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高年期[一学期編]
閑話休題...紫音の策略
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とある日の昼食。
「今日は珍しく教室で食事しますの?」
「うん。そうだね・・・」
「あの3人がいなければ屋上へ行くんだけどね・・・」
いつも屋上へ食べに行く薫風さんと流依様がこの1ーAのクラスで重箱を並べ仲良く食事をしていた。
流依様は隠れファンが多く、初めてこの教室に顔を出した時は大騒ぎでしたわ。黄色い声がひっきりなしに聞こえ頬を染めながら八乙女兄弟を眺めてる女性が沢山いたわ。
それが今日はこの教室で食べるとの事で野次馬たちがきたり、他クラスの人が何故か席に座って食事を始めたり・・・いつも静かな教室は賑わっていたわ・・・
まぁ私は薫風さんの傍にいられいるだけで嬉しいですけどもね。
「あら、とても美味しそうですわね。・・・あと何か変わった?料理が入ってますわね?」
「ああ、毎日うちの料理長が作ってくれるんです。・・・きっと紫音さんが言ってるのは「肉じゃが」の事でしょう。」
「肉・・・じゃがですの・・・」
「あまり聞きなれないよね。僕もこれを見た時はどんな食べ物だ?って思ったよ。」
「そうだよね・・・これは僕が提案した料理なんだ。僕が厨房に立とうとすると料理長が血相変えて止めるから材料や作り方を伝えて作ってもらったんだ。」
まぁなんと料理を提案できるなんて・・・さすが薫風さんですわ。
「あっ、そうですわ薫風さん、もし良ければ今度私の家へお茶会にいらしてくれませんか?」
「お茶会ですか?」
「ええ、麗華さんと他クラスになってしまったお仲間も呼ぶのですが、もう皆さん顔見知りですので気遣い無用ですのよ。」
「う~ん・・・」
「流依様もどうですか?確か流依様も花の観賞がお好きだとか。私の庭にあるバラ園をお見せしたいですわ。」
「そうですか。薫風、一緒に行ってみようか?」
「あ、うん。兄さんが行くと言うなら僕も行くよ。」
「フフッ楽しみですわ」
そう言って近々我が家に招待する事になりましたわ。
・・・作戦通り。
薫風さんに確かに我が家に招待するのは必然ですが私の目的はむしろお兄様の流依様に用がありますの。
そして当日。
何故か父上と母上が八乙女兄弟を出迎える為に準備をしていた。
「いつのまに、あの八乙女侯爵家とお知り合いになったのだ!?しかも急に今日お茶会に招待するなんて・・・」
「父上・・・お茶会といいますが、顔見知りの、数人でお茶を飲む程度ですのよ?そんな正式な・・・そんな肩っ苦しいお茶会とかではないのですのよ?」
「それでも同じ侯爵家としては挨拶しなくてはいけないのよ紫音。それにしても・・・まさか八乙女侯爵家を捕まえるとは・・・我が娘は素晴らしいわね。」
「は、母上・・・」
少し大事になってしまったが忙々と準備している親を止める事はできなかった。
そして麗華さんを始め招待したお仲間たちが次々にやってきた。互いに「ごきげんよう」と挨拶をして中庭へ案内する。もちろん、それは両親がしてるのだけども・・・
八乙女兄弟だけを贔屓に挨拶するのは野暮な事であり、軽く挨拶してメイドに後は任せている感じだが。
そしてついに本命が我が家に到着した。
「こんにちは。今日はお招きいただき有難うございます。これはティータイムに食べれる我が家の料理長が作ってくれたクッキーです。」
「ようこそお出でくださいました八乙女さん。我が娘のお知り合いとは驚きました。どうぞごゆっくりとお過ごしください。」
「お招きいただき有難うございます。こちらこそ令嬢たちのお茶会に招待して頂き大変恐縮しております。粗相のないよう精進致します。」
「まぁまぁご丁寧に。とても美しい美男子兄弟ですこと。どうぞ寛いでいってください。」
・・・もう、父上も母上も顔が緩みすぎですわ。まぁ八乙女兄弟はそれくらい容姿が素晴らしいので口答えできませんけどもね。
そして中庭へ。
6人でお茶をしていると流依様が立ち上がり花が見たいと言われたのでご案内した。
そして2人きりになり、私はある計画を流依様に話し出す。
「流依様。お話がございます。」
「・・・なんでしょう。」
「流依様。私は将来、薫風様と婚約したいと思っております。」
「・・・そう。でも、それを何故僕に話すんですか?」
「流依様にお力添えをお願いしたく・・・」
「それは無理な話ですね。・・・僕も薫風の事、愛しているからね。誰にも取られたくないんだ。」
「ええ。存じております。そこで、流依様も私と婚約致しませんか?」
「・・・なんだって?」
あら珍しい事。いつもポーカーフェイスであまり顔を崩さない流依様が怪訝な顔をしてますわ。・・・まあ仕方のない事ですわね。愛する人の恋敵に求愛をされるなんて思いもよらなかったでしょうから。
「私は薫風さんのお側にずっといたいのです。欲を言えば薫風さんのお子が欲しいですわ。でも薫風さんは誰とも付き合ったり、まして結婚する気がないみたいなのです。」
「・・・」
「ですので、流依様と私と説得して私と結婚してほしいのです。」
「・・・何故君に協力しなければならない。」
「私も流依様も薫風さんを愛しております。・・・ですのでここは一妻多夫制度を利用するのです。」
「・・・」
「私は薫風さんが傍にいてくれるだけで良いのです。そして流依様も私と結婚して私と一緒に薫風さんを愛せば良いのではありませんか。誰かに取られる前に私と薫風さんと流依様と3人で婚約すればいいのです。」
「・・・君はそれでいいの?」
「欲を言えばお子が欲しいですわ。だから結婚したら振り向いて頂けるよう努力致します。・・・それに両家にとっても悪い話ではないはず。私が子を成せば世継ぎになります。きっと薫風さんのお子ならとても可愛い子ができると思いますの。もちろん、ご所望であれば流依様のお子も作る事ができますわ。」
「薫風の子か・・・うん、そうだね。少し・・・考えさせてくれるかい。」
「もちろんですわ。私たち、3人でしたら夫婦円満になると思いますの。もちろん流依様は薫風さん優先していただいても構いませんのよ。・・・良いお返事をお待ちしております。」
園庭を眺めながら静かな時間が流れる・・・
話が終わり中庭へ戻ると4人で仲良くお喋りしている風景が見えた。
そう、私は薫風さんが旦那になっていただければそれで充分。それに流依様も家の事を考えれば跡継ぎの事でお見合いの話を持ち出されてるはず。
流依様が手助けしていただければ、ほぼ確定ですわ。
私は薫風さんを手に入れる。
******************
今年最後の更新になります~
よいお年をm(__)m
「今日は珍しく教室で食事しますの?」
「うん。そうだね・・・」
「あの3人がいなければ屋上へ行くんだけどね・・・」
いつも屋上へ食べに行く薫風さんと流依様がこの1ーAのクラスで重箱を並べ仲良く食事をしていた。
流依様は隠れファンが多く、初めてこの教室に顔を出した時は大騒ぎでしたわ。黄色い声がひっきりなしに聞こえ頬を染めながら八乙女兄弟を眺めてる女性が沢山いたわ。
それが今日はこの教室で食べるとの事で野次馬たちがきたり、他クラスの人が何故か席に座って食事を始めたり・・・いつも静かな教室は賑わっていたわ・・・
まぁ私は薫風さんの傍にいられいるだけで嬉しいですけどもね。
「あら、とても美味しそうですわね。・・・あと何か変わった?料理が入ってますわね?」
「ああ、毎日うちの料理長が作ってくれるんです。・・・きっと紫音さんが言ってるのは「肉じゃが」の事でしょう。」
「肉・・・じゃがですの・・・」
「あまり聞きなれないよね。僕もこれを見た時はどんな食べ物だ?って思ったよ。」
「そうだよね・・・これは僕が提案した料理なんだ。僕が厨房に立とうとすると料理長が血相変えて止めるから材料や作り方を伝えて作ってもらったんだ。」
まぁなんと料理を提案できるなんて・・・さすが薫風さんですわ。
「あっ、そうですわ薫風さん、もし良ければ今度私の家へお茶会にいらしてくれませんか?」
「お茶会ですか?」
「ええ、麗華さんと他クラスになってしまったお仲間も呼ぶのですが、もう皆さん顔見知りですので気遣い無用ですのよ。」
「う~ん・・・」
「流依様もどうですか?確か流依様も花の観賞がお好きだとか。私の庭にあるバラ園をお見せしたいですわ。」
「そうですか。薫風、一緒に行ってみようか?」
「あ、うん。兄さんが行くと言うなら僕も行くよ。」
「フフッ楽しみですわ」
そう言って近々我が家に招待する事になりましたわ。
・・・作戦通り。
薫風さんに確かに我が家に招待するのは必然ですが私の目的はむしろお兄様の流依様に用がありますの。
そして当日。
何故か父上と母上が八乙女兄弟を出迎える為に準備をしていた。
「いつのまに、あの八乙女侯爵家とお知り合いになったのだ!?しかも急に今日お茶会に招待するなんて・・・」
「父上・・・お茶会といいますが、顔見知りの、数人でお茶を飲む程度ですのよ?そんな正式な・・・そんな肩っ苦しいお茶会とかではないのですのよ?」
「それでも同じ侯爵家としては挨拶しなくてはいけないのよ紫音。それにしても・・・まさか八乙女侯爵家を捕まえるとは・・・我が娘は素晴らしいわね。」
「は、母上・・・」
少し大事になってしまったが忙々と準備している親を止める事はできなかった。
そして麗華さんを始め招待したお仲間たちが次々にやってきた。互いに「ごきげんよう」と挨拶をして中庭へ案内する。もちろん、それは両親がしてるのだけども・・・
八乙女兄弟だけを贔屓に挨拶するのは野暮な事であり、軽く挨拶してメイドに後は任せている感じだが。
そしてついに本命が我が家に到着した。
「こんにちは。今日はお招きいただき有難うございます。これはティータイムに食べれる我が家の料理長が作ってくれたクッキーです。」
「ようこそお出でくださいました八乙女さん。我が娘のお知り合いとは驚きました。どうぞごゆっくりとお過ごしください。」
「お招きいただき有難うございます。こちらこそ令嬢たちのお茶会に招待して頂き大変恐縮しております。粗相のないよう精進致します。」
「まぁまぁご丁寧に。とても美しい美男子兄弟ですこと。どうぞ寛いでいってください。」
・・・もう、父上も母上も顔が緩みすぎですわ。まぁ八乙女兄弟はそれくらい容姿が素晴らしいので口答えできませんけどもね。
そして中庭へ。
6人でお茶をしていると流依様が立ち上がり花が見たいと言われたのでご案内した。
そして2人きりになり、私はある計画を流依様に話し出す。
「流依様。お話がございます。」
「・・・なんでしょう。」
「流依様。私は将来、薫風様と婚約したいと思っております。」
「・・・そう。でも、それを何故僕に話すんですか?」
「流依様にお力添えをお願いしたく・・・」
「それは無理な話ですね。・・・僕も薫風の事、愛しているからね。誰にも取られたくないんだ。」
「ええ。存じております。そこで、流依様も私と婚約致しませんか?」
「・・・なんだって?」
あら珍しい事。いつもポーカーフェイスであまり顔を崩さない流依様が怪訝な顔をしてますわ。・・・まあ仕方のない事ですわね。愛する人の恋敵に求愛をされるなんて思いもよらなかったでしょうから。
「私は薫風さんのお側にずっといたいのです。欲を言えば薫風さんのお子が欲しいですわ。でも薫風さんは誰とも付き合ったり、まして結婚する気がないみたいなのです。」
「・・・」
「ですので、流依様と私と説得して私と結婚してほしいのです。」
「・・・何故君に協力しなければならない。」
「私も流依様も薫風さんを愛しております。・・・ですのでここは一妻多夫制度を利用するのです。」
「・・・」
「私は薫風さんが傍にいてくれるだけで良いのです。そして流依様も私と結婚して私と一緒に薫風さんを愛せば良いのではありませんか。誰かに取られる前に私と薫風さんと流依様と3人で婚約すればいいのです。」
「・・・君はそれでいいの?」
「欲を言えばお子が欲しいですわ。だから結婚したら振り向いて頂けるよう努力致します。・・・それに両家にとっても悪い話ではないはず。私が子を成せば世継ぎになります。きっと薫風さんのお子ならとても可愛い子ができると思いますの。もちろん、ご所望であれば流依様のお子も作る事ができますわ。」
「薫風の子か・・・うん、そうだね。少し・・・考えさせてくれるかい。」
「もちろんですわ。私たち、3人でしたら夫婦円満になると思いますの。もちろん流依様は薫風さん優先していただいても構いませんのよ。・・・良いお返事をお待ちしております。」
園庭を眺めながら静かな時間が流れる・・・
話が終わり中庭へ戻ると4人で仲良くお喋りしている風景が見えた。
そう、私は薫風さんが旦那になっていただければそれで充分。それに流依様も家の事を考えれば跡継ぎの事でお見合いの話を持ち出されてるはず。
流依様が手助けしていただければ、ほぼ確定ですわ。
私は薫風さんを手に入れる。
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今年最後の更新になります~
よいお年をm(__)m
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