アゲ穴♂は幸せになれるか?

やの有麻

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それから月日は立ち…32歳のある日

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俺が作った肉じゃがはほぼ全て吾妻の腹の中へと入ってしまった。…多分4~5人分くらい作った気がするんだけどなぁ?食べ過ぎて腹壊さなきゃいいけど…
それから軽くお酒を飲みながらテレビを付け適当な番組を二人で見ている。…うん、こんなゆったりな時間もいいよね。
夜も更けた頃、ベッドへと行く。もちろんただ寝るためじゃない…互いに裸になり抱き合った。…料理中や風呂場で襲われた事もあり軽く解せばすんなり吾妻のを受け入れられた。


「あうっ、…はぁ、…はっ、…吾妻さっ…もっと、手加減、…あうっ…ひあぁ!」

「くっ…手加減、なんて、できないだろっ…お前を貪り尽くしたくて仕方がないんだから。」


ほんと吾妻さんのが立派すぎて受け入れるだけで一杯一杯なのに…一気に奥まで貫かれ吾妻が動く度にカリがいい所に擦れ気持ちがいい…
だが、それが長時間となると辛くなる。さらに吾妻は一回俺の中に果てては体位を変えて動きだすから休む暇もない…
僕が無理と言っても止めない、苦しいと言っても口付けを繰り返す、透明な液しか出なくなった俺のを嫌だと言っても扱いだす…体力が限界で意識が飛びそうになるのに俺は自分の意思と関係なく中にある吾妻のを締め付けるから、なかなか終わらない。結局吾妻の精力が果てるまで相手をさせられる…

ゴムを付けず一度も抜かずぶっ続け行為をした後は吾妻が全て後片付けをする。
俺は吾妻が中から出ていくのを合図に意識が飛ぶ。もう「役目を終えました~お疲れ様で~す!」とでも言うようにカクッと意識が飛ぶ。
吾妻は何時間も行為をした後にも関わらず俺を風呂場へと運び自分が出したものを俺の中から掻き出し丁寧に身体を洗ってくれる。…よくそんなに体力があるよな。
そして風呂から上がりシーツを変えて裸のままで俺を抱き締めて眠る…寝る頃には外は白みがかってるんだけどね。


吾妻と会うのは決まって俺が明日休みの時になっている。何故なら吾妻との行為はたとえ慣れてきても次の日には動けなくなるからだ。ほんと容赦なしなんだよね…
吾妻はプログラマーらしい。あまり詳しくは知らないが、とりあえず仕事の時間や休みは不定期らしい。だから休みは俺に合わせられるらしい。
…吾妻もインドアな仕事じゃんと思ったがサラリーマンの様に接待とか外回りとかするらしい。更に趣味でジムに週3~4回行ってるらしい。どうりで体格が良く体力があるんだな。





なんだかんだ吾妻とは知り合って半年が経った頃…


「…吾妻くん、なんか最近雰囲気が変わったわね?これも福ちゃんの影響かしら?」

「俺は別に自分が変わったとは思わねぇが…最近やたら知らない奴に話しかけられるな…」


吾妻は福代とバーで待ち合わせている為、軽くお摘まみを食べながらオーナーと話している。


「やっだぁ~むかしの吾妻くんなら全然眼中になかったのに…今の吾妻くんなら抱かれたいわぁ~!」

「ふ…無理だな。俺に与一がいるからな。」

「知ってるわよぉ~。…でも、その色気ムンムン漂わせてるの、なんとかしなさいよ?他のお客が貴方に釘付けになってるわよぉ?」


吾妻は自覚はないものの福代と付き合い出してから暫く経った頃、街を出歩く度によく誘われたりするようになった。しかも女も男からもだ。
これはまさに福代の初彼状態になったのだ、つまりは福代の恩恵。吾妻は福代といる時はここぞとばかり甘えたり甘やかしたりして超べったりしているのだ。福代も満更でもなく好きな様にさせたり、たまに甘えたりしている。それが恋人の様なやり取りになり福代が吾妻に気を許す度に効力が増していた。


「は?なんだよそれ?」

「あらぁ~気付かないの?まぁ自分じゃ気付かないものよねぇ。」


カウンターの端に座って吾妻とオーナーが話していると猫なで声で吾妻に話しかけてくる奴がきた。


「吾妻さん!誰かと待ち合わせですか?あの、良かったら今夜相手を──」

「あぁ~ん、だめよ碇ちゃん!この子は先約があるのよん!だから手出し無用よ。」

「え~…じ、じゃあその相手が来るまで隣に座っててもいい?」

「…駄目だ。他の席へ行け。」

「え…う、うん。わかった。今度吾妻さん空いてる時間ができたら相手してね?」

「………」


碇という男の子は最近このバーに来ている常連客で小柄で如何にも男受けしそうな体型をしている。常連客も碇に声をかける奴が多く人気者だ。
オーナーは碇が吾妻目当てで通ってる事を知ってるが、お客に対して牽制するような態度はだしてはいけないと口を挟む程度しかできない。
それに対し吾妻は福代にぞっこんな為一切相手にしていない。冷たい態度をとる事で牽制していた。

吾妻は福代と付き合いだしてから福代と待ち合わせる時以外はバーに寄り付かなくなった。
その事で長年常連客の中で「ついに吾妻に本命ができた」、「相手は顔しか見たことのない福代ちゃんだって」、「吾妻さんをこうも変えるなんて福代って一体!?」など噂がひっきりなしに飛び交っている。


「気を付けなさい。中には福ちゃんを狙ってる子もいるからね?」

「ああ…」

「意味わかってる?あなたに振り向いてもらえなくって妬けになってる子がいるって言ってるの。」

「大丈夫だ。それにこの店はそんなヤバそうな奴はいないだろ?」

「あら?吾妻くんにそんなに信用されてるなんて、嬉しいわぁ~!で・も、サービスはしないわよ?店にちゃんと貢献してもらうわよん!」

「サービスしてもらわなくても金は払う。今は懐が暖かいからな。」

「まぁ言ったわねぇ!はいはい注~目~!今日は特別に吾妻くんが皆に食事奢ってくれるって言ってるわよぉ~ん!だからぁ、じゃんじゃん注文してぇ~!」

「…」


しまった、と思ったがオーナーの声をバッチリ聞いた常連客は大はしゃぎしてしまい、仕方なく奢る事になった。それから2時間…福代が来店するまで騒ぎは続いた。




やっと仕事を終え一旦家に帰り身なりを整えて吾妻と約束しているバーへと足を運んだ。
また最近忙しくなり月に2~3回会えれば良いって程休みが取れない状態だった。
それでも吾妻は律儀にセフレの関係を続け俺に合わせて会ってくれている。その間、誰とどうしてるかは詮索していない。…恋人でもないし、ストレス…はないが発散する相手として吾妻に付き合ってもらってるので何も聞かず言わない感じだ。

軽く乱れた髪を整えてバーの中へと入る。…うん?なんかやけに騒がしいような…?


「あ!福ちゃんが来店してきたぁ~!」

「福ちゃん久しぶりだねぇ!お腹空いてない?なんでも今日は食事のみ吾妻が全て奢ってくれるみたいでさぁ~!皆遠慮せず頼んでは食べて飲んでるんだよ~!あ、飲み物は自腹だけどね!」

「福ちゃんのダーリンはカウンターでオーナーと話してるよ~。早く顔だしてあげなよ~!」


来店早々絡まれた。うん、この気軽さ結構好き。あまり話した事ない人でも打ち解けて今を楽しんでる感じがいい。大人の雰囲気な感じもいいけど、こう、バカ騒ぎ?みたいな明るい雰囲気が仕事で疲れてた身体に気持ちいいんだよね。疲れが飛ぶというか、なんかね。


「あ、亜久理あぐりさん…お待たせ、しました。」

「与一、やっと来たか。」

「すみません、仕事が今忙しい時期に入ってしまって…」

「ああ、ワクチンの製造要請がきたんだってな。」

「はい、俺は分野が違うんですが…猫の手も借りたい状態になってしまって…」

「まぁ福ちゃん忙しいのにわざわざうちのバーに来てくれたのぉ?もう!福ちゃんにはサービスしてあげるわ!早く席に着いて頂戴、いつもので良いかしら?」

「あ、はいお願いします。」

「おい、敬語…」

「…うん、ごめん。」


今では名前で呼び合ってる。亜久理って珍しい名前だよね。すぐに覚えた。だがまだ呼び慣れてなくてたまに吾妻さんと呼ぶことがしばしば…
敬語は仕事場ではいつも敬語だから声を出せば自然と敬語を使ってしまう。吾妻に「職業病じゃないか」と言われてしまった。…そんな事ないと思うんだけどな?
吾妻は敬語が嫌みたいでいつも指摘してくる。恋人らしくタメ口で話したいとか。なんかこだわりがあるのかな?てか恋人でもないんだけどなぁ?

バーで会うと吾妻は凄く密着してくる。別に嫌ではないが人目が気になる。なんせスキンシップが…


「そこ!イチャイチャしない!」

「はぁ…場所変えるぞ与一。」

「駄目よ~福ちゃんとはもっと話したいもの!吾妻くんが福ちゃんに構わなければいいのよ!」

「無理だな。」


と、こんなふうにオーナーに指摘される。何故か周りの人に生暖かい目でみられてるんだよね~何でだろう?


それから通常業務の時は週2程度、忙しい時には月2~3程度の頻度で吾妻と待ち合わせては吾妻の家に寝泊まりする。もちろん、する事はしてる。
最近、感度が更に鋭くなってるようで服を着るのが辛い…特にワイシャツを着るのが辛い。吾妻がしつこく乳首を攻めてきて開発され今では何もしてないのにシャツが擦れる度に身体がビクッと反応してしまい不便になってしまった。…それを吾妻は満足げにみてくるから嫌になる。
下半身の方もそう。たとえ1ヶ月ご無沙汰になっても指で解されればすんなり2本3本と受け入れ立派な吾妻のモノも、始めの苦しい感じなのを越えれば後は快感のみ。痛みは全くない。
吾妻とは本当に身体の相性が良いんだなと、つくづく実感する。…なんかこれ、ヤバくないかなと危機感を感じるよ。




吾妻と付き合いだしてもう4年の月日が経った。変わらず吾妻との関係は良好だ。一応自分が住んでるアパートは解約せず吾妻のマンションで半同棲状態にまで関係が深まっていた。
この4年間…いろいろとあったよ。
やはり吾妻は性別関係なくモテてて嫌がらせをされた時もあった。…うん、拉致された時もあったよ。危うく襲わ…うん、ホント危なかった時があったよ。でも吾妻と、何故かオーナーと数人の常連客に助けてもらった。……僕はあのバーでのアイドル的存在になってるらしい。

「だって福ちゃん年取っても見た目変わらず可愛いんですもの。まだ成人したての大学生だって言われても信じちゃうわよ!」

とオーナーに言われた。…流石に10歳もサバは読めません。でも何故かオーナーの言葉に常連客は頷いてた。え?俺ってそんなに童顔なの?あ、常連客に紛れて吾妻も頷いてた。…マジ?
吾妻は変わらず俺を甘やかし、ベッドの上では容赦なく、そして世話をやいてくれる。俺も料理や掃除くらいはしてる。
そう、吾妻は自宅でよく仕事をするようになった。なんか事務的な仕事を請け負うようになり俺が帰ると殆ど吾妻がいる。そして「おかえり」と挨拶してくれる。…うん、ほんと恋人みたいだ。
たまにバーに飲みに行くが、ほぼ吾妻のマンションで寛ぐ事が多くなった。…これ、本当に大丈夫か?
吾妻は変わらずモテる為、家で仕事をしているが週に一度の頻度で接待に駆り出されている。長年の友人(会社の社長)の呼び出しなので吾妻はしぶしぶ同行してるようだが俺も家に引き込んでるより外に出たほうがいいと思ってるので背中を押して見送っている。


だが、それが仇となる事になるとは思いもよらず…別れはあっという間に訪れた。





「ごめん…女性を妊娠させてしまい責任を取ることになった…だから、別れよう。」

「…うん、わかった。…幸せに、ね。」


はぁ…これで何度目だろう…
吾妻とは今までで長く続いたので…少しは期待した事もあったが…
やはり女性には敵わなかった…

吹っ切れるため、どーゆう経路でそうなったのか聞いた。
…いつもの友人からの要望で接待に出向くと…なんとそこはお見合いの場をセッティングされた所に案内されたのだと言う。大手企業の社長の娘さんが吾妻を一目で惚れ込み吾妻の成績や人柄など調査し娘さんが社長である父親にねだって見合いの場を作ったらしい。
それを知らずに吾妻が出向き、その時は場の流れに逆らわないよう、そしてやんわりお断りしたのだと言う。
だが娘さんは諦めきれず、ゲイという事も知った上でもう一度会う場を設けさせられ友人に凄く謝られながらその場に行ったら…
睡眠薬に即効性の媚薬を飲み物に仕込まれ既成事実を作られてしまったらしい。逃げられないよう盗聴・撮影など徹底的にやられ、妊娠を確認した所で吾妻本人に知らされたらしい。更に結婚しなければ今の会社との交渉を無効にし、更には…俺にも危害を加えると脅されたらしい。
なんでも吾妻の今の相手(つまり俺)の事も調べたらしく…高校の出来事、俺が吾妻に話してない事を娘さんから伝えられ吾妻はショックを受けたらしい。…嫌悪感を抱くわけではなく、俺が集団レイプされた事に対して心を痛めたらしい。…うん、俺は吾妻に凄く好かれていたらしい。
それを聞いて「私と結婚しなければ…福代さんに何が起こるかわかりませんわよ?吾妻さん一人で守れない程の何か、がですが。」と言われたらしい。
もうこの時点で犯罪なんだが、これを警察に話すにも俺の過去を多少でも話さなければならないし、警察はifの話を聞かされても動けない。
さらにこれがきっかけで職を失う可能性や親に知られ絶縁される可能性など、デメリットだらけだという事で…やむを得ず、吾妻は相手の言いなりになるしかなくなったらしい。


「俺の事なんて…そんな、気にしなくてもいいのに…」

「お前の過去をこんな形で知ってしまったのは悪い…まぁ事が事だ、与一が言いたくない、隠したいと思う気持ちはわかる。…だから、与一、お前を守るためにも俺は…あの女と結婚して頃合いをみて離婚するつもりだ。…それまで、別れよう。」

「…亜久理さん……」


俺は答える事ができなかった。
だって…それはある人・・・と同じ場面に似ていたから…
きっと吾妻も…無理だろう。そんな簡単に離婚はできないし…話が本当なら子供はどうなる?って話にもなる。
だからきっと…無理だろう。


俺はもう、吾妻から離れる覚悟を決める。そして吾妻の事を忘れる事にした。


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感想 1

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みんなの感想(1件)

2020.03.03 ユーザー名の登録がありません

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2020.03.08 やの有麻

感想有難うございます!
今、こちらの作品に書く意志が……でも途中まで書いてますので、できるだけ早めに更新します!

解除

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