらでは調味料として使ってるんじゃなく魔除けや肥料?に使ってるらしい。なんと勿体無い。
そして味は……うん、問題ない。豚肉に近いかな。でも、うん、美味しいよ。多分ステーキ醤油の方が合ってたかも。次はそうしよう。
「これは美味しいですね。アオイさんが調理するだけでこうも美味しく出来上がるんですね。」
「もともと料理は得意なので。もっと調味料や食材があれば色々と作れるんだけど……」
「私は余り料理について詳しくないので……ふむ、王が帰ってきたら進言してみてはどうですか?アオイさんの言うことなら聞くかもしれませんし。」
「……そう、かな……?」
俺、未だにこの部屋から出た事ないんだよね。
外って……どーなってんのかな?やっぱケモミミで溢れてるのかな?
そーいえば俺も獣化できるのかな?その前に魔法の使い方を教えて欲しいなー……
そんな事を思いながら夜、眠りに付いた。
そして朝。
身体が怠くて熱くて何故か有り得ない所が疼いて仕方がなかった。
勝手に腰が揺れて動悸が激しくて苦しいんですけど……
「おはようございま、す……う、この匂いは……」
「あっは、……ラムンさ、ん……はぁ、フーッ、フーッ、」
「大丈夫ですかアオイさん?とりあえず朝食にと持ってきた果物を机の上に置かせてもらいますね。」
「フーッ、フーッ、……ラムンさん、俺のからだ、どうなって……?」
「アオイさん、よく聞いてください。貴方は今、発情期を迎えてるんです。」
「は、発、情期……こ、れが……?」
「今、身体が熱をもち動悸が激しくなり下半身が疼く状態ではありませんか?それに、貴方からは発情期独特の匂いが嗅ぎ取れます。……っ、妻子持ちの私ですら煽られる程の強い匂いです。」
発情期……
これがそうなのか……だから下半身がムズムズして今すぐにでも自分で下処理したいくらいだし……
「発情期を抑える薬はあります。ですが予定では今日の昼に王が帰ってきます。薬は今すぐ用意できますが……それは王と相談をしてから飲んだ方が良いかもしれません。」
「な、んで……?」
「……アオイさんは、なぜ師匠と入れ替わりこの世界に来たんですか?」
「!」
そうだ……ピコリオさんに言われた事。
俺はピコリオさんの身代わりでこの世界に来て、王様の子を身籠り出産しなきゃ元の世界に帰れないんだ……
ラムンさんいわく、受け入れる側が発情してる時に性行為をすると着床率が高いらしい。
つまり身籠りやすいということだ。
早く元の世界に帰りたいなら絶好のチャンスだ。身籠り出産すれば帰れる。
ただ……
「……アオイさん。王は、アオイさんが身籠り出産したら元の世界に帰るという事をご存じありません。それを王に相談するのです。」
「な、ぜ……」
「……王の、今までの行動を見てて、王はアオイさんをとても気に入っている気がします。だから───」
「…………」
なんとなく気付いてた。凄く甘やかされてるって事。そしてそんな王様を俺は少なからず好意を寄せていた。
でも俺はこの国、いやこの世界自体何も知らない。
だから王様には何も言えない。まぁ王様からも何も言われてないから別にそれはいい。
でも、子を出産して元の世界に戻って何になる?
「すみません……来て早々、退出させてもらいます…とにかく、この部屋には王以外を近付けさせないよう手配しておきます。あと…少しでも良いので果物を、口にしてください。」
「……はい。ぅ……なにから、なにまで、すみ、ま、せん。」
「すみません発情期については私は何もしてあげることができないので…あとは王に任せますね。」
「わ、かりました…」
そうだ……とにかく今はこの状態をなんとかしなきゃね…
てか、王様がくるまでこの状況って……結構辛いっ!
早く帰って来て王様ー!
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