313 / 313
高年期[二学期・後編]
歌って別れて次は修学旅行
しおりを挟む最終的に風間くんが渋々諦め僕を下ろしてスタッフに案内されていった。その間、代わりに子鷹狩くんが何故か横抱きしてきた。・・・え、何故?
「あの、僕、肩を貸していただければ歩けますよ。」
「歩くのが遅いだろう。俺が担いでった方が早い。ほら、早く最終確認でもしろ。」
なーんか偉そう。まぁ耐性ができたのかもう何とも思わなくなったけどね。
防音室に入ると「待ってました!」と言わんばかりに僕に集まってきた。中に「何故抱っこされて?」と疑問に思ってる人もいた。ま、そーだよね。
時間が惜しいとの事で歌合わせを始める。・・・おぉ、たった数日でほぼマスターしてんじゃない?あとは「ここはゆっくりな流れで」とか「ここは勢いのある音程で!」と付け加えるだけで済んだ。そして僕の声に合わせて微調整して・・・いざ本番。
オーナーがアナウンスする。すると場が静まりステージに目を向けられる。
・・・そして椅子に腰かけたまま僕が一礼して演奏が始まる。なるだけ背筋を伸ばして胸を張り深呼吸する。僕の座ってる背丈に合わせてもらったマイクスタンドに手をやり歌い出す。
「・・・ずっと一緒にいた・・・二人で歩いた一本道・・・二つに別れて・・・別々の、方歩いて、い~く」
あ、緊張で出だし震えちゃったよ・・・でもこの歌は男性パートでも難なく歌える曲。ピアノとバイオリンがあれば、まぁ何とか様になるよね。
・・・歌い終わると拍手が場を締める。なんとか歌い切った。うぅぅ・・・腰が、痛い・・・同じ体勢はやはりキツイみたい。2曲が限界ですね。アンコールは受け付けません。
次の曲は・・・古い歌かな?ピアノはオリジナルでテンポが早い。無理なら二人組でやってと言ったら、やはり無理だったらしく二人で弾く事になった。あとバイオリンと小さい太鼓?コンガのような打楽器。・・・それに合わせて歌う。滑舌悪いと意味不明な歌詞になってしまうから気を引き閉めます。まず水分取ってね・・・
「嘘をつくぐらいなら、何も話してくれなくていい・・・貴方は去ってゆくの、それだけはわかっているから・・・見つめ合った私は、可愛い女じゃなかったね・・・せめて最後は笑顔で飾らせて~・・・」
あ、苦しい・・・でも早口だから仕方ない。ピアノさん頑張ってついてきて。・・・ああ言葉が詰まりそう。良かったよ、一応家でも練習していたから。その間、流依兄さんが聞いてて感想が「なんだか言葉は聞き取れるけど、聞いてるだけで一杯一杯になる曲だね」と可も不可もない感想を言われた。まぁそうかもね。でも何回も聞くうちに「うん、良い曲だね。」と何に納得したのか中途半端な感想をもらった。
「出~会~い~と、わ~か~れ・・・泣くも笑うも好きも嫌いも・・・Ah~」
僕はこの歌手が好きだったんだけどね。3人組だったけど途中で2人組になって、よくバラードの歌を歌い始めたんだよね。今も活躍してるのかな・・・?
拍手を貰い一礼してステージから降りた。降りたと言ってもオーナーの手を借りて移動しました。横抱きは流石にお断りしました。・・・だって、これ僕のせいじゃないもん。あの人が悪いんだし。
「オーナーが無理を言って体調の悪い中呼び込んだ」なんて言われたら可哀想だもんね。まぁ僕も完全否定できなかったのも悪いんだけどね。結局は僕の体調管理の不届きって事だよね。はぁ・・・
「素晴らしい曲を有難うございます。」
「いいえ。僕も久々に歌えて楽しかったです。・・・すみません、体調悪いわけではないんですが身体を支えてもらって・・・」
「いいえ!むしろ無理を言ってしまい申し訳ございません!」
「あ~気になさらずに。また来ても良いですか?」
「もちろんです!今度はお食事にお越し下さいませ。おもてなし致します。」
「有難うございます。」
オーナーさんって良い人だよね。こう、人を叱らずにやる気にさせるのが上手いというか・・・とにかく尊敬できる上司のような人?他のスタッフも気楽に働いてるみたいだし。この店良いよねぇ~。
っと、風間くんが迎えにきてくれて帰る事になった。オーナーをほったらかして僕に抱きついてすぐに横抱きされてしまった。はぁ、あんま人前で抱き抱えないでほしいんだけどなぁ・・・
演奏者共々に見送られ風間家の車に乗った。もちろん行き先は・・・
「僕の家だよ?」
「・・・あの、明日は学校がありますので八乙女家に」
「ん?なんだい?僕の家では体が休まらないとでも?それとも何か必要な物があるのかい?」
「・・・いえ、」
「じゃあ良いよね?」
ハイ。御一緒サセテイタダキマス・・・お泊まりさせていただきます。だが!
「しませんからね?」
「・・・」
「一緒に寝るのだけは妥協します。しかし、襲ってきたら・・・容赦なく大事な所に蹴りを入れますので。」
「ブフッ!」
おっと運転手が吹いた(笑)執事さん・・・少し車揺れたよ?安全運転でお願いしますよ足利さん。
風間くんは執事さんに笑われたからか、寝るだけなのが不満なのか拗ねてしまった。・・・今やっと歩けるようになったのにヤられたら絶対明日動けなくなる気がする。絶対阻止します。
「子鷹狩・・・薫風に気があるのかな?」
「子鷹狩先輩ですか?・・・今は無いと思いますよ?」
「今は?」
「はい。今は花塚さんに猛烈アタックしてますから。」
「・・・そうなのか?子鷹狩は花塚さんのような、いかにも男性受けの良い女性が好みなのか。」
「そうみたいですよ?だから僕に気があるわけはないですよ。」
「そうか・・・」
何?気になるの?確かにリセット前は迫られてたけど今は恋のライバル?的なポジションになってるからナイだろうね。
__________
さてさて、今学校では修学旅行の話で持ちきりです。僕も楽しみですよ。
あ、僕と万純くんとの部屋割りが決まった。なんか蔵本兄弟をイメージしそうな二人だった。やはりチャラ男にはチャラ男が集まるのか・・・まぁ気の良さそうな奴らだし大丈夫だろう。
あ、昨夜は超密着されはしたが寝るだけに留まりましたよ。チューだけは許したが・・・
朝は送ってもらった。別れ際に物凄くキツく抱き締められたが我慢した。まぁ大分目の隈も薄れ顔色も良くなったし大丈夫だろう。・・・本当に僕が一緒にいただけで癒されたんだろうか?執事さんが満面の笑顔だったので、まぁ強ち間違ってはないようだが・・・その分、僕は散々な目に合ったけどね。欲求を収めましたから。
はぁ・・・そういえば理事長は生徒が修学旅行中は留守番なのかな?いや、ゲーム的に何処かの旅行先に来るはずだけど・・・?
10
お気に入りに追加
3,655
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(263件)
あなたにおすすめの小説


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。


主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
2022年に失礼します🙇♀️!
今はもう更新されてないようで悲しいです…
もっと早くこの作品に出会いたかった😭
いつまでも続きを待ってます☺️☺️
素敵な作品ありがとうございます!!
大好きです!!
いよいよ修学旅行ですね!
早く続き読みたいです。
更新まってます!
楽しく拝見させて頂きました^^
次はいよいよ修学旅行!続きを楽しみにしています!