23 / 25
番外編2
ジェミーはお嬢様が大好き④
しおりを挟む夜会の話の他にもお嬢様の功績をつらつらと話す。
ノアルーア様が機嫌が悪い時(お嬢様以外はわからなかった)、第一にお嬢様が気付き旦那様に言いに行きノアルーア様に気づかれないよう対処したり、お忍びと称して街に行き(勿論、隠れて護衛付き)、気になる店に入っては文句を言って出ていき、また新たな店に入っては文句を言っての繰り返しをして店を回り、後に旦那様に「あの店汚い!けど、雰囲気や食事は合格だった!」と良い所悪い所を報告して、最後に決まり文句「パパなら偉いんだから何でもできるでしょ!」で話は終わる。旦那様は「わかった」の一言ですぐに問題に取り掛かるのでそれもまたある意味凄いと思うわ。5歳児の娘の話を聞いて行動するなんて、もう旦那様がお嬢様を溺愛してるのが丸分かりよ………注意することもせず話を聞いてくれて、言う通りに動いてくれるんだから、そりゃあお嬢様が我儘、傲慢になるのも頷けるわ
ところで、お嬢様が未だに口を半開きでポカンとしてるんだけど、本当に大丈夫かしら?
お嬢様が倒れてから年月が経った。
最近、お嬢様の様子がおかしい。
14歳の誕生日を迎えてから、なんだか落ち着きなくソワソワしている。話しかけても返事は返ってくるがどこか上の空な感じなのだ。侍女長に聞いても奥様に聞いてもわからず、なんだか心配で目が離せなくなった。
そんな時にきた王室からの招待状。第一王子のお披露目にお嬢様が招待されたのだ。それを聞いたお嬢様は息を呑んで硬直していた。
王室からの招待状ですよ?普通は名誉の事じゃないの?なんでかお嬢様からは……喜びより緊張、不安な感情が溢れてる気がするんだけど………?
そして当日、私は腕を振るってお嬢様を綺麗に着付けた。お嬢様は本当に美しいですわぁ!まだ14歳とあどけなさはあるけど容姿が非凡で美人なので少し着飾るだけで栄えるのだ。
出来栄えに満足してるとお嬢様の様子がいつもより緊張してる事に気付く。………大丈夫かな
旦那様たちに見送られ馬車に揺られ数時間。王宮に着きお嬢様と一緒に会場へ入る。平民の私がお嬢様の侍女にならなければ一生入れない王宮へ行き緊張しながらお嬢様のうしろに着いていく。途中、お嬢様と親しくしている令嬢と合流した。
本来、たかが侍女がお嬢様に着いていく事はできない。ただ、今回は特別に旦那様の代理(急な仕事が入った為)でお嬢様の付き添いとして来れているのだ。始めは侍女長にってことだったのだがカタリアーナお嬢様が体調を崩し奥様と侍女長が看病する事となり、私が行く事になった。
王宮は、それはそれはきらびやかで、沢山の貴族が集い、一口サイズの美味しそうな食事がテーブルの上に並べられてて、もう私にとって異次元の世界だった。
………そして、お嬢様は会場で第一王子であるガブリエル殿下にダンスを申し込まれ、何故か2回連続踊りになり、踊り終わったらすぐに私のもとに来て帰宅の馬車にのって帰ったのだ。
なぜかお嬢様は馬車に乗り馬車の床に突っ伏した。………なぜ、お嬢様は殿下と踊っただけでそんな悲壮感を漂わせてるのだろうか?
それがわかったのは次の日だった。なんと王家の紋章が付いた手紙が旦那様宛に届き、ペーパーナイフで丁寧に封を開け内容を読んでくうちに旦那様の顔色が変わっていった。
手紙には『ミヤルカーナ・ドルドムガン令嬢は正式にガブリエル殿下の婚約者に決定』というとんでもない内容だった。
公爵家の皆さんはそれぞれ異なる反応をして、当人であるお嬢様は半泣きの状態で旦那様に断われないか願っていた。
何故、お嬢様は殿下との婚約を嫌がるのだろう?この国に王子は一人。つまりお嬢様が殿下と婚約すれば次期王妃になれる。てっきりお嬢様の性格だから大喜びするかと思ったのに………意外な反応で驚いてしまう。
そのことを夜、お義父さんに話す。一応まだ発表前なので極秘情報ではあるが、私はお嬢様のあの反応が気になって仕方がなく、お義父さんに話すことにした。
「そうか………ミヤルカーナお嬢様が殿下の婚約者にきまったのか……」
「それからお嬢様の反応が……とても嫌がってるように見えて……気になるの。お義父さん、お嬢様は何故そんなに殿下の婚約者が嫌なんだろう?」
「いつも側にいるジェミーがわからないんじゃ俺がわかるわけがない。ただ……ん~やはり政略結婚が嫌なんじゃないか?」
「政略結婚?」
「ああ。平民である俺たちは自由に恋愛して結婚できる。ただ貴族の場合は体面や身分によって結婚相手は親に決められるか利益によって決められたりするものだ。お嬢様は……恋愛結婚を望んでるのかもしれないな。」
「恋愛結婚……」
「今回、国のトップから指名された。つまり拒否はできないわけだ。どんなにお嬢様が嫌がっても、よほど結婚できない理由がない限りは婚約破棄または解消はできないだろう」
「……それで、お嬢様は嫌がったの……?」
なんだか、それだけじゃない気がするけどなぁ。私の気のせいかな?
お嬢様の様子をうかがいながら数ヶ月後、お嬢様が学園へ通いだした。貴族は14歳になると学園へ通う義務が課せられる。人脈づくりや様々な知識を得て国を豊かにするため6年通う決まりになっている。
お嬢様は家庭教師を付けなくても済む程、頭がいい。なので出席日数だけ稼ぎ主に人脈づくりを中心に通うと本人が言っていたので、そうなのだろう。
人脈づくり、ねぇ……むしろ他の貴族がお嬢様と縁を繋ぎたくて近づいてくる気がするのだが……
お嬢様は殿下の婚約者として学園に通うと同時に妃教育も始まった。そのため帰りが遅くお嬢様の休まる時間が減った。
起床→朝食→学園→王宮→帰宅→夕食→入浴→就寝
の毎日。それでもお嬢様は多少の我儘を言うだけで文句を言わずこなしている。
お嬢様、素晴らしいです!
ただ、いつも馬車でお迎えに行くと、いつも気難しい顔をしていることが多く、心配だ
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「……ええ。貴族というものは、つくづく面倒な生き物だと改めて思っただけよ。」
「め、面倒……」
「学園に通ってそうそう、早く卒業したい気分よ。妃教育をしてる時間の方が楽だわ。威張り散らしてる先輩がっ……イライラしてしょうがないわっ!」
お嬢様は日に日に口が悪くなっている気がするのは気のせいかしら………
0
お気に入りに追加
6,345
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。