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高年期[夏休み編]
強制ですか!?
しおりを挟む「ん・・・」
「起きたか薫風。」
「あ、銀徹お兄・・・?」
「まだ朝方だ。寝てろ。」
頭を撫でられてる感覚がして目を覚ますと、ベッドの横で銀徹さんがいた。
・・・背中に人肌を感じる。多分風間くんだろう。僕が寝てる間にベッドに潜り込んできたんだな?はぁ・・・
「仕事の方はどう?」
「ん?ああ、仕事の方は順調だ。風間が復活したからな。今お前の後ろで幸せそうに寝ているしな。」
「あーそうなの?・・・それで、僕はもう帰ってもいい?もう2泊泊まった気がするんだけど。」
「・・・うーん。もう少し留まってくれないか?今薫風がいなくなったら風間が落胆してまた仕事に支障がでそうで、な・・・」
「え~・・・」
マジか。え~僕としては家でゆっくり寛ぎたいのですが。・・・なんかここにいたらまた風間くんに襲われそうだし。
しばらく僕の頭を撫でたのち銀徹さんは「じゃあ書類整理してくる」と言い残し部屋を出て行った。・・・風間くんはいいの?領主なのに銀徹さんに任せて・・・
ふあぁ~とりあえずトイレ行きたい。風間くんの腕をすり抜けトイレへ行く。・・・廊下へ出てトイレに行き用を足す。
トイレから出て廊下を歩いてると目の前から執事さんがやってきた。・・・なんか爽やか笑顔でお辞儀をされてしまったんですが。
「おはようございます薫風様。体のお加減は如何ですか。」
「あ、おはようございます足利さん。はい、ぐっすり眠らせてもらえましたので体調はいいです。お世話になりました。」
「それはようございました。朝食は如何いたしますか?」
「あー・・・はい、貰っても良いですが?」
「もちろんです。五十嵐様にもお声掛けしておきます。食卓の方へお出でくださいませ。和彦様は先程眠ったばかりですのでほっといても大丈夫ですので。」
「えっ!?風間先輩さっき寝たばかりなの!?」
うわぁ~どんだけ働いてるんだよ?しかも執事さん、主に対してその言い方は・・・?ほっといていいとか、主人にその言い方は大丈夫なの?
とりあえず服を貸してもらい着替え食堂へと行く。あ、銀徹お兄が席に着いていた。
銀徹お兄と仲良く喋りながら朝食をとってると廊下からタッタッタッと足音が聞こえバンッ!と扉が開く。
「な、なぜ私だけ仲間外れなんだい!?五十嵐!あまり薫風と親しくしないでくれるかな?」
「なんだまだ寝て30分しか経ってないぞ?もっとゆっくり休んだらどうだ?」
「ふと目が覚めたら薫風がいなくて慌てたよ。廊下出れば五十嵐と薫風の賑やかな声が聞こえてくるし・・・もうそんなんでゆっくり寝てられないよ!足利、コーヒー頂戴。」
「・・・お休み前にコーヒーは駄目です。暖かい紅茶をお入れします。お席へ。」
「・・・」
「・・・足利さんって風間先輩にまったく遠慮なくズバズバ言うんだね。」
「まぁ風間と足利はもう20年以上の付き合いだからな。兄弟並の関係があるからな。」
「・・・そっか。でも何故か足利さん、僕にメチャクチャ低姿勢なんだけど?」
「あぁ・・・それはお前が足利さんに気に入られてるからだろう。それにお世話好きだからな。俺にも低姿勢だぞ。まぁ薫風程ではないがな。」
「ん?」
・・・足利さんの低姿勢なのは気に入られてるからなのか。まぁ悪い方に思われてなければ構わないけど。
未だに不機嫌な風間くんを他所に銀徹お兄と朝食を平らげる。うん、美味しかった。
「じゃあ僕、家に帰るね。」
「「「・・・は?」」」
「は?」
何故か帰るって言ったら3人にガン見されたんですが・・・そして声がハモったし。え、何?
「も、もう帰るの薫風・・・」
「え、だって僕がここにいても何もする事がないし。」
「じゃあ薫風も書類の整理をお願いできないか。」
「え、いや他所の領地の書類なんて見ちゃ駄目でしょ。」
「・・・薫風様、我が家の庭は素晴らしいのですよ。特に今は日が上って間もない状態。朝日に照らされた花々はとても綺麗ですよ。」
「え!本当ですか!?是非見てみたいです!」
「勿論でございます。さぁ、ではご案内いたします。」
マジか!いやぁ確かにこの時間に起きるのは滅多にないからなぁ~・・・そうか、朝日に照らされた花って幻想的に見えるらしいしね。うわぁ楽しみ!
「・・・さすが足利だな。」
「・・・なんか腑に落ちない。私より足利の方が薫風に慣れてる・・・何故?」
「足利は余程薫風の事を気に入ったらしいな。薫風の好みを把握してるな。」
「・・・強敵ライバルが現れた感じだ。」
「あぁ・・・まぁ、頑張れ。」
なんか後ろから不穏な雰囲気を感じるんだがなんだろう・・・?
いやぁ~それにしても風間家の庭は凄かった!夏に見所のある花、月下美人、アガパンサス、プルメリア、ユリ等々・・・水をやり、花弁に雫が伝い綺麗に咲き誇る花に目が釘付けになる。
近くに庭師さんがいて軽く会話をする。・・・すると僕が帰る頃に花束をくれると言ってきた。うわぁ有難い!
・・・てか執事さんがニコニコ笑って佇んでるのが気になるのですが?・・・あれ?そういえば僕、帰りたいって言ってたような・・・?
あー・・・はい、僕はまだ帰れないという事ですか。
「あの、そろそろ・・・」
「薫風様、我が家には沢山の楽器がございまして。是非演奏してみませんか?」
「え!何があるんですか?」
「ピアノから始め、箏、三味線、ギター、アコーディオン等ございます。」
「・・・凄いですね。」
「みな頂き物なんですが、生憎風間様は楽器を手に持つ余裕もなく宝の持ち腐れとなっております。・・・ですので薫風様、少し演奏してみませんか?」
「是非!」
あーれー?なんか物凄く言いくるめられてる気がするんだけどなぁ~?気のせいかな?
それから帰りたいオーラを出す度に言いくるめられ気付けば夜、風間くんと眠って朝になり、帰ると言えば引き留められ・・・気付けば5日も経っていた。・・・足利さん、侮れん!
「薫風様は本当にピアノがお上手ですね。お声も透き通る綺麗な美声でいらっしゃる。」
「あ、ありがとうございます。」
「・・・おい、なんだかんだ足利が薫風に着きっきりになってるが大丈夫か?」
「う~ん・・・不本意ながら薫風を家に引き留めとくのは足利が一番適役なんだよ。」
「ああ・・・それはそうだか・・・なんというか、どっちが主人なのかわからなくなってるぞ?」
「うぅぅ・・・それを言うな五十嵐。自覚はある。・・・はぁ、早く書類を纏めなきゃなぁ。薫風といる時間が減っていく・・・」
「・・・あと少しだ。ま、頑張れ。」
なーんか、ずっと執事さんが着いてくるのですが何故なんでしょうか。
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