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高年期[一学期編]
助けがきた・・・の、かな?
しおりを挟む意識が虚ろな中、扉が荒々しく開いた。
扉から入ってきたのは・・・辺りが暗すぎて誰だかわからなかったが、どこかで聞き覚えのある声だった。
「その声は鳳くんかな?・・・何故ここがわかったんだい?」
「入学式の時からマークしていたんで。・・・まさか義兄弟を連れ去り監禁し強姦するとは思わなかったけどね・・・」
お、おおとり?・・・この声は克典か?
「ふっ・・・ぐっ、・・・」
「今いい所なんだ。今薫風くんと1つになって愛を育んでる所なんだよ。邪魔をしないでくれ。」
「・・・うわ、強姦に愛はないよ・・・ちょっと、頭大丈夫か?」
克典?と話ながらも腰を動かし続ける夕立。・・・喋るか達するか・・・とにかくどちらかにしてくれ。
ヒュンっという何かが風を切るような音が聞こえた気がする。
・・・するとゴツッと鈍い音が近くで聞こえ、さっきまで感じていた異物感がなくなる。
な、何が起こった!?
「全く・・・やっと学校が楽しくなってきたと思ったら・・・拉致されお手付きされるなんてね。まぁ、とりあえず助けるね。ここから出よ~。」
ゴツッと音がした方を見ると地面にソフトボール位の大きさの石が落ちていた。そして夕立は気を失っている。・・・きっと克典が石を投げ夕立の頭にヒットして倒れたのだろう。
カツ、カツ、と音が鳴り響き克典が近付いてくる気配がする。そして僕の近くに来た克典は自分が着ていたローブ?マントの様な物を僕に被せてくれ、腰から短剣を取りだし鎖に剣先を当て上から下へと勢いよく振り落としガシャンと音を立てて鎖が切れた。
手足が解放され安堵した所で克典に横抱きで抱えられ・・・壊れた扉へ向かって歩きだした。
頑丈そうな扉をこうも壊してくれるか・・・な、なんかヤンキーを思い浮かべてしまうよ。
そーいえば可武伊さんが言ってたな・・・ちょっと問題児?とか言ってたよぅな?・・・んん?
「・・・俺自身で調べ上げた事なんだけと、ここは強姦野郎の別宅で、ここで薬を作ってたみたいなんだ。裏で違法薬物を独自で作って貴族たちと取引していたんだよ。平民が一気に侯爵の位に就くなんて異常だからね。・・・興味本位で調べてたら・・・埃が出るわ出るわ・・・うん、暇潰しになって楽しかったよ。」
「・・・そ、そう、なん、だ・・・」
・・・なんか目をつけられた朝立もとい夕立勝己に、不本意ながら少し同情してしまった。
「まぁ~とりあえず、近くに鳳家の別宅があるから、そちらへ行こ~?よく俺が使ってるから別宅だけど綺麗だから。」
石畳でできた廊下を歩きながら僕にのんびりとした口調で話しかけてきた。こいつ本当にマイペースだな。
暫くして階段が見え上へと登っていく。・・・ここは地下だったって事かな?
階段の頂点までくると重たそうな石でできた扉があり、克典がゴツンと鈍い音を立てながら扉を蹴ると、ゴゴゴゴっと重たそうな音を立てながら扉がスライドして開いた。・・・ああ、いわゆるパニックルームの様な隠し部屋だったのか。
急に明るい部屋に出たので眩しくて思わず目を瞑ってしまった。
「ここは奴の部屋だよ。・・・実は何度かこいつと接触しててね。ここの部屋に何度か入ったことがあるんだ。・・・それで家の人に一応断りを入れて侵入したんだ~。」
・・・へぇ?一応?・・・じゃあ目の前に倒れている執事服をきている男性はどうしたんだろう?
い、いいや、考えるのよそう。・・・ってか!お構い無くその人をわざと踏みつけて歩かなくても良いんじゃないかな・・・?
なんか助けてもらって言うのもなんだけど・・・鬼畜じゃね?さっきの夕立の事も、踏みつけた執事?の事も・・・
「なぁ薫風・・・お前、何か飲まされた?ベットの近くにトレイとコップがあったんだけど・・・」
「あ、うん・・・水を飲まされた。」
「・・・ただの水?」
「・・・」
これ、言って良いのか?媚薬飲まされたって・・・なんか頭の中で警告音が鳴り響いてるのですが・・・
「おーい、大丈夫か?何か身体に異常はないのか~?」
「あ、えっと・・・大丈夫。それより流ーーー」
「嘘付くんだ?ふーん・・・まぁ義兄弟であっても信用できないよねぇ?・・・でも助けたの、俺なんだけど?」
「っ!?あ、ごめん・・・感謝してるよ。有難う。」
「うーん・・・感謝してもらいたくて言ったんじゃないんだけどなぁ」
な、なんかいろいろと引っかかる言い方をされたんですが?・・・これ、素直に白状したほうが良いな。
「・・・実は奴が独自で作った媚薬を水に溶かして、それを飲まされたんだ。・・・未だに身体が熱いんだ・・・」
「・・・ああ、やっぱりか。どうりで薫風の身体が熱いと思ったよ。体調悪いのかと思ったら意識はハッキリしてるし受け答えもしっかりしてるみたいだし、変だと思ったよ。」
「うっ・・・ごめん。えっと、だから・・・」
「そうだね、流依義兄さん呼んだ方がいいね。」
「!・・・お、お願いしていい?」
「ああ、流依義兄さんなら別宅の場所知ってると思うから迎えにきてくれると思うよ。・・・じゃあ、とりあえず別宅に行こっかー。」
・・・お?僕の心配は杞憂に終わった、のかな?でも未だに頭の中で警告音が鳴り響いてるんだけどなぁ~?や、杞憂に終わるよね、てか終わってほしい。
なんやかんや話をしているうちに車に乗り、すぐに別宅とやらに到着した。・・・終始横抱きにされてたんですが・・・その、重くなかったんだろうか?
「あの、自分で歩けるんだけど・・・?」
「んー、歩けたとしてもフラフラ歩かれちゃ気が散るし、俺が担いだ方が早いから。」
「そ、そう・・・」
「それにお前・・・軽いな。普段、何食べてるんだよ?まぁ、細いだけで痩せてるわけではなさそうだけどねぇ~」
・・・失敬な。兄さんと同じ量をちゃんと食べてるよ。ただ筋肉も脂肪も付きにくい身体なんだよ!・・・多分。
手慣れたようにドアを足でコンコンと叩くと扉が開き、中に入ると閉まった。メイドさんがドアの前にいたのでメイドさんが開閉したのだろう。・・・なんというか、これが当たり前なのか?変なの。
そして向かった先は風呂場だった。・・・うん、有難い。
「俺も一緒に入る。薫風の身体、洗ってやるよー。」
「え?あ、いや、そこまでは・・・」
「今の無力な状態じゃまともに身体洗えないぞ?今日だけ俺に甘えとけ・・・」
「い、いや・・・いいから・・・」
あれー?・・・前にも、ってかなんかいつものパターン化してないー?
*********
次回はエロ入りますので更新は夜になります。
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