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高年期[一学期編]
☆閑話休題…幸福な時間 後編。
しおりを挟む風呂から上がり上半身裸といういつものスタイルで部屋に戻る。一応薫風が起きた時に水分補給がすぐとれるよう水を持っていく。
ベットを見ると薫風は身体を丸めて眠っていた。・・・可愛い。いつもこんな感じで寝てるのか?
ベットの上に乗り薫風の名前を呼びながら身体を軽く揺する。するとゆっくりと薄く目を開けた。
「・・・薫風?」
「ん~・・・?子、鷹、狩、くん?」
「・・・くん?」
寝ぼけてるようだが・・・くん呼ばわり?政美以外に呼ばれた事がなかったので呆気にとられてしまった。だがその瞬間、衝撃を受けた。
・・・何故か薫風に抱き締められ俺の胸元で頬を刷り寄せていた。こ、これは何だ?あまりの衝撃に理解不能に陥ってしまった・・・
「薫風、どうした?」
「ん~子鷹狩くん、本当に子鷹狩くんがここにいる~?ふふ、凄いなぁ」
「!!?」
薫風の態度といい口調もどこかおかしい・・・トロンとした目で俺をみて微笑んでいる。明らか寝惚けて、そしてまだ酔ってるようだった。
・・・これを好機に薫風を手に入れようか。懐に居る薫風の顔をこちらに向けてキスをする。すると一瞬固まった雰囲気だったがすぐに俺に身を委ねてくれた。
・・・汗の匂いと薫風独特の甘い匂いがする。その匂いだけで感情が高ぶる。どんどん口付けを深くしていくと唇隙間から甘い声が漏れてきた。
「あっ、・・・ん、・・・」
「・・・薫風」
「ん・・・こたかがりくん・・・ふふっ。」
唇を離し名前を呼ぶと変わらず君呼びされた。そしてへらっと笑った。こんな素直な甘ったれな薫風は初めて見た。幸福感のような満足感に満たされる。
「薫風・・・名前で呼べ。」
「なまえ?・・・・・・爛?」
「っ。」
名前を、しかも呼び捨てで呼ばれた。それだけで心臓を鷲掴みされたような感覚に陥る。・・・政美とは違う魔性のたらし感を感じる。酔うとこうなるのか?これ、まずいだろう・・・
変わらず抱き着いてくる薫風。・・・どうしてくれようか。
とりあえず体勢を変える。上半身を起こすと薫風がキョトンとした顔を浮かべ俺の顔をみてくる。
「スーツがシワになる。脱げ。」
「あー・・・ん?スーツ?」
「脱がせてやる」
「あ・・・」
返事を聞かずボタンを外し執事服を脱がし始める。薫風はされるがままになっていた。早く脱がしたくてジャケットを脱がしてはポイッと床に投げベストを脱がしては床へ投げつけていく。薫風は俺が投げた服を目で追っている。・・・猫か。
上を脱がせズボンを脱がすためベルトに手をやる。・・・薫風の抵抗なくスムーズに全ての服を脱がせる。未だに唖然としている薫風に近寄り始めから深くキスをする。
少し抵抗を見せてきた薫風をそのまま押し倒しベットへと沈める。そしてそのままベットにおしつけるよう唇を合わせる。
「んっ、・・・んぁ!」
「薫風・・・具合悪くないか?」
「あ、はぁ・・・だ、いじょうぶ・・・」
「ん・・・じゃあこのまま続けるぞ・・・?」
「・・・?」
俺が言ってる意味を理解できてないようで頭を横に傾ける。その仕草が物凄く可愛くて自分でも顔がニヤけてるのがわかる。
薫風の首筋にキスを落とす。あぁ、濃厚な甘い匂いがする。・・・あちこち首筋にキスをしていると薫風がモソッと身動ぎしだした。
「ら、爛、爛さん?ら、爛先輩!」
「ん?」
「・・・くすぐったいです。」
「そうか・・・じゃあここは?」
「えっあ・・・んっ!」
位置をずらし胸の突起にキスを落としてから舌で舐める。汗のしょっぱい味がした・・・同時進行でもう片方の突起を指でもて遊ぶ。
「あぅ・・・は、あ・・・ん、ん、んん~・・・」
「気持ちいいか?腰が揺れてるぞ?」
「えっや、そんな・・・あああっ!」
胸からお腹を撫でて腰へと手を伸ばし、下半身の反り立ってるものを扱う。先走りが溢れてて滑りが良いな・・・卑猥な水音を立てながら擦ると気持ちいいのか甘い吐息から必死に堪えてる感じの声に変わる。
「あ、あ、・・・あやっ!爛、爛先輩っ、手を離し、てっ!」
「なんだもうイきそうなのか。いいぞ。」
「えっ!あ、うそっ・・・うああっ!」
激しく擦ると手に生暖かい液体が手に放たれた。・・・薫風が出したもの・・・興味本位でそれを口にと運ぶ。
自分のとは違い青臭くなくハチミツのようなトロみで味は・・・無味?苦くもなければ甘くもない。これなら普通に飲める。
薫風は俺が何してるのか不思議そうに見ていたが、自分が出したものを俺が舐めてるのに気付き顔が赤く染まっていった。
「なっ・・・そ、そんなの、舐めないで・・・」
「薫風のだから大丈夫だ。」
「うぅぅ~・・・」
顔を手で隠してしまった。その一つ一つの動作が可愛くて薫風にどんどんハマっていってしまう。
薫風が出したものを全部舐めとり、用意してあった潤滑剤をベット上の棚から取りだし手に出す。そして・・・
「ああっ!・・・っ!?・・・え、な、なに、を
・・・?」
「ただの潤滑剤だ。中を解さないと俺を受け入れられないだろ?」
「っ、ああ!あ、や、ゆ、指!あっ、動かさない、でぇ・・・!」
ゆっくり挿入させ中で指を動かす。薫風が魚のように跳ね・・・魚、さかな・・・
「・・・?爛、先輩?」
「・・・」
魚を想像してしまい高ぶってた気持ちが一気に冷めてしまった。・・・なぜ、このタイミングで思い出してしまったんだ・・・
俺の異変に気付いたのか薫風が俺の顔を覗いてきた。
・・・幼い頃に川に流され下流から海へと行き何故か魚群に紛れてしまい更にその魚群と一緒に大きな網に捕まったという不運すぎる過去がある。その時は生きていた事が奇跡とも言われた位だった。
それ以来・・・姿を見るのも駄目。一応、加工された料理(焼き鮭や煮物等)なら食べれるが魚の存在事態が嫌で仕方がなかった。
そんな事が今、この状況で思い出してしまった。こんな時に・・・
余りに無言になったのを不思議に思ったのか薫風が上半身を上げて俺の顔を覗いてきた。そして何を思ったのか薫風の腕が肩に回された。・・・一瞬何をされてるのかわからなかったが薫風の匂いに我に返り抱き締められてる事に気付く。
「爛先輩、何かありましたか?」
「・・・薫風」
「何に悩んでるのか知りませんが私にとって子鷹狩くんは紹介文の通り無愛想で無口クールだけど、接してるうちに二重人格の二階堂くんと仲良くしてる所を見ると友達思いの心優しい人で・・・私のお気に入りなんですよ~?子鷹狩くん、とても好きです。」
「っ!?」
途中、ショウカイブン?とか理解出来ない事をいわれたが・・・薫風が俺を気に入ってるって、好きだって言った?
さっきまでの冷めきった気持ちに熱が籠り再び高ぶる。・・・もう一度好きと薫風の口から聞きたい・・・
「薫風、さっき何と言った?」
「?子鷹狩くんは無愛想無口クール?」
「最後の方」
「好き?」
「・・・もう一度」
「好き?・・・ひゃんっ!」
抱き着かれてる体勢のため耳元で直に薫風に好きと言われた。これはもう聞き間違いじゃないな。未だに俺の指は薫風の中にある。少し動かすとしこりのような箇所があり押すように指を動かす。・・・すると薫風が甘い声を出し俺の指を締め付けてきた。ココは刺激ポイントなのか。
薫風の腕に力が入り強く抱き着いてきた。軽く首が締まり苦しかったが、それよりも薫風の喘ぎ声が色っぽくて夢中で指を動かし刺激を与える。そして薫風を逃がさないよう腰にも手を添える。
「ああっ!や、あっ、爛、爛せんぱっ、またイッちゃ、う・・・」
「何度でもイけばいい・・・」
「や、やだぁ・・・僕ばっかりぃ・・・」
「なんだ?じゃあ俺も一緒に気持ちよくなればいいのか?」
「んんっ!・・・あ、は、・・・え?」
薫風の返事を待たず指を引き抜く。そして薫風をベットへと再び沈めて薫風に深くキスをする。目を瞑り俺に身を委ねてくる薫風は今日は本当に素直だと思う。
キスをしながらズボンと下着を脱がし自身のモノを外に出す。そしてそれを指で解した場所へと当て付けゆっくりと中へと挿入していく。
くっ・・・かなりキツイ。薫風も辛いのかベットのシーツを握り締め塞いでる口から少し辛そうな甲高い声が漏れる。
薫風の腰を支え徐々に中へと押し込み全て入ったのを感じ唇を離す・・・頬を染め荒い息を吐き、目に涙を溜めながらゆっくり目を見開く薫風の顔を見るだけで欲情がさらに高ぶる。
入れてる間か、全て入った後か、薫風が達したらしく互いの腹元に透明に近い白液が飛び散っていた。
「薫風・・・大丈夫か?」
「はあっ・・・だ、大丈夫・・・ん、あ、・・・ゆ、ゆっくり・・・優しくして、ください」
「・・・善処する」
とは言ったものの薫風の中があまりにも気持ち良く手加減をする事を忘れ一心不乱に腰を動かしてしまった。・・・途中、背中に腕を回されピリッと痛みを感じた。多分引っ掻かれたのだろう。まぁ薫風が付けた傷なら大歓迎だ。
・・・困った事に達したのにも関わらず萎える事がなく何度も薫風に付き合ってもらう事になってしまった。
「ら、爛・・・も、無理・・・は、あ、アン!」
「薫風、もっと名前呼べ。好きと言え・・・」
「爛・・・あっ、爛、ん、んん~!」
「薫風・・・」
「あ、・・・好、き、です・・・」
「ああ、俺も好きだ。」
恋人同士のやりとりをして幸福感を味わう。まさか薫風に好きだと言われる日がくるとは思わなかった・・・だが、きっと目を覚ましたら忘れてるんだろうな。これは俺だけが知ってればそれでいい。誰にもこの幸福感を分け合うつもりは毛頭ない。
何度も薫風の中に出してはまた動き、俺が満足するまで薫風は最後まで付き合ってくれた。最後は労うように優しく口つけて終止符を打つ。
それから薫風に水分を取らせて風呂場へ行き薫風を綺麗に洗い一緒に湯船に浸かる。・・・もうその頃には薫風は夢の中へと入っていた。明るい所で見ると薫風の目元は少し赤くなっていた。少し、いやかなり泣かせてしまったな・・・
それから水分を拭き取り再びベットへと行き眠りにつく。・・・いつの間にか新しくなってるシーツを見るに執事が気を使ってくれたのだと理解する。・・・薫風のあの声も聞いていたのかと思うと少し不機嫌になるがシーツを取り替えてくれた事でチャラにしてやろう。
・・・朝、嫌いな「魚」という単語を耳元で囁かれ覚醒する。それと同時に全身に力を入れてしまい、抱き締めていた薫風を締め付けてしまった。
案の定、夜の事は覚えていなかった。だが俺が夜の事を話すと真っ赤になったり真っ青になったりコロコロと表情を変える薫風を見て、また幸せを噛み締めてしまった。
昨日と同じく薫風を膝の上に座らせ食べさせてもらった。フレンチトーストだったので食器を使わず手で食べさせてもらい、ついで一緒に薫風の指も食べる。顔を赤くして薫風に睨まれたが全然怖くない。むしろ愛おしくなる。・・・これはもう末期だな。
「八乙女様。我が家代々伝えられている言伝てがございまして・・・子鷹狩家の長男は貞操を捧げた者と必ず伴侶にならなければ跡取りの権利を剥奪する・・・と言い伝えられております。」
薫風を見送りに出口まで行き車を待ってる間に執事がとんでもない事を薫風に言い出した。・・・は?それ、俺も初耳なのだが・・・
「・・・来栖、初耳だぞ?」
「それはそうでございましょう。今お考えになった事ですので。」
「嘘か。何故・・・」
「八乙女様に自覚して頂いた方が宜しいかと思いまして・・・要らぬことを致しましたか?」
「・・・いや。そうだな、強行手段も時には必要だな。」
「左様でございます。私は八乙女様でしたら喜んで歓迎致します。」
薫風を見送り執事に聞いてみると、こう返事が返ってきた。・・・有能な執事だな。そうだな、嘘も方便。ああ言っておけば嫌でも薫風は俺を意識せざるを得ないだろう。
これからは遠慮せずに近付こうか。来年にはもう会えなくなるのだ。時間は無限にはないのだから・・・
*********
次回からは本編に戻ります。長文を読んで頂き有難うございます!次は2年生を対象に追いかけっこが始まります。
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