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高年期[二学期・後編]
異変・・・
しおりを挟む「ごきげんよう薫風くん・・・少しお話があるのですが。」
「おはよう陽南さん。・・・ちょうど僕も話したい事があるんだ。・・・裏庭へと行こうか。」
鞄を置き廊下へと歩き出す。陽南さんも大人しく着いてくる。風間くんと早めに登校したためすれ違う生徒は少ない。
そして裏庭へと行きベンチに腰かける。陽南さんも隣へと座る。
「薫風さんだから濁した遠回りな言い方はしないわ。・・・昨日から私の頭の中で変な音が鳴り響いて夜眠れなくなったのよ。薫風くん、何か知らない?」
「あーうん、それ僕のせいかな・・・やっぱヒロインだからなのかな?」
「・・・詳しくお話聞かせてください!ずっと頭の中にピコーン、ピコーンという音が鳴り響いて鬱陶しいったらありゃしない!」
おうっ、言葉使いヤバいよ陽南さん・・・
まぁこれは陽南さんに聞かなきゃわからないしね。みんなの記憶が消える可能性があるんだから責任重大だよね?
「休みの日の夜に、ね・・・風間くんに告白したんだよ。好きですって。」
「!まぁ・・・まあまあまあまあまあ!薫風くんは風間さんを選んだのね!・・・それで?」
「それで、また機械的音声で・・・確か『風間和彦ルート、ハッピーエンドおめでとうございます。この後リセットし新たな恋を目指しますか?・・・yes/no』って頭の中で響いてきたんだよ。」
「・・・リセット?」
「そうリセット。・・・陽南さん、僕はこの乙女ゲームを全クリした事がないから、最後のエンディングがどうなってるのか知らないんだ。来年ある卒業式の最終イベントってどうなってるの?」
「・・・ち、ちょっと待ってください・・・リセット?た、確かに最終的にはそうゆう選択はありますが・・・それは継続できるはずですわ!」
「・・・そうだね。・・・続きがあって、僕はリセットって言う意味がわからなかったし、リセットする事によってゲームらしく新学期からやり直しになるのかとか今までの友人関係もリセットされるのか、何もわからなかったから、取り敢えず選択は『ノー』にしたんだ。」
「そ、そうね。私たちは今ちゃんと生きてますわ。前世の記憶があるから気付く事であって・・・リセットなんてとんでもないですわ!ふざけてますの?この世界は!」
「・・・さらに話は続くよ。ノーを選んだんだけど、また新たな選択が迫られてね・・・それに困ってて、どうしたらいいかなと思って陽南さんに朝イチで相談したかったんだ。」
さっきから陽南さんが百面相してるんですが・・・やっぱりゲームの内容とは違ってるのかな。
『愛は突然に~華やかな学園で愛を育む~』
僕にとって確かに愛は突然でしたよ!?僕の場合0%か100%しかなかったんだから!しかも僕の場合逆ハー達成してるし!
・・・ん?なんかおかしくない?
『~の攻略達成おめでとうございます。』って一番始めに機械的音声を聞いたよね?あれはどーゆー事なんだろう?
一学期は本当、僕、クソビッチ化してたっ!悲しいことに!何回聞いた?機械的音声?
でも攻略達成おめでとうって事は普通に考えて、そこでハッピーエンドじゃないの?
そこを陽南さんに指摘したら難しい顔をして考え始めた。
「・・・そもそも、このピコーンって、この音は一体なんなのでしょう?」
「僕が選択を保留にしているからでしょ?」
「私が攻略したわけでもないのに?」
「・・・」
「なんなのでしょう?・・・それに、ゲーム設定では確かに私がヒロインです。でもイベントは何度かこなしてますが効果がなかった。でもゲームに全く登場しなかった『八乙女薫風』が何故かイベント関係なくヒーローに好かれる始末。結果このゲームの、この世界のヒロインになっている状況。そして・・・それか休みの日に本当の?ハッピーエンドを迎えてゲームのリセットを迫られてる状況・・・一体なんなんでしょう?」
「・・・目を閉じるとね、ずっと選択を迫られてる状況になってね・・・もう寝てるのか寝てないのか・・・」
「あら・・・確かに少し目元にうっすらと隈が・・・?」
ま、それだけでもないけどね。
それより陽南さんにも警告音?が聞こえてるとは驚きだな・・・まさか前世の記憶持ちの人に聞こえてるとか?いや、銀徹さんは朝普通だったからなぁ~・・・陽南さんだけかな。
「・・・ゲームの流れでは、新学期にまず生徒会の二階堂と子鷹狩と天野が出て来て全校生徒に挨拶から始まり・・・それから様々な場所で攻略対象者との出会いイベントがあり・・・ルートに入ってからはその人のみのイベントが繰り広げられて・・・最終的に卒業式イベントで攻略している人の好感度によって愛の告白で終わるHEか、これからも仲良くというTE(トゥルーエンド)か、告白イベントが起こらないNE(ノーマルエンド)になるはずです。・・・ですが薫風くんのこの状況は明らか・・・」
「バグ、だよね・・・でも僕が選択しないとずっとこの警告音が鳴り響いた状況になるんだよね。・・・これかなり精神削られるんだよね。」
そう、このピコーン音、寝ても覚めても頭の中で響き続けてるんだよね。僕の場合、目を閉じると選択迫られるし・・・
「そういえば薫風くん、風間くんとどんな会話をしましたか?・・・最初の『~攻略達成おめ~』云々は置いといて、お休みの日に何があって結ばれましたの?」
「むすっ!?い、いや・・・そんな大それた事は・・・うーん、取り敢えず風間くん家にお邪魔して、恋人の契約期限の事で話をしてて・・・不満をぶちまけたら、それが告白紛いになった結果、本当の恋人になった感じ、デス。」
「もっと詳しく!」
「いやいやいや!それよりも先に話すべき事があるでしょ!」
「真面目な話です。告白の内容を教えて・・・いえ、私から聞きますわ。『素直じゃない天の邪鬼な猫が、やっと素直に懐いてきた』とか『共に過ごしているだけで私は癒される』とか言われたりしてませんか?」
「っ!!い、言われました・・・」
「好感度が80%以上上げた時のみの会話ですわよ。・・・じゃあ、まさか『卒業したら俺の所においで』って言われたりしますか?」
「!え、それまさか・・・?」
うわぁー!まさかのゲーム通りの展開っ!見透かされた感じっ!恥ずかしい!
「まあまあまあ!顔が真っ赤ですよ薫風くん。間違いなく風間ルートの流れですわね。・・・少し順番が違いますが。違うからこそ攻略は成功したが気持ちにズレがあるからハッピーエンドとは判断されなかったってところですかね。」
「・・・あーうん、それで納得いった。だからかぁ~」
「そういえばリセットをノーって選択した後の話をお聞かせください。」
「ああ、え~っと・・・確か3択あって」
僕はいつの間に風間ルートに入ってたんだろうね?恋人になったあたりから?ピアスもらったあたりから?・・・その前の身体を繋げたあたりから?・・・それとももっと前?
と、とりあえず選択内容を話した。陽南さんの答えは・・・?
「1ですわ!3は却下。」
「はぁ!?僕はこのまま和彦さんとHEで良いんですが・・・」
「ですが1なら、もしかしたら今から修正が入り、私がヒロインに返り咲くかもしれませんわよ?・・・薫風くんはまた風間ルートを攻略したらどうですか?」
「・・・僕はどうしたらいい?もしかしたら皆の記憶が全て消える可能性があるんだよ?もしかしたら万純くんや紫音さんの記憶が・・・」
「対象者の記憶、と言いましたよね。でしたらその他の方達の記憶はそのままではないでしょうか?」
「そしたら銀徹さんと愛翔さんは・・・!」
「・・・前世の記憶は消えないと思いますが・・・私もどうなるか想像ができませんわ。まだ運動会も始まってないのに・・・」
「・・・ほんと、責任重大だよ。せっかく和彦さんに告白したのに・・・」
「ふふ・・・薫風くん、変わりましたね。初めは独身貴族になりたいと言ってましたのに。」
「そうだね。・・・でも、確かに和彦さん選んだんだから、他の人は正直僕を諦めてほしいな・・・となると1か。」
「流石に新学期に巻き戻し、なんてならないでしょう。そんな事されたら流石に私も怒りますわ。」
だよね・・・って事で選択は決まりました。今夜にでも実行します。
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