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第7話 組織の状態
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西園寺さんの所属してる組「白虎組」。そこの傘下に所属してるのが西園寺さん。
関東の西側全域をまとめてる組。
組は東西南北とわかれていて、それぞれ組には四神の名前が付けられている。
東は「青龍組」、西は「白虎組」、南は「朱雀組」、北は「玄武組」。
最近、白虎組の総長が高齢で引退をするとの噂がながれ、内輪揉めが起こり、それに便乗して2つの組が分裂し争うようになった。
そのうちの1つ「西園寺組」の組長の義兄弟である西園寺さんが組長を守り怪我をしたという事らしい。
それは現在進行形で今も睨み合いが続いてるらしい。
「で、今は君が行方不明になり西園寺組は混乱してるよ。・・・きみ、幹部と言ってるけど本当は・・・」
「・・・ああ、今いる組長は組長代理だ。」
「やっぱり・・・」
「・・・若は今はどうなってる?」
「あぁ、え~小虎くんだっけ?大丈夫だよ大人達に守られて俺も知らない隠れ家にいるらしいよ。」
「・・・そうか。」
なんとなくわかった。この西園寺武寅は正真正銘のヤクザで、しかも組長なんだな。その本物の組長が行方知れずになれば慌てるわな。
「・・・では組に戻りますか?西園寺さん」
「・・・」
「いや、戻らない方がいいね。もう一組の「鎮西組」が君を躍起になって探してるよ。」
「!・・・そうか。」
「・・・ふ~仕方ないですね。私が言伝てを伝えに行きましょう。」
「はっ?何故万理衣が?」
「・・・ちょっとしたツテがあるんで。私が頼めば多分・・・伝言等伝えられますよ。」
「何でそんな事がー」
「あーあー西園寺くん、それ以上は聞かない方が良いよ。万理衣さんの為にも西園寺くんの為にも。」
晶さんナイスフォロー。
・・・実は私も裏でヤクザしてます。
滅多に表にでないので、かなりの上の者でなければ知らない組織に所属してます。
まぁ私に縁がある以上いつかはバレるだろうが今は知らない方が良いね。
「とりあえず「西園寺武寅は無事」って事を伝えれば良いでしょうか。」
「あっああ・・・それでとりあえずは落ち着くと思う。」
「ふ~・・・まぁ丁度良いかもしれません。・・・今日は満月ですし。」
「あぁ、そういえば今日は満月だな。」
西園寺さんは首を傾げてる。・・・そりゃそうだ。西園寺さんは何も知らないんだから。
「・・・じゃあそろそろ出掛けます。晶さん、後は頼みます。今日は誰も来ませんから。一応出ていく時は戸締まりだけお願いしますよ。」
「あい了解。あ~俺も久々にアノ姿を拝みたいものだ。」
「・・・変な言い方しないでください。変態じみてますよ。」
「変態は誉め言葉です!」
ハァと溜め息をはき冷めた目で晶さんを見たがニヤニヤしながら手を振って見送ってくれた。・・・なんだか腑に落ちない。
それから部屋に行き全身、ブラウスまで真っ黒なスーツに身を纏い猫らしく窓から音もなく出ていく。
小さな窓のカタカタと言う音を聞いて晶さんは「行ったな」とボソッと呟く。
「・・・久々の顔がきたな。」
一人の男が一人用のソファーに深く座って大きな窓の外を眺める。付き人の男性に窓を開けるよう指示して開けさせる。
ここはとある高層ビルの最上階。
猫の脚力で他人のベランダを登り最上階のベランダへと到達する。すると1人の男性が窓際に待機していて私を見るなり窓を開けて中に入るよう促してくる。
「・・・お久しぶりです中頭郡さん。御変わりないようで。」
靴を脱ぎ準備されてたスリッパに履き替える。中に入ると待機していた男性が私の靴を持って窓を閉めた。
私は窓際で膝を折り頭を下げ敬礼する。
「珍客ではないか。こんな夜更けにどうした?」
バスローブを着て髪が濡れたままソファーに腰かけているのは、裏の組織、麒麟組・組長「中頭郡 麒鬼」。四神組のどこも属さない組、それも関東の頂点ともいえる組がこの「麒麟組」である。
この麒麟組はほんの数人しか組員はおらず、それでいて一人一人権力をもっている謎の多い組織である。
少しでも勘に障るような事をする組は徹底的に潰されてしまうので四神組には暗黙のルールが何個かできている。
・・・私はその麒麟組に所属してる。
「夜分に申し訳ありません。私の営んでいる店に迷いこんだ一人の人間がいまして、その者は白虎組の者みたいで・・・」
「ああ、今白虎組は荒れているみたいだな。それがどうしたのだ?」
「怪我をして私の店に倒れてまして、手当てをしました。はじめは自分は幹部と言っていたのですが、闇医者の平 晶の調べで、名前は西園寺 武寅という者で、今いる西園寺の組長は代理らしく、今私の元にいるのが組長と判明しまして。」
「そうなのか!今いるのは代理だったとはな!敵を欺くには良い考えだ。」
「・・・その西園寺組長から言伝てをもらいまして、それを西園寺組にいる組長代理に伝えてほしいと言われました。」
「ほう・・・。で、俺に他のシマに入る許可を貰いに来た・・・という事か。」
「・・・はい。穏便に済ませられれば良いのですが、生憎、私の姿は目立ちますので、もしかしたらこの組に迷惑を・・・」
「あぁ、またお前はそんな下らんことを考えてたのか!変わらないな~マリーは。」
「!・・・マリーと呼ばないで下さい。私は女ではありません。」
「くっくっくっ・・・まぁいい。構わないぞ。何かあったら俺を頼れ。・・・あぁ、そういえば今あいつが暇してるぞ?デートに連れてってやってくれ。」
「・・・まさかっ!」
冷や汗が出てくる。中頭郡さんが言ってるあいつとは・・・
バーーーンッ!!!!
「マリーーーちゃあーーん!!!!会いたかったぞーー!!!!」
「うわぁ~・・・」
奥の扉から勢い良くバンと開けて猛ダッシュで私に抱き着いて来たのは、同じく麒麟組に所属している犬神 浅飛。
何かと私に絡んでくるしつこい男だ。
「今日は満月だからね~あぁーーこんな仮面なんか外して素顔さらしてよ~。」
あぁそういえば仮面を取り忘れていた。あっ中頭郡さんに失礼な事をしてしまった。
急いで仮面を取り、また片膝を立てて頭を下げる下げる。
「すっすみません中頭郡さん、仮面を外さないという失礼を働きました。」
「ははは!細かい奴よなマリーは。」
「も~愛しすぎるぜマリーは。」
「・・・お二方、マリーと呼ばないで下さい。そして犬神くん、離れてください。」
嗚呼・・・久々に会ったのにドッと疲れた。
関東の西側全域をまとめてる組。
組は東西南北とわかれていて、それぞれ組には四神の名前が付けられている。
東は「青龍組」、西は「白虎組」、南は「朱雀組」、北は「玄武組」。
最近、白虎組の総長が高齢で引退をするとの噂がながれ、内輪揉めが起こり、それに便乗して2つの組が分裂し争うようになった。
そのうちの1つ「西園寺組」の組長の義兄弟である西園寺さんが組長を守り怪我をしたという事らしい。
それは現在進行形で今も睨み合いが続いてるらしい。
「で、今は君が行方不明になり西園寺組は混乱してるよ。・・・きみ、幹部と言ってるけど本当は・・・」
「・・・ああ、今いる組長は組長代理だ。」
「やっぱり・・・」
「・・・若は今はどうなってる?」
「あぁ、え~小虎くんだっけ?大丈夫だよ大人達に守られて俺も知らない隠れ家にいるらしいよ。」
「・・・そうか。」
なんとなくわかった。この西園寺武寅は正真正銘のヤクザで、しかも組長なんだな。その本物の組長が行方知れずになれば慌てるわな。
「・・・では組に戻りますか?西園寺さん」
「・・・」
「いや、戻らない方がいいね。もう一組の「鎮西組」が君を躍起になって探してるよ。」
「!・・・そうか。」
「・・・ふ~仕方ないですね。私が言伝てを伝えに行きましょう。」
「はっ?何故万理衣が?」
「・・・ちょっとしたツテがあるんで。私が頼めば多分・・・伝言等伝えられますよ。」
「何でそんな事がー」
「あーあー西園寺くん、それ以上は聞かない方が良いよ。万理衣さんの為にも西園寺くんの為にも。」
晶さんナイスフォロー。
・・・実は私も裏でヤクザしてます。
滅多に表にでないので、かなりの上の者でなければ知らない組織に所属してます。
まぁ私に縁がある以上いつかはバレるだろうが今は知らない方が良いね。
「とりあえず「西園寺武寅は無事」って事を伝えれば良いでしょうか。」
「あっああ・・・それでとりあえずは落ち着くと思う。」
「ふ~・・・まぁ丁度良いかもしれません。・・・今日は満月ですし。」
「あぁ、そういえば今日は満月だな。」
西園寺さんは首を傾げてる。・・・そりゃそうだ。西園寺さんは何も知らないんだから。
「・・・じゃあそろそろ出掛けます。晶さん、後は頼みます。今日は誰も来ませんから。一応出ていく時は戸締まりだけお願いしますよ。」
「あい了解。あ~俺も久々にアノ姿を拝みたいものだ。」
「・・・変な言い方しないでください。変態じみてますよ。」
「変態は誉め言葉です!」
ハァと溜め息をはき冷めた目で晶さんを見たがニヤニヤしながら手を振って見送ってくれた。・・・なんだか腑に落ちない。
それから部屋に行き全身、ブラウスまで真っ黒なスーツに身を纏い猫らしく窓から音もなく出ていく。
小さな窓のカタカタと言う音を聞いて晶さんは「行ったな」とボソッと呟く。
「・・・久々の顔がきたな。」
一人の男が一人用のソファーに深く座って大きな窓の外を眺める。付き人の男性に窓を開けるよう指示して開けさせる。
ここはとある高層ビルの最上階。
猫の脚力で他人のベランダを登り最上階のベランダへと到達する。すると1人の男性が窓際に待機していて私を見るなり窓を開けて中に入るよう促してくる。
「・・・お久しぶりです中頭郡さん。御変わりないようで。」
靴を脱ぎ準備されてたスリッパに履き替える。中に入ると待機していた男性が私の靴を持って窓を閉めた。
私は窓際で膝を折り頭を下げ敬礼する。
「珍客ではないか。こんな夜更けにどうした?」
バスローブを着て髪が濡れたままソファーに腰かけているのは、裏の組織、麒麟組・組長「中頭郡 麒鬼」。四神組のどこも属さない組、それも関東の頂点ともいえる組がこの「麒麟組」である。
この麒麟組はほんの数人しか組員はおらず、それでいて一人一人権力をもっている謎の多い組織である。
少しでも勘に障るような事をする組は徹底的に潰されてしまうので四神組には暗黙のルールが何個かできている。
・・・私はその麒麟組に所属してる。
「夜分に申し訳ありません。私の営んでいる店に迷いこんだ一人の人間がいまして、その者は白虎組の者みたいで・・・」
「ああ、今白虎組は荒れているみたいだな。それがどうしたのだ?」
「怪我をして私の店に倒れてまして、手当てをしました。はじめは自分は幹部と言っていたのですが、闇医者の平 晶の調べで、名前は西園寺 武寅という者で、今いる西園寺の組長は代理らしく、今私の元にいるのが組長と判明しまして。」
「そうなのか!今いるのは代理だったとはな!敵を欺くには良い考えだ。」
「・・・その西園寺組長から言伝てをもらいまして、それを西園寺組にいる組長代理に伝えてほしいと言われました。」
「ほう・・・。で、俺に他のシマに入る許可を貰いに来た・・・という事か。」
「・・・はい。穏便に済ませられれば良いのですが、生憎、私の姿は目立ちますので、もしかしたらこの組に迷惑を・・・」
「あぁ、またお前はそんな下らんことを考えてたのか!変わらないな~マリーは。」
「!・・・マリーと呼ばないで下さい。私は女ではありません。」
「くっくっくっ・・・まぁいい。構わないぞ。何かあったら俺を頼れ。・・・あぁ、そういえば今あいつが暇してるぞ?デートに連れてってやってくれ。」
「・・・まさかっ!」
冷や汗が出てくる。中頭郡さんが言ってるあいつとは・・・
バーーーンッ!!!!
「マリーーーちゃあーーん!!!!会いたかったぞーー!!!!」
「うわぁ~・・・」
奥の扉から勢い良くバンと開けて猛ダッシュで私に抱き着いて来たのは、同じく麒麟組に所属している犬神 浅飛。
何かと私に絡んでくるしつこい男だ。
「今日は満月だからね~あぁーーこんな仮面なんか外して素顔さらしてよ~。」
あぁそういえば仮面を取り忘れていた。あっ中頭郡さんに失礼な事をしてしまった。
急いで仮面を取り、また片膝を立てて頭を下げる下げる。
「すっすみません中頭郡さん、仮面を外さないという失礼を働きました。」
「ははは!細かい奴よなマリーは。」
「も~愛しすぎるぜマリーは。」
「・・・お二方、マリーと呼ばないで下さい。そして犬神くん、離れてください。」
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