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高年期[二学期・前編]
嫉妬からの後悔は代償が高い。
しおりを挟む「薫風」
「ん?・・・和彦さん?」
ペタペタと裸足で廊下を走っていたら風間くんから声がかかった。え、何で裸足かって?そりゃあボンドで内履きがおじゃんになったからです。はい。
急に浮遊感を感じたかと思ったらヒョイっと風間くんに横抱きされたからで・・・え、何故?
「あんな見え見えの仕掛けに嵌まっちゃうとはね。」
「いや・・・まぁ・・・」
「知ってるよ。2年生に押されて倒れたんだよね。まったく、酷い事をするね。2年生にはそれ相応の罰を与えるよ。」
「・・・あの、その前に克典が追いかけてったんですけど。」
「それも知ってるよ。・・・でも俺の気が済まないからね。」
おーい一人称!俺になってるー?・・・あれ?もしやかなりご立腹で在らせられるんでしょうか?あ、なんか変な日本語。でもそんな事言ってる場合じゃーない!よく見たら目が据わってやせんか?見た目は笑顔なんですがねぇ・・・あ、怖い!
とりあえず近くの、スポーツクラブの更衣室の方へ行き、さらに奥に行くとシャワールームがある。そこへと連れてってくれました。
「確か木工用ボンドだよね。あれはお湯に弱いからシャワーを浴びれば取れるよ。・・・あぁ、綺麗な髪にも付いちゃってるね。自分じゃ取れないだろうし私が手伝うよ。」
「あ、有難うございます。」
「ほぼ全身ボンドが付いてるようだからそのままシャワーを浴びなよ。体操着はそのままシャワー浴びながら手揉みすれば綺麗にとれるから。」
「はい。・・・では、お手数お掛けしますが髪の毛の方はお願いします。」
素直に風間くんに手伝ってもらう。うん、もうこの人なら遠慮せず甘えても気にしなくなったなぁ。
・・・うん、やっぱり手伝ってもらうにも衣服は脱がないとだよね。でも僕は服着てるから襲われないよね。信じるよ風間くん!
間。
丁寧に髪の毛を洗ってもらい、ついで私服を用意してくれました。・・・え、なんでサイズピッタリなんだろう?まぁ今は有難いけど。
無難に白の半袖ブラウスに黒のベスト、下はハーフパンツ。・・・うん、やはりサイズピッタリ。オカシーナー?
「んー似合ってるよ薫風!・・・あまり私服姿を見せたくないんだけどね・・・」
「・・・あの、質問が。何故この服は僕の身体にジャストサイズなんでしょうか?」
「じゃすと?・・・まぁ言いたい事はわかる。薫風くんの服は予備にいつも理事長室に何着か用意しているんだ。今日は役に立てて良かったよ。・・・周りには見せたくないんだけどね。」
「・・・いや、何故僕用の服が予備にあるんですか?」
「・・・知りたい?」
「・・・イエ。」
うん、雰囲気でピンときましたよピンッ!と。いつか僕が服を汚す場面があるから予備にいつでも出せるよう用意してたのね!・・・なんか嫌っ!皆まで言いません!その予備が今後使われない事を祈ります。はい。
別れの際にチューして、とりあえずグラウンドへ。どうなっただろうか・・・結構時間が経ってるんだけどな。
____________
「えっ薫風くん!?な、何故私服?えっ、体操着でしたわよね?」
「あーうん、仕掛けに引っ掛かって着替えてきたんだ。・・・あ、後衛の人はやっぱり行っちゃったか~。」
「あ!呑気に言ってる場合ではありませんのよ!鳳さんがヤバ・・・んんっ!た、大変な事になりましたの!」
ん~いつもの口調をだしちゃったね?令嬢さんに「ヤバい」なんて使いませんよ?それより克典がどうしたんだ?
「何故か現在進行形で鳳くんと2年の先輩が乱闘してるんですのよ。」
「はぁ?3年じゃなくって?え、意味わかんないんですけど。」
「私も詳しくは・・・万純さんが行ってますので薫風くんも行かれると良いかと。」
「あーうん、克典が暴れてる理由、多分、いや十中八九僕が絡んでるから。」
「!く、詳しく!」
「・・・君の望んでる展開にはならないからね?」
「・・・ッチ」
「おい!あんたそれでも子爵令嬢なの!?それっ!まずいでしょ!」
ヒロイン様!舌打ちは駄目絶対!
まぁとりあえず先程の話をする。玄関に入ってすぐボンドの池があり、そこで足踏みしてたら後ろから先輩に背中を押されボンドの池に転落した事。それによって克典が僕の仕返しをするため蔵本兄弟を使って僕を倒した先輩を捕まえて何か考えてるって事を話した。
・・・うん、苦笑いするよね。逆の立場だったら僕も苦笑いするわ。
と言うわけで学校へと走りますよ。あ、靴も用意してもらいました。スニーカーとソックスセットで。しかも服装と似合ってる。コーディネート完璧ですよ!えーはい!僕じゃ選ばないコーディネートです。でも似合ってます。頭にくる!
そしてまず玄関に向かいました。あー凄い騒ぎだよ。しかも3年生の教室はは1階なのに騒ぎになってるのは2階か、その上から聞こえます。おいおいどーなってんの?
「薫風・・・」
「あ!愛翔さん!」
わーい我が癒しの愛翔お兄に遭遇!もう面倒だからこのまま2人で園庭へ行きたいです。あ、駄目だよね喧嘩の原因が逃げちゃ・・・
「一体何があったの?中々襲ってこないから変に思って持ち場放棄して来ちゃったよ。」
「愛翔さん・・・う~抱き着きたい!」
「うん?いいよ。」
行きたいけど・・・抱き着きたいけどっ!ボンド池が邪魔!
っと思ってたら愛翔さんは可憐に走り幅跳びの様に助走してジャンプして僕の方へと来てくれました!あぁ~んステキです!可憐に何とでもない澄ました顔してやる愛翔さん格好いいです。・・・でも幅6mはあったと思うんだけどなぁ。うん、流石ですお兄。
それから抱き着き愛翔さんの胸に頭をグリグリ擦り付けました。愛翔さんはニコニコ笑ってされるがままになってます。あー癒し。
それから陽南さんと同じ説明を愛翔さんにもする。「うん・・・十中八九それが原因だね」と結論付けてました。・・・やっぱりそうだよね。
とりあえず愛翔さんと2階へと行く。・・・ん?2階にはいないようだ。じゃあ3階へ。・・・あ、騒いでる騒いでる。とにかく人を掻き分けて騒動の中心へと行こうか。
「克典!」
「あー来たね。」
「「薫風センセー大丈夫かぁ?・・・って、うおぉ!私服姿カッケー!」」
「ん?私服持ってきてたの?」
「いや・・・理事長から。」
「ふーん・・・まぁいいや、薫風こいつらどーする?」
「ん?」
こいつらって・・・まぁ誰を指してるのかわかるけど、先輩を「こいつ」と呼んじゃ駄目でしょ!
騒動の中心にたどり着くと・・・まぁ先輩が二人がかりで捕まってますね。そして克典がまず目に入ってきた。つぎに蔵本兄弟。・・・なんか目がヤバい。先輩をゴミのように睨み付けてます。ガン飛ばしてますよ。おいおい・・・
そして下にってか廊下に転がってる先輩が一人。あーうん、僕を突き飛ばした先輩だね。・・・あー顔に擦り傷、だけ?あまり傷つけてない?
いやでもあの真っ青な顔は・・・服で隠れる所を殴った?・・・おぅ。痛そう。
「克典これ・・・」
「うん。懲らしめちゃったよー。まったく・・・謝るなら初めからやるなってーのー。」
「うん、それは僕も同感~。」
ねぇ、これ後始末どーするの?
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