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番外編2

ジェミーはお嬢様が大好き④

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夜会の話の他にもお嬢様の功績をつらつらと話す。
ノアルーア様が機嫌が悪い時(お嬢様以外はわからなかった)、第一にお嬢様が気付き旦那様に言いに行きノアルーア様に気づかれないよう対処したり、お忍びと称して街に行き(勿論、隠れて護衛付き)、気になる店に入っては文句を言って出ていき、また新たな店に入っては文句を言っての繰り返しをして店を回り、後に旦那様に「あの店汚い!けど、雰囲気や食事は合格だった!」と良い所悪い所を報告して、最後に決まり文句「パパなら偉いんだから何でもできるでしょ!」で話は終わる。旦那様は「わかった」の一言ですぐに問題に取り掛かるのでそれもまたある意味凄いと思うわ。5歳児の娘の話を聞いて行動するなんて、もう旦那様がお嬢様を溺愛してるのが丸分かりよ………注意することもせず話を聞いてくれて、言う通りに動いてくれるんだから、そりゃあお嬢様が我儘、傲慢になるのも頷けるわ
ところで、お嬢様が未だに口を半開きでポカンとしてるんだけど、本当に大丈夫かしら?
 


お嬢様が倒れてから年月が経った。
最近、お嬢様の様子がおかしい。
14歳の誕生日を迎えてから、なんだか落ち着きなくソワソワしている。話しかけても返事は返ってくるがどこか上の空な感じなのだ。侍女長に聞いても奥様に聞いてもわからず、なんだか心配で目が離せなくなった。
そんな時にきた王室からの招待状。第一王子のお披露目にお嬢様が招待されたのだ。それを聞いたお嬢様は息を呑んで硬直していた。
王室からの招待状ですよ?普通は名誉の事じゃないの?なんでかお嬢様からは……喜びより緊張、不安な感情が溢れてる気がするんだけど………?

そして当日、私は腕を振るってお嬢様を綺麗に着付けた。お嬢様は本当に美しいですわぁ!まだ14歳とあどけなさはあるけど容姿が非凡で美人なので少し着飾るだけで栄えるのだ。
出来栄えに満足してるとお嬢様の様子がいつもより緊張してる事に気付く。………大丈夫かな

旦那様たちに見送られ馬車に揺られ数時間。王宮に着きお嬢様と一緒に会場へ入る。平民の私がお嬢様の侍女にならなければ一生入れない王宮へ行き緊張しながらお嬢様のうしろに着いていく。途中、お嬢様と親しくしている令嬢と合流した。
本来、たかが侍女がお嬢様に着いていく事はできない。ただ、今回は特別に旦那様の代理(急な仕事が入った為)でお嬢様の付き添いとして来れているのだ。始めは侍女長にってことだったのだがカタリアーナお嬢様が体調を崩し奥様と侍女長が看病する事となり、私が行く事になった。


王宮は、それはそれはきらびやかで、沢山の貴族が集い、一口サイズの美味しそうな食事がテーブルの上に並べられてて、もう私にとって異次元の世界だった。
………そして、お嬢様は会場で第一王子であるガブリエル殿下にダンスを申し込まれ、何故か2回連続踊りになり、踊り終わったらすぐに私のもとに来て帰宅の馬車にのって帰ったのだ。
なぜかお嬢様は馬車に乗り馬車の床に突っ伏した。………なぜ、お嬢様は殿下と踊っただけでそんな悲壮感を漂わせてるのだろうか?

それがわかったのは次の日だった。なんと王家の紋章が付いた手紙が旦那様宛に届き、ペーパーナイフで丁寧に封を開け内容を読んでくうちに旦那様の顔色が変わっていった。
手紙には『ミヤルカーナ・ドルドムガン令嬢は正式にガブリエル殿下の婚約者に決定』というとんでもない内容だった。
公爵家の皆さんはそれぞれ異なる反応をして、当人であるお嬢様は半泣きの状態で旦那様に断われないか願っていた。
何故、お嬢様は殿下との婚約を嫌がるのだろう?この国に王子は一人。つまりお嬢様が殿下と婚約すれば次期王妃になれる。てっきりお嬢様の性格だから大喜びするかと思ったのに………意外な反応で驚いてしまう。
そのことを夜、お義父さんに話す。一応まだ発表前なので極秘情報ではあるが、私はお嬢様のあの反応が気になって仕方がなく、お義父さんに話すことにした。

「そうか………ミヤルカーナお嬢様が殿下の婚約者にきまったのか……」
「それからお嬢様の反応が……とても嫌がってるように見えて……気になるの。お義父さん、お嬢様は何故そんなに殿下の婚約者が嫌なんだろう?」
「いつも側にいるジェミーがわからないんじゃ俺がわかるわけがない。ただ……ん~やはり政略結婚が嫌なんじゃないか?」
「政略結婚?」
「ああ。平民である俺たちは自由に恋愛して結婚できる。ただ貴族の場合は体面や身分によって結婚相手は親に決められるか利益によって決められたりするものだ。お嬢様は……恋愛結婚を望んでるのかもしれないな。」
「恋愛結婚……」
「今回、国のトップから指名された。つまり拒否はできないわけだ。どんなにお嬢様が嫌がっても、よほど結婚できない理由がない限りは婚約破棄または解消はできないだろう」
「……それで、お嬢様は嫌がったの……?」

なんだか、それだけじゃない気がするけどなぁ。私の気のせいかな?


お嬢様の様子をうかがいながら数ヶ月後、お嬢様が学園へ通いだした。貴族は14歳になると学園へ通う義務が課せられる。人脈づくりや様々な知識を得て国を豊かにするため6年通う決まりになっている。
お嬢様は家庭教師を付けなくても済む程、頭がいい。なので出席日数だけ稼ぎ主に人脈づくりを中心に通うと本人が言っていたので、そうなのだろう。
人脈づくり、ねぇ……むしろ他の貴族がお嬢様と縁を繋ぎたくて近づいてくる気がするのだが……

お嬢様は殿下の婚約者として学園に通うと同時に妃教育も始まった。そのため帰りが遅くお嬢様の休まる時間が減った。
起床→朝食→学園→王宮→帰宅→夕食→入浴→就寝
の毎日。それでもお嬢様は多少の我儘を言うだけで文句を言わずこなしている。
お嬢様、素晴らしいです!
ただ、いつも馬車でお迎えに行くと、いつも気難しい顔をしていることが多く、心配だ

「お嬢様、大丈夫ですか?」
「……ええ。貴族というものは、つくづく面倒な生き物だと改めて思っただけよ。」
「め、面倒……」
「学園に通ってそうそう、早く卒業したい気分よ。妃教育をしてる時間の方が楽だわ。威張り散らしてる先輩がっ……イライラしてしょうがないわっ!」

お嬢様は日に日に口が悪くなっている気がするのは気のせいかしら………
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