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高年期[二学期・後編]
鳳家にお邪魔します。
しおりを挟むそれから運動会の練習をやりながら勉強もやり・・・ついに運動会の2日前になり鳳家へと招待を受け今夜は夢美姉さんの料理を食べる事になった。
生憎、うちの両親は2~3日前に視察に出向き家を留守にしているため兄弟だけできた。多分、それを知ってて克典は兄妹を呼んでねと言ったんだろう。
学校が終わり支度をして3人で車に乗り鳳家に向かった。
「流依~薫風~それに真菜ちゃあ~ん!久しぶりね!」
「夢美姉さま!お久しぶりですー!」
早速出迎えてくれたのは姉さんだった。真菜は姉さんの姿をみて声かけられたところで猛ダッシュして姉さんに抱き着いた。・・・うん、はしたないとは言わないよ。かわいいもん。
10歳も差がある姉妹だからか姉さんは妹を溺愛してます。まぁ僕もだけど。言葉は丁寧なのに行動が残念な所もまた良し!
「姉さん久しぶりだね。身体の様子はどう?」
「もう普通に動けるわよ!料理も作ったの。うふふ。食べ盛りの高校生が3人もいるんだから沢山作ったのよ!」
「ねぇお姉さま?緋美喜を見たいです!起きてますか?」
「ええ。可武伊さんが部屋で遊んでいるわ。克典くん、案内してもらえる?」
「いいよー。薫風もどーぉ?」
「行く。流依兄さんは?」
「僕は姉さんの手伝いをするよ。行っておいで。」
緋美喜というのは夏に姉さんが出産した3人目の子の名前だ。この世界では珍しい女の子で鳳家総出で可愛がってるらしい。うん、女の子は可愛いよねぇ~。
「ひーちゃん!あぁ可愛いです~!」
「真菜ちゃんは赤ちゃんの抱き方が上手だねぇ~。流石夢美の妹だ!」
「えへへ~可愛いですぅ~!」
「可愛いね・・・本当、小さい・・・柔らかいね。」
「薫風お兄様も抱っこしてみませんか?」
「・・・大丈夫かな。」
「お兄様は何でもこなせるから大丈夫ですわ。さぁどうぞ。」
そう言って僕の方に緋美喜を渡してくる・・・ぎこちない手で受け取り、簡単なやり方、自分の腕で浮き輪のような形をつくり、なるべく肌を寄り添うようにくっつけた。あ~赤ちゃん独特の甘い匂いがする・・・
「・・・かわいい」
「まぁお兄様!お兄様も抱き方がお上手ですわ~!」
「薫風~いつもの可愛い顔からさらに惚けて可愛い顔になってるよ~?」
「そうだね~薫風くんは赤ちゃん好きなの?」
「はい・・・この柔らかさといい、陽だまりのような匂いといい・・・ずっと抱っこしていたい気分です。」
「好きなだけ良いよ~なんだか緋美喜も薫風くんに抱っこされて喜んでるみたいだし。」
なんだか頬っぺをペタペタ触られてるんだけど?まぁ好かれてるならそれでも良いかな?・・・調子に乗って頬擦りしたらキャッキャッと喜んでくれた。うわぁ~本当に可愛い~!
「皆さ~ん!夕食の準備が・・・あら?ひーちゃんは薫風になついたのね~。」
背中をポンポンとあやしていると姉さんがやってきて僕の姿をみて微笑んできた。
・・・それから皆で移動し晩餐が始まった。緋美喜は姉さんの腕の中へと移動して賑やかな一時を過ごした。
「薫風ー少し俺の部屋で話さないー?」
「ん?・・・手を出してこないならいいよ。」
「そんな警戒しなくてもいいだろー?・・・まぁ保証はできないけどー少し話がしたいなー。」
「・・・わかった。風呂入ったら行くよ。」
明日が休みのため今日は一泊する事になっている。それぞれ部屋を用意されお風呂も着替えも用意してもらった。
まぁ・・・最近大人しいから襲われる心配はないかな?少し話がしたいって事だし問題ないだろう。てか何の話だろう?
________
「ねぇ薫風、俺と付き合ってよ。」
「・・・は?」
い、今・・・なんて言った?付き合う?何を?
てか部屋に入って互いにソファに座って第一声で何を言ってるんだよこの人。え、話ってソレ?
「何に付き合うって?」
「何とぼけてるの?あの風間さんとは別れたんだよね?なら俺と恋人になってよ。」
「は?・・・いやちょっと待て。・・・え?」
「ずっと狙ってたんだ。今が絶好の機会だろ?」
「・・・」
は?え?か、克典は一体何を言ってるんだ?・・・恋人?僕と恋人になりたいって言ったのか?
「・・・ちょっと待て・・・頭が追い付かない。・・・克典が、僕と、恋人に?」
「そー。」
「な、何で?」
「んー?・・・ああ、はっきり言わないと駄目か?・・・俺は薫風の事が好きだからだよ。」
「っ!」
「容姿は俺好み。頭脳は俺より上。性格は・・・まぁ多少難ありだが俺にとっては気にならない。媚びてくる奴等よりは全然マシだ。そして何より・・・体の相性が抜群にいい。」
「・・・」
「なぁ、風間さんともお試しで付き合ってたんだよな?なら・・・俺とだって試しに付き合う事、できるよね?」
「い、いや・・・それは状況が状況だったから仕方なく期限付きで付き合ったわけで・・・」
「じゃあこーゆーのはどう?風間さん、まだ薫風の事諦めてないんだよね?薫風と別れた後、薫風の噂を消そうと躍起になってるもんねー?」
「・・・そうみたいだね。まぁ、僕の汚名を払拭してくれるまでどれだけかかるかね~・・・」
「理事長なのにな~?なんか不器用だよな~?」
不器用?・・・ああ、まぁ確かにそうかも。理事長の権限とか使えばすぐに僕の悪い噂なんて吹き飛ぶだろうになぁ。・・・うん、確かに不器用か?
「で?」
「・・・?」
「俺と付き合う?」
「無理。・・・理由の1つ、体が持たないから。」
「毎日させてくれるならそんな激しくしないぞ~?」
「いやいやいや!毎日なんて尚更無理!あ、克典が下になるなら良いぞ?」
「何?薫風が俺を抱くの?いーけど、俺を満足する程気持ちよくしてくれるの?」
「・・・」
・・・そうは言ってみたものの・・・僕が、男を、抱けるのかな・・・?無理難題じゃないかな?想像してみたけど、そもそも克典を恋愛面で好きにはなってないし・・・そんな同性を抱けるかって言われると・・・否だな。うん。
「・・・無理、かな。」
「だよねー。薫風は馬鹿なのかな?」
「なっ!?」
「それにー、俺は受け身は無理だな。素質がない。」
「は?」
「それに比べて薫風は受けの素質抜群。奥を突けば締め付けが良くなってたまんないんだよねー。」
「なっ、なっ、・・・!」
こいつ!何でそんな破廉恥な事を堂々と言えるわけ!?おかしいだろ!僕なんか聞いただけで顔が火照るってのにっ!
「薫風ーかぁーわいいー!」
「もう黙ってよ。」
「ねー薫風・・・付き合おうよ。体の相性が良いんだから性格も合うよ。」
「いやいやいや!すでに僕はもうここから出たいけど!?」
「だーめー。今日は俺と一緒に寝よーねー?」
「はぁ⁉」
もーマジでついていけない・・・克典とは絶対無理だと悟っちゃったよ。
絶対お断りします。
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