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番外編2
ジェミーはお嬢様が大好き⑤
しおりを挟む年月が経ち、お嬢様はどんどん魅力的な女性へと成長していった。
最近、文通相手ができたのか頻繁に手紙の受け渡しをするようになった。何故か手紙はシンプルで家紋の印を使わず、場所指定され、そこで待ってる人に手紙の受け渡しをしている。
何故そこまで内密に文通をしてるのかわからない。けどお嬢様に必ず「誰にも気づかれないように」と言われ、他人の目を気にしながら手紙の受け渡しをしている。幼い頃の孤児だった頃のように神経をとがらせて誰にも気付かれず行動するのは久々で神経がすり減った。けど、それだけお嬢様に信頼され任せてくれるので、その信頼に応えようと懸命に動いた。
───ただ、後にガブリエル殿下に筒抜けだったのがわかった。私の行動ではなく、その相手に手紙が届く前に殿下の隠密に手紙の内容を確認されコピーされていたらしい。
それがわかったのはお嬢様が年末に開かれる夜会での出来事だった。
「ドルドムガン嬢は本日、王宮で泊まるため待たずに帰宅してもよいとのことです」
急に近衛騎士が公爵の馬車に近寄ってきてこう告げられた。何かあったのか聞き返そうとしたがもう近衛騎士の姿はなく、念のため周りの貴族が帰宅する姿を見送りながら数時間待って、あたりが閑散としたところで公爵家に戻った。
「ジェミーひとり?ミヤルカーナお嬢様はどちらに?」
「あ、侍女長………それが、お嬢様を待ってた時に近衛騎士が来て、お嬢様は王宮で泊まるから帰れと言われまして………」
「え?そ、それは本当なの?」
「………数時間、待ったのですが、他のご子息ご令嬢が帰宅していくのに一向にお嬢様の姿がなく、仕方なく帰ってきました。」
「わかったわ。旦那様はご存知なのかしら?」
「いえ……いやわかりません。私も今帰ってきたばかりなので」
「わかったわ。旦那様はまだ帰宅されてないので、とりあえず奥様のお耳にはいれときましょう」
「はい」
そう言って侍女長と一緒に奥様のもとへ行き報告をした。奥様は「そうなの。わかったわ」で終わった。……心配にならないのかな?
「奥様、あの……お嬢様は大丈夫でしょうか?」
「どうゆうこと?」
「今日、お嬢様が会場に行く間、お嬢様から何か焦燥感に似たような雰囲気を感じたのですが……」
「そぅ。 ふふ、ジェミーは本当にミヤちゃんをよく見てるわね」
そう言われ奥様はゆっくりソファーに深く座った。
そして奥様がゆっくりと話し始めた。
お嬢様はガブリエル殿下と婚約破棄または解消したいと旦那様に何度か話をしていたらしい。旦那様は何度も訴えてきたお嬢様の願いを叶えるため陛下に謁見を願い出てお嬢様の訴えを陛下に話した。だが陛下は「息子(ガブリエル殿下)が婚約破棄する気がない。婚約破棄したい、余程の理由がなければ破棄も解消もできん」と言い聞く耳持たない状態だったようだ。旦那様は頭を捻りどうにか破棄が出来ないか考えたが溺愛しているお嬢様の欠点など見つける事ができず、ましてやお嬢様の破棄の為とはいえ娘の悪口を言うわけにも行かず八方塞がりの状態だったらしい。
お嬢様は「あんな無愛想な男の妻になんてなりたくないわ!」との事。殿下は「ミヤルカーナを手放す気はない」との事。どちらも一方通行な考えを持っているので話し合うにも話し合いにもならず時がただただ過ぎていったらしい。
奥様的には「ミヤちゃんを一途に大切にしてくれる人ならたとえ平民が相手でも許するわ」との事。まぁ奥様、寛容な心をお持ちで………
「きっと、夜会で何かあったのね。でも、心配しても仕方ないじゃない?ミヤちゃんは何でも一人でこなせる程しっかりしてるから大丈夫よ。帰ってくるのを待ちましょ」
奥様……尊敬します。
それから、お嬢様が帰宅したのは夜会から3日経った後だった。
朝、旦那様宛に王室から手紙が届き、家族総出で王宮へ行った。そう、家族総出で。ノアルーア様とカタリアーナ様も学園を休み一緒に王宮へと行ったのだ。………何故?
そして帰ってきた公爵家の皆様は……なんだか物凄くカオスな状態だった。旦那様とノアルーア様は怒り心頭、奥様は苦笑しており、カタリアーナ様は泣きべそかいててお嬢様は……物凄くお疲れな雰囲気だった。
何故かと思ったが……理由がわかった。
それは入浴の時だった。何故かお嬢様が服を脱ぎたがらなかった。でも疲れているため入浴したいのは行動を見てればわかる。ただ、服を脱いだが前元をタオルで隠して入浴している。気にはなったがお嬢様が隠してる以上、聞かないほうがいい、知らんぷりして身体をマッサージしていると………
チラッと見てしまった。
鎖骨の辺りから胸元に赤い跡。
あれって………アレ、よね。
だからか。男性陣は怒り心頭で帰宅。女性陣は戸惑いながらの帰宅。そりゃあ旦那様、怒るわ。
だってアレ、鬱血痕よね。 いわゆるキスマーク。
つまり、ガブリエル殿下とミヤルカーナお嬢様は……えっと?結婚前だから婚前交渉?したのね。 で、お嬢様がキスマークを見られたくないわけだ。……殿下、やるわね。
殿下はお嬢様を逃したくないがため強行突破したのね。素晴らしい。王太子殿下としてはアウトですがお嬢様を一途に想っての行動なら男としてナイスと思うわ。
殿下なら、責任もってお嬢様を幸せにしてくれる事を願うわ。
_________
長くなりました。
(予告)次回で終わります。
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