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高年期[一学期編]
次は3年生・・・ん?あれ?
しおりを挟む「兄さん、大丈夫?」
「・・・あぁ薫風、大丈夫だよ。うん、大丈夫・・・」
「・・・」
朝から兄さんがおかしい。どうしたんだろう?理由を聞いても「大丈夫」しか答えてくれない。・・・一体どうしたんだ?
・・・昼食の時も上の空。万純くんも紫音さんも兄さんに話しかけるが空返事。・・・本当にどうしたんだ?
その理由は午後になってわかった。
『あー・・・こほんっ・・・最後の緊急放送、です。・・・3ーA、二階堂新。同じく、子鷹狩爛。3ーB、八乙女流依。そして今回は特別、体育教師、神馬爽藍先生。同じく麻生川政宗先生。以上5名は今すぐ理事長室へ来て下さい。』
・・・は?流依兄さん?そして体育教師2人?何故に!?
放送を聞いたクラスの子達は大興奮。なんせ見目麗しの生徒会長に副会長、さらにイケメンな僕の兄さん、そして大人気の体育教師たち。・・・うん、僕が女性だったら大興奮の仲間入りしていたよ。
「うそっ!神馬先生が呼ばれたわ!」
「麻生川先生・・・はぁ。」
「この機会に二階堂先輩にお近づきになりたいわ・・・」
人それぞれ。辺りを見回すと男子の方も軽く頬を染めてる人がちらほら・・・荒れそうだな。
てか対象者が5人もいれば散らばって大変なことになりそう。まぁ二階堂先輩は追いかけられる鬼さんが減って良かったのかもね!
それより兄さんだよ兄さん!確かに美形でイケメンで天才でイケメンで優しくてイケメンで・・・ん?イケメン言い過ぎ?とにかく完璧な兄さんが呼ばれるなんて・・・いや、呼ばれてもおかしくはないけど・・・
あ、この際、僕が兄さん捕まえちゃおっかな!なーんてね。
なーんてー・・・ね。
何故か僕が追いかけられてます。二階堂先輩に。
開始してちょっと経ったあと、木陰でサボっ・・・ケフンケフン、・・・え~兄さんを探していたら二階堂くんに見つかりまして。こう叫んできました。
「薫風!私を捕まえ・・・てくれないか?」
「・・・はぁぁあ!?」
目をギラギラに光らせてる令嬢に追いかけられてる二階堂くんに言われました。・・・いや?あなたと1日一緒にいても楽しくないよ?むしろせっかくの休みが1日削られてしまうから御免被る。無理っす。マジで。
兄さんなら毎日一緒にいるし、1日僕とずっと過ごすなら願ったり叶ったりです。だから捕まえるなら兄さんがいいです。
・・・なので逃げます。さらばっ!
とはいかずもう10分以上、いや20分経っても中々振り切れない。令嬢達もしっかり付いてきます。・・・ナニコレ?
「はぁ・・・はぁ・・・新先輩?他を、あたって下さい。てか誰かに捕まれば・・・楽になれますよ?」
「無理だ。あの後ろの令嬢達を見てみろっ!・・・捕まったら何されるか・・・!一度捕まって散々な目にあっ・・・うっ。」
「・・・すみません。」
素直に謝ります。一度捕まった事があるんだね。多分1年の頃に捕まったのかな?・・・散々な目に、ね・・・うん、その顔見て大体は想像つくよ。御愁傷様です。
てか素が出てますよ二階堂さん。大丈夫?紳士な二階堂生徒会長は何処へいった?
・・・おっ男子トイレ発見。これ、逃げ込めるんじゃない?
少しスピード緩めて二階堂くんが近付いたのを見計らい二階堂くんの手(正確には手首)を掴みトイレへ逃げ込む。・・・二階堂くんは急に僕に腕を引っ張られ呆気にとられてたよ。あ、レアショット。カメラ欲しい。
「さ、流石に男子トイレまでは来ませんよね・・・」
「すまん薫風。助かっ、た・・・」
「窓から逃げましょう。あ、小さいんですが飲み物持ってますのでどうぞ。」
「・・・ああ。」
ポケットに350mlサイズのペットボトルを取りだし二階堂くんに渡す。昨日、喉がカラカラになりつつ護衛やらなんやらしてて水分の有り難みを感じて今朝、料理長に頼んで新鮮な水を入れてもらい持ってきてたのだ。僕えらい!
ゴッ、ゴッ、と一気に飲む二階堂くん。あ、あの・・・僕にも残してね?君のせいで僕も全力疾走したんだからね。
そう目で訴えてたらチラッとこちらを見てきた。ペットボトルから口を離し僕に近づいてきた。お?返してくれるのかな?
「新先ぱっ・・・えっ、んぐっ!?」
「・・・これはお礼だ。水、欲しかったんだろ?」
近づいてきて後ろ頭を鷲掴みされガッツリとチューされました。驚いて口が開きっぱなしでチューされたので舌が入ってきて少し生暖かい水が口の中に入ってきた。・・・うん、水分は欲しかったけど口移しではいりませんでしたよ?
「・・・不意打ちは辞めてください。それにお礼なら他のが良かったです。」
「なんだ?体で奉仕した方が良かったか?」
「・・・新先輩が言うと卑猥に聞こえるので発言を控えてください。」
「くくっ・・・」
あーからかわれちゃったよ。ドSめっ!それより僕は兄さんが心配だよ・・・まだ放送は流れてないから誰にも捕まってないんだろうから大丈夫だと思うけど・・・
「まぁ・・・とにかく助かった。どうしても無理そうだったらまた薫風を頼るかもしれないが、その時は今みたいに助けてくれ。・・・ちゃんとお礼はするぞ?」
「・・・助けますがお礼は辞退させて頂きます。」
「ははっ!・・・じゃあな。」
・・・颯爽と窓から出ていく二階堂くん。うん、その後ろ姿は格好いいです。さすが攻略対象者。メインキャラは格好いいです。
とりあえず僕は仕方なくトイレから出ていく。・・・令嬢さん達が一斉に僕へと振り向いてきた。怖っ!
僕しかいなく二階堂くんに逃げられたとわかった令嬢達は流石に行動が早い。2手に分かれ二階堂くん探しに向かった。
・・・散り散りにならないんだ。なんか団結力を感じるよ?女性はこういう時の決断力は凄いよね。敵同士でも一時的に手を組み目標を達成するってね。・・・おぉ怖っ!
・・・さて、流依兄さんを探しに行きますか。
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