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第2章 四葉の役割
2ー17 アルバドとマルファス①
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四葉と別れ、今現在王都へと帰宅。そしてすぐ自室へ行き伝書鳩を配置し急いで3通書き伝書鳩の足に縛り付け飛び放つ。
『誰に贈ったのだ?』
「・・・俺が唯一信頼をおける奴らに送った。詳しくは書かず至急俺の所に来いと一言書いただけだ。」
『うむ。いい判断だな。勘が良い奴なら緊急事態だと察知してくれるだろうな。』
愉快そうにマルファスはアルバドの肩で身体をユラユラ揺らしながら話しかける。
『そうだな、お前なら良い。』
「ん?なにがですか?」
『アルバドよ。今日から俺を「マルス」と呼べ。ヨツバにしか許可はしてないが、お前にも俺の愛称で呼ぶ事を許可しよう。』
「えっ!?そんな恐れ多い事を・・・」
『ククッ・・・俺は今はアルバドの従魔だ。名前が無ければ不便であろう?そうそう、俺は闇魔法が得意だ。影移動や闇に通じる魔法が使えるぞ。』
「おぉ・・・流石ですねマルファス様」
『・・・おい、今のうちにボロが出ないようマルスと呼べ。様も無しだ。誰が従魔に様付ける奴がいる!』
「もっ申し訳ない・・・マルス・・・慣れるよう努力する。」
マルファスは真ん丸の黒い瞳を細くして満足そうに笑い、尻尾をパタタと動かす。
『ククッ・・・それと今こうして喋れるのもアルバドだけだ。他の奴にはオオカラスの鳴き声にしか聞こえないぞ。だから安心しろ。一応念話もできるぞ?』
「わかり・・・ました。人前では極力念話の方が良いかもしれませんね。」
『そうだな。まぁ慣れだ。ヘマをするでないぞ?俺を失望させるなよ?』
「期待に添えられるようにがんばります。それに陛下も絡んでますから尚更です・・・」
アルバドとマルファスが話し込んでるうちにドアをノックする音が聞こえた。
そして「アルバド帰ってきたか?」という男性の声が聞こえる。
「ああ、ピダンか。入ってきても大丈夫だ。」
少し焦った感じで四天王の1人、ピダン・マルサンがアルバドの部屋の中に入ってきた。
「やっと帰ってきたか!帰って来て早々話したい事がある!第1会議室へ来てくれ」
「・・・何があったんだ?」
「・・・隣町のプリアラの町がキングベアーに襲われ崩壊寸前だ。」
「なっ!?」
『・・・・・・・』
なにやら怪しい雲行きになってきた。
マルファスはアルバドの肩に乗って一緒に第1会議室へ早足で向かう。
「・・・おい、そのオオカラスはどうした?」
「ああ、・・・この、こいつは俺の従魔だ。名前はマルスという。」
「なに下級魔族なんか従魔にしたんだよ。」
『・・・ガァ(オオカラスは下級ではない)』
「!オオカラスは下級ではないぞ。そっそれにマルスは特殊個体で闇魔法が使えるんだ。だから俺の力になってくれるんだ。」
「まぁ・・・お前がそう言うんなら使えるんだろうな。」
「(たっ頼む~これ以上追及してこないでくれ~!)」
『ガ~・・・(クックックッ・・・気にするな)』
アルバドはピダンが粗相な事を言わないか冷や冷やしていた。
それをみてマルファスは愉快そうに笑うのであった。
「・・・これより会議を始める。まず、アルバド、テール町の方はどうだった?」
「あぁ・・・テール町に行ったがトラブルが起こってな・・・」
王の杯を見つけた事など隠しテールの町であった出来事を話した。
・・・まだこの中に裏切り者、というかギンギと繋がってる奴がいる可能性があるので全てを話さず嘘と事実を混ぜて話をした。
マルファスはアルバドの話を聞いてる他の3人をじっと観察する。
妙な動きをしてないか。目の動き、手の動き、口の動きなど細かい所を観察する。
「・・・て事で、まだ王室の宝は見つからなかった・・・すまない」
「いや・・・あの糞ギンギの言う事なんてシカトしておけば良かったんだ。手間をとらせたなアルバド。」
「・・・あぁ。それよりプリアラの町はどうなんだ?いつキングベアーが現れたんだ?」
「ああ・・・その事についてはピノから。」
「ええ、私が話すわ。」
四天王の1人、弓の達人のピノ・キュウムが話始めた。
「昨日の出来事よ。伝達に使われてるピスパロウが王都の伝書鳩小屋に手紙を持ってきたみたいなの。」
その手紙の内容は門番が異常を感じ、森の調査を頼むとキングベアーのペアらしき2頭がプリアラの町目指して走ってくるのを確認した。
そのような内容が書かれた手紙をピスパロウは持ってきたらしい。
「・・・それで、王都からは支援はどうしてるんだ?」
「そ、それが・・・」
なんでも今は三大都市の一つ、花の国「絶壁都市ラフラヤード」の兵がこの要塞都市ギルディアンに向けて進行中との情報が入った。
そのため都市を守るため全兵士が戦争に向けて動き出しているらしい。
「なんとバットタイミングなんだ・・・これでは動く事ができない状況じゃないか!!」
「しかもですね・・・その都市を守るための指示を・・・あのギンギ少将が仕切っているのです」
「!!!そんな馬鹿な!将軍は?ラタル将軍はどうしたんだ!?」
「・・・ラタル将軍は・・・行方不明だ。」
「なっなんだと!?俺がテールの町に行く前まで、ここ王都にいたではないか!!なのに今は行方不明!?おかしいだろ!」
『・・・・・・』
「おっ落ち着いて下さいアルバドさん・・・今はまず、どうするか話し合いましょう!」
「なんだよ・・・キナ臭い。可笑しいと思わないのかよ?ラタル将軍なら良い案をたくさん出してくれる!今の状況は到底・・・俺たちだけの判断で行動すべき事じゃない・・・」
場の空気が重くなる。キングベアーは強い魔物。討伐しなければプリアラの町は瞬く間に滅ぶであろう。
しかし王都を守る兵を削れば異常事態に対応が間に合わないかもしれない。
二兎追う者は一兎も得ず
ここはプリアラの町を切り捨てるしかないのか・・・?
『・・・・・・・』
『誰に贈ったのだ?』
「・・・俺が唯一信頼をおける奴らに送った。詳しくは書かず至急俺の所に来いと一言書いただけだ。」
『うむ。いい判断だな。勘が良い奴なら緊急事態だと察知してくれるだろうな。』
愉快そうにマルファスはアルバドの肩で身体をユラユラ揺らしながら話しかける。
『そうだな、お前なら良い。』
「ん?なにがですか?」
『アルバドよ。今日から俺を「マルス」と呼べ。ヨツバにしか許可はしてないが、お前にも俺の愛称で呼ぶ事を許可しよう。』
「えっ!?そんな恐れ多い事を・・・」
『ククッ・・・俺は今はアルバドの従魔だ。名前が無ければ不便であろう?そうそう、俺は闇魔法が得意だ。影移動や闇に通じる魔法が使えるぞ。』
「おぉ・・・流石ですねマルファス様」
『・・・おい、今のうちにボロが出ないようマルスと呼べ。様も無しだ。誰が従魔に様付ける奴がいる!』
「もっ申し訳ない・・・マルス・・・慣れるよう努力する。」
マルファスは真ん丸の黒い瞳を細くして満足そうに笑い、尻尾をパタタと動かす。
『ククッ・・・それと今こうして喋れるのもアルバドだけだ。他の奴にはオオカラスの鳴き声にしか聞こえないぞ。だから安心しろ。一応念話もできるぞ?』
「わかり・・・ました。人前では極力念話の方が良いかもしれませんね。」
『そうだな。まぁ慣れだ。ヘマをするでないぞ?俺を失望させるなよ?』
「期待に添えられるようにがんばります。それに陛下も絡んでますから尚更です・・・」
アルバドとマルファスが話し込んでるうちにドアをノックする音が聞こえた。
そして「アルバド帰ってきたか?」という男性の声が聞こえる。
「ああ、ピダンか。入ってきても大丈夫だ。」
少し焦った感じで四天王の1人、ピダン・マルサンがアルバドの部屋の中に入ってきた。
「やっと帰ってきたか!帰って来て早々話したい事がある!第1会議室へ来てくれ」
「・・・何があったんだ?」
「・・・隣町のプリアラの町がキングベアーに襲われ崩壊寸前だ。」
「なっ!?」
『・・・・・・・』
なにやら怪しい雲行きになってきた。
マルファスはアルバドの肩に乗って一緒に第1会議室へ早足で向かう。
「・・・おい、そのオオカラスはどうした?」
「ああ、・・・この、こいつは俺の従魔だ。名前はマルスという。」
「なに下級魔族なんか従魔にしたんだよ。」
『・・・ガァ(オオカラスは下級ではない)』
「!オオカラスは下級ではないぞ。そっそれにマルスは特殊個体で闇魔法が使えるんだ。だから俺の力になってくれるんだ。」
「まぁ・・・お前がそう言うんなら使えるんだろうな。」
「(たっ頼む~これ以上追及してこないでくれ~!)」
『ガ~・・・(クックックッ・・・気にするな)』
アルバドはピダンが粗相な事を言わないか冷や冷やしていた。
それをみてマルファスは愉快そうに笑うのであった。
「・・・これより会議を始める。まず、アルバド、テール町の方はどうだった?」
「あぁ・・・テール町に行ったがトラブルが起こってな・・・」
王の杯を見つけた事など隠しテールの町であった出来事を話した。
・・・まだこの中に裏切り者、というかギンギと繋がってる奴がいる可能性があるので全てを話さず嘘と事実を混ぜて話をした。
マルファスはアルバドの話を聞いてる他の3人をじっと観察する。
妙な動きをしてないか。目の動き、手の動き、口の動きなど細かい所を観察する。
「・・・て事で、まだ王室の宝は見つからなかった・・・すまない」
「いや・・・あの糞ギンギの言う事なんてシカトしておけば良かったんだ。手間をとらせたなアルバド。」
「・・・あぁ。それよりプリアラの町はどうなんだ?いつキングベアーが現れたんだ?」
「ああ・・・その事についてはピノから。」
「ええ、私が話すわ。」
四天王の1人、弓の達人のピノ・キュウムが話始めた。
「昨日の出来事よ。伝達に使われてるピスパロウが王都の伝書鳩小屋に手紙を持ってきたみたいなの。」
その手紙の内容は門番が異常を感じ、森の調査を頼むとキングベアーのペアらしき2頭がプリアラの町目指して走ってくるのを確認した。
そのような内容が書かれた手紙をピスパロウは持ってきたらしい。
「・・・それで、王都からは支援はどうしてるんだ?」
「そ、それが・・・」
なんでも今は三大都市の一つ、花の国「絶壁都市ラフラヤード」の兵がこの要塞都市ギルディアンに向けて進行中との情報が入った。
そのため都市を守るため全兵士が戦争に向けて動き出しているらしい。
「なんとバットタイミングなんだ・・・これでは動く事ができない状況じゃないか!!」
「しかもですね・・・その都市を守るための指示を・・・あのギンギ少将が仕切っているのです」
「!!!そんな馬鹿な!将軍は?ラタル将軍はどうしたんだ!?」
「・・・ラタル将軍は・・・行方不明だ。」
「なっなんだと!?俺がテールの町に行く前まで、ここ王都にいたではないか!!なのに今は行方不明!?おかしいだろ!」
『・・・・・・』
「おっ落ち着いて下さいアルバドさん・・・今はまず、どうするか話し合いましょう!」
「なんだよ・・・キナ臭い。可笑しいと思わないのかよ?ラタル将軍なら良い案をたくさん出してくれる!今の状況は到底・・・俺たちだけの判断で行動すべき事じゃない・・・」
場の空気が重くなる。キングベアーは強い魔物。討伐しなければプリアラの町は瞬く間に滅ぶであろう。
しかし王都を守る兵を削れば異常事態に対応が間に合わないかもしれない。
二兎追う者は一兎も得ず
ここはプリアラの町を切り捨てるしかないのか・・・?
『・・・・・・・』
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