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高年期[夏休み編]
閑話休題…誘惑な出会い①
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~こちらは鳳克典の目線です~
気分で書いた物で読まなくても話は繋がります。だいたい2、3話続きます。
__________
彼と初めて対面したのは俺の兄が結婚した時だった。
中学1年の頃。
「克典!聞いてくれ!やっと愛しの夢美からプロポーズの返事をもらえたんだ!」
「へぇー・・・良かったねー。よく可武伊兄さんを受け入れてくれたね。しかも女性。・・・あー鳳家は安泰だねー」
「なんだよ克典、冷めてるなぁ~・・・もっと祝福してくれよ!」
「・・・おめでとー」
俺、鳳克典は何もがどーでも良く12歳にして人生に飽き飽きしていた。その時の出来事だった。
兄の鳳可武伊は俺と違い明るい性格、容姿は小顔で爽やかで美男子、一途で尽くすタイプ、さらに鳳侯爵家の長男だ。優良物件の男だが、唯一欠点がある。・・・夜の営みが絶倫で激しいらしい。弟としては必要ない情報。だが一途で尽くすが絶倫で恋人となる人たちはそれが原因で破局していた。
そんな中、23歳という結婚適齢期からかなり遅い年で、独身を貫き通すのかと思いきや、4年という月日を重ねて奥さんとなる彼女の決意がやっと固まり結婚する事になったらしい。
こんなにも遅くなった原因はやはり夜のアレらしい。・・・兄も一途なんて止めて適当な奴を嫁にすれば良かったんじゃないかとつくづく思った。
そして結婚式。うちの家族と相手の家族とご対面する。相手は八乙女侯爵家の長女で八乙女夢美さんという。・・・うん、美人だね。
八乙女家には4人も兄弟がいた。夢美さん、流依さん、薫風くん、真菜ちゃん。薫風くんは俺と同い年らしい。第一印象は中性的な顔立ちに華奢な身体をしてるな~と思った。・・・一人だけ瞳の色が違う事だけ気になった。皆茶色の瞳のなのに、彼だけ深い青、ネイビーブルーの瞳をしていた。なんでも3歳の頃、頭を打ち付け先祖返りし色素が無くなり青く変色してしまったらしい。・・・へぇ、そんな事あるんだ。それにしても頭を打ち付けるとか、マヌケなのか?まぁ用がない限り会うことはないだろう。
顔合わせし、式を挙げたのち、夢美義姉さんが家へやってきて、賑やかになった。・・・そして早速、夢美義姉さんは妊娠してしまったらしい。流石絶倫。兄さん、やることはちゃんとやるね。
俺の母親は軟弱ではないが身籠りにくい身体らしく、やっとの事で俺たちを生んだらしい。・・・父親は未だに諦めてないらしく頑張ってるらしいが。
俺の両親は俺たち兄弟を無償の愛?で、かなり可愛がってくれた。兄も俺も成績は優秀で手の掛からない子だったらしい。母親は少し不貞腐れてたのが理解できなかった。
兄はいつも楽しそうな毎日を過ごしているらしい。その反面、俺は何をやっても直ぐに出来てしまいつまらない毎日を過ごしていた。趣味を作ろうと色々試した。スポーツはテニスや野球など、ゲームはチェスやビリヤードなど、多種多様の色々な物を試した。が、俺に付いてこれる相手がいなく、特に団体でやるものは特に駄目だった。優秀すぎるのも困ったものだ。
思春期の小学校の高学年になると色目を使って近寄る奴らが増えた。・・・まぁ兄同様、容姿も家柄も成績も全て良い俺に寄ってくるのは仕方ないとは思う。・・・何人か付き合ってみるが所詮、上部だけ見てる奴らばかりだから長く続くはずがない。
そして中学生になれば更に俺に近付く奴が増えた。そして俺を妬み嫌がらせのようなものもされた。・・・まぁ事前に防いでるから今のところ被害はないがな。
つまらない日々の暇潰しに嫌がらせをしてくる奴を捕まえ無理矢理犯した事もある。・・・何故かその後は付きまとわれてしまったが、な。
・・・そこで俺も兄同様、絶倫という事を自覚してしまった。まぁ・・・父親も絶倫なんだから普通、か。
まぁ唯一困ったのがこの絶倫の身体だった。恋人をつくり身体を繋げるが・・・俺が満足する前に相手が意識を失い不完全燃焼で終わってしまう事だ。何人も抱けばいいってものでもなかった。息子はやる気になっても気分が乗らずにヤってしまうと中々イけない地獄を味わう。遅漏れでも早漏でもないはずだが、どうしても不完全燃焼になってしまう。
いっそ禁欲してやろうと思い息子を放置したら・・・まぁ想像できるであろう、朝起きたら夢精していたという悪夢をみるはめになった。しかもかなりの量。・・・最悪の目覚めだった。
そして何故か父親がその事を知り「早くお前も婚約者を捕まえろ」と言われた。・・・余計なお世話だ。
・・・それから何人かと付き合った。その中に男性も含まれている。俺は次男で、兄に奥さんができ、自由の身であるがため、とにかく片っ端から俺に寄ってくる奴らと付き合ってみた。
・・・だが持って1ヶ月、早くて1日で相手から離れていく。そしてこんな節操なしな関係を続けていけば自ずと噂がたち、俺が雑で絶倫だと言う噂が学校中に広がる。まぁ否定は出来ないな。本気になった奴はいないし、言い寄られたから付き合って、勝手に別れを告げられるだけだ。・・・自分勝手な事だ。
それでも良いという変わり者がいて、途絶える事なく付き合っては別れを繰り返す日々を過ごしていく。こんなつまらない日々・・・いつまで続くのだろう?俺は何の為に生きてるのやら・・・
それから変わらない日々を過ごし高校へと入学する。確か兄はこの学校で夢美義姉さんと出会い一途に寄り添って結婚したんだよな。
・・・はは、俺にも良い出会いがあれば良いがな。
この学校に俺の義兄弟がいると可武伊兄さんから聞いたんだよな。・・・どこにいるだろう?まぁいつでも会えるだろう。
と、思ったらクラスが遠かった。流依義兄さんは3年だから滅多に会えず、薫風くんは1ーAで俺は1ーCだ。合同でもクラスは別。・・・まぁいいか。
それから八乙女兄弟とは会う機会がなく、夢美義姉さんのお腹が大きくなり臨月を迎えた時、それを伝える為に昼休み薫風くんのクラスへと赴いた。
呼び出してもらい、久々に会った薫風くんを見て驚いた。
中性的な顔立ちは変わっておらず、前髪に何故か金のメッシュが染められており、前髪で瞳が隠れており、地味なイメージがついた。だがオーラというか、やはり侯爵家の者というか、堂々としていて体も未だに華奢だがだいぶ鍛えてるように見えた。そして若干、色気がでていた。
夢美義姉さんが臨月に入った事を伝える。するとお礼を言われ「鳳さん」と呼ばれた。・・・他人行儀だと思い義兄弟なんだからと理由つけ名前で呼び合うよう言ったら素直に頷いた。
そういえば中間テスト、俺は初めて2位をとったんだったな。1位は確か薫風の名前があった・・・へぇ?俺より成績がいいんだ。それに中性的な顔立ちは可愛らしく、そして素直だった。・・・少し近付いて悪戯してやろうかな。
・・・怪しい雰囲気の奴を見つけた。確か・・・あいつは1ーDの夕立勝巳だったか?平凡な奴であまり目立たないやつだ。・・・いつもつまらなそうに本を読んだり窓の外を眺めていたりしているが・・・たまに目がギラギラ輝いてる時がある。・・・その視線を辿ると・・・ん?薫風?あいつ薫風の知り合いか?
少し興味をもち観察する。・・・あいつ、たまに誰かと個室で何かやってるんだよな。・・・一人取っ捕まえてみるか。
「おい。」
「はい?あ、鳳くん。何か用ですか?」
「・・・夕立と何してたんだ?」
「夕立くん?・・・何の事?」
「ふーん、隠すん、だ・・・じゃあさっき、個室で何やってたんだ?夕立とデキてるのか?」
「は?・・・いや、夕立くんは好みじゃないなぁ・・・何が言いたいの鳳くん。」
なんか裏がありそうだ。・・・はは、興味が湧いた。面白そうだ。少し・・・奴を調べてみるか。
とりあえずこいつから情報を絞り出すか。
へぇ?あいつ、薬に詳しいのか。しかも個人に合わせて薬を調合して渡してるってか。・・・じゃあ何故わざわざ個室で渡す必要が?
は。あいつ自分専用の別館があるのか。贅沢な暮らしをしてるな。まぁ侯爵様なら当たり前か?
それにしても平民から貴族になる奴は沢山いるが、かなり位の高い侯爵の地位を手に入れるのは異常だろう。何をやったんだ?
調べていくうちにいろいろと明かされてきた。あの夕立は小さい頃から知恵が豊富で教えてもいない知らない薬草などを調べあげそれを薬に調合し、修道院や貧しい平民たちに寄付をしてかなり力を蓄えていたらしい。その薬の効果は絶大で長年悩んでた頭痛や腰痛など様々な身体異常に効くと評判が広がり、それが称えられ身分を平民から貴族へと上がったらしい。
・・・だが、それには裏の話もある。奴は知らずに危険な薬物までも作ってしまった。それは肥えた貴族の格好の餌食になり媚薬や神経毒など様々な薬を貴族に提供する変わり高い位の授与を与えてもらえるよう口添えしてもらったらしい。
それは危険薬物として国、いやこの世界で使用禁止とされていて、所持しているだけでも罪に問われる程厳しく取り締まりされている物だった。
思わぬ人物にほくそ笑む。大物を釣った!調べれば調べる程、かなり埃が出てきた。そして夕立を支援してる奴の名前もわかった。・・・これ、脅す手札として活用しない手はない。
・・・とりあえず奴と接触する。何人か夕立と接触してた奴の名前を使い、夕立に話しかけた。警戒してる様子はなかった。
それから嬉しい事にその別宅へと案内してもらえた。・・・まぁ、一人で暮らすには丁度良い大きさの家だったな。中に入れば数人のメイドと中年の執事が歓迎してくれた。
ほう、様々な図鑑とビーカーと薬草と粉末がある。・・・パッと見、危険薬物は見当たらない。危険薬物は色が独特ですぐわかる。だが案内された薬を調合する部屋には普通の体に良い薬しかなかった。
「ちょっとごめん。少し席を外すよ。・・・なんでも見ても構わないけど触っちゃ駄目だよ。中には毒にもなる物もあるから。」
「あーわかった。」
夕立がそそくさ外へ出ていく。執事もいなくなりこの個室に俺一人になった。まぁ珍しいからじっくり観察させてもらおうか・・・
・・・ん?壁際に・・・ヒビ?いや、これ、多分隠し部屋か何かだな。うーん、触るなと言われたから辞めとこう。とりあえずあいつの疑いの目が向けられても困る。身動きがとれなくなる可能性があるからな。警戒されて隠されても困る。
時間にして10分頃かな。両手に荷物を持ち現れた。玄関から荷物が届いたらしく、丁度届く時間だったらしい。
・・・それから他愛のない話をし、何個か薬をもらい別宅を出た。
まぁまぁ収集できたな。さて、こいつどうしようか?脅してみるか?危険薬物は犯罪で捕らえられるぞって。
いい暇潰しができ気分良く家へと帰っていく。
・・・だが、事件が起きた。それは学校恒例の文化祭の時だ。文化祭は3日間開催され、最終日に、義兄弟である薫風が何者かに拉致されたと騒ぎが起きた。
気分で書いた物で読まなくても話は繋がります。だいたい2、3話続きます。
__________
彼と初めて対面したのは俺の兄が結婚した時だった。
中学1年の頃。
「克典!聞いてくれ!やっと愛しの夢美からプロポーズの返事をもらえたんだ!」
「へぇー・・・良かったねー。よく可武伊兄さんを受け入れてくれたね。しかも女性。・・・あー鳳家は安泰だねー」
「なんだよ克典、冷めてるなぁ~・・・もっと祝福してくれよ!」
「・・・おめでとー」
俺、鳳克典は何もがどーでも良く12歳にして人生に飽き飽きしていた。その時の出来事だった。
兄の鳳可武伊は俺と違い明るい性格、容姿は小顔で爽やかで美男子、一途で尽くすタイプ、さらに鳳侯爵家の長男だ。優良物件の男だが、唯一欠点がある。・・・夜の営みが絶倫で激しいらしい。弟としては必要ない情報。だが一途で尽くすが絶倫で恋人となる人たちはそれが原因で破局していた。
そんな中、23歳という結婚適齢期からかなり遅い年で、独身を貫き通すのかと思いきや、4年という月日を重ねて奥さんとなる彼女の決意がやっと固まり結婚する事になったらしい。
こんなにも遅くなった原因はやはり夜のアレらしい。・・・兄も一途なんて止めて適当な奴を嫁にすれば良かったんじゃないかとつくづく思った。
そして結婚式。うちの家族と相手の家族とご対面する。相手は八乙女侯爵家の長女で八乙女夢美さんという。・・・うん、美人だね。
八乙女家には4人も兄弟がいた。夢美さん、流依さん、薫風くん、真菜ちゃん。薫風くんは俺と同い年らしい。第一印象は中性的な顔立ちに華奢な身体をしてるな~と思った。・・・一人だけ瞳の色が違う事だけ気になった。皆茶色の瞳のなのに、彼だけ深い青、ネイビーブルーの瞳をしていた。なんでも3歳の頃、頭を打ち付け先祖返りし色素が無くなり青く変色してしまったらしい。・・・へぇ、そんな事あるんだ。それにしても頭を打ち付けるとか、マヌケなのか?まぁ用がない限り会うことはないだろう。
顔合わせし、式を挙げたのち、夢美義姉さんが家へやってきて、賑やかになった。・・・そして早速、夢美義姉さんは妊娠してしまったらしい。流石絶倫。兄さん、やることはちゃんとやるね。
俺の母親は軟弱ではないが身籠りにくい身体らしく、やっとの事で俺たちを生んだらしい。・・・父親は未だに諦めてないらしく頑張ってるらしいが。
俺の両親は俺たち兄弟を無償の愛?で、かなり可愛がってくれた。兄も俺も成績は優秀で手の掛からない子だったらしい。母親は少し不貞腐れてたのが理解できなかった。
兄はいつも楽しそうな毎日を過ごしているらしい。その反面、俺は何をやっても直ぐに出来てしまいつまらない毎日を過ごしていた。趣味を作ろうと色々試した。スポーツはテニスや野球など、ゲームはチェスやビリヤードなど、多種多様の色々な物を試した。が、俺に付いてこれる相手がいなく、特に団体でやるものは特に駄目だった。優秀すぎるのも困ったものだ。
思春期の小学校の高学年になると色目を使って近寄る奴らが増えた。・・・まぁ兄同様、容姿も家柄も成績も全て良い俺に寄ってくるのは仕方ないとは思う。・・・何人か付き合ってみるが所詮、上部だけ見てる奴らばかりだから長く続くはずがない。
そして中学生になれば更に俺に近付く奴が増えた。そして俺を妬み嫌がらせのようなものもされた。・・・まぁ事前に防いでるから今のところ被害はないがな。
つまらない日々の暇潰しに嫌がらせをしてくる奴を捕まえ無理矢理犯した事もある。・・・何故かその後は付きまとわれてしまったが、な。
・・・そこで俺も兄同様、絶倫という事を自覚してしまった。まぁ・・・父親も絶倫なんだから普通、か。
まぁ唯一困ったのがこの絶倫の身体だった。恋人をつくり身体を繋げるが・・・俺が満足する前に相手が意識を失い不完全燃焼で終わってしまう事だ。何人も抱けばいいってものでもなかった。息子はやる気になっても気分が乗らずにヤってしまうと中々イけない地獄を味わう。遅漏れでも早漏でもないはずだが、どうしても不完全燃焼になってしまう。
いっそ禁欲してやろうと思い息子を放置したら・・・まぁ想像できるであろう、朝起きたら夢精していたという悪夢をみるはめになった。しかもかなりの量。・・・最悪の目覚めだった。
そして何故か父親がその事を知り「早くお前も婚約者を捕まえろ」と言われた。・・・余計なお世話だ。
・・・それから何人かと付き合った。その中に男性も含まれている。俺は次男で、兄に奥さんができ、自由の身であるがため、とにかく片っ端から俺に寄ってくる奴らと付き合ってみた。
・・・だが持って1ヶ月、早くて1日で相手から離れていく。そしてこんな節操なしな関係を続けていけば自ずと噂がたち、俺が雑で絶倫だと言う噂が学校中に広がる。まぁ否定は出来ないな。本気になった奴はいないし、言い寄られたから付き合って、勝手に別れを告げられるだけだ。・・・自分勝手な事だ。
それでも良いという変わり者がいて、途絶える事なく付き合っては別れを繰り返す日々を過ごしていく。こんなつまらない日々・・・いつまで続くのだろう?俺は何の為に生きてるのやら・・・
それから変わらない日々を過ごし高校へと入学する。確か兄はこの学校で夢美義姉さんと出会い一途に寄り添って結婚したんだよな。
・・・はは、俺にも良い出会いがあれば良いがな。
この学校に俺の義兄弟がいると可武伊兄さんから聞いたんだよな。・・・どこにいるだろう?まぁいつでも会えるだろう。
と、思ったらクラスが遠かった。流依義兄さんは3年だから滅多に会えず、薫風くんは1ーAで俺は1ーCだ。合同でもクラスは別。・・・まぁいいか。
それから八乙女兄弟とは会う機会がなく、夢美義姉さんのお腹が大きくなり臨月を迎えた時、それを伝える為に昼休み薫風くんのクラスへと赴いた。
呼び出してもらい、久々に会った薫風くんを見て驚いた。
中性的な顔立ちは変わっておらず、前髪に何故か金のメッシュが染められており、前髪で瞳が隠れており、地味なイメージがついた。だがオーラというか、やはり侯爵家の者というか、堂々としていて体も未だに華奢だがだいぶ鍛えてるように見えた。そして若干、色気がでていた。
夢美義姉さんが臨月に入った事を伝える。するとお礼を言われ「鳳さん」と呼ばれた。・・・他人行儀だと思い義兄弟なんだからと理由つけ名前で呼び合うよう言ったら素直に頷いた。
そういえば中間テスト、俺は初めて2位をとったんだったな。1位は確か薫風の名前があった・・・へぇ?俺より成績がいいんだ。それに中性的な顔立ちは可愛らしく、そして素直だった。・・・少し近付いて悪戯してやろうかな。
・・・怪しい雰囲気の奴を見つけた。確か・・・あいつは1ーDの夕立勝巳だったか?平凡な奴であまり目立たないやつだ。・・・いつもつまらなそうに本を読んだり窓の外を眺めていたりしているが・・・たまに目がギラギラ輝いてる時がある。・・・その視線を辿ると・・・ん?薫風?あいつ薫風の知り合いか?
少し興味をもち観察する。・・・あいつ、たまに誰かと個室で何かやってるんだよな。・・・一人取っ捕まえてみるか。
「おい。」
「はい?あ、鳳くん。何か用ですか?」
「・・・夕立と何してたんだ?」
「夕立くん?・・・何の事?」
「ふーん、隠すん、だ・・・じゃあさっき、個室で何やってたんだ?夕立とデキてるのか?」
「は?・・・いや、夕立くんは好みじゃないなぁ・・・何が言いたいの鳳くん。」
なんか裏がありそうだ。・・・はは、興味が湧いた。面白そうだ。少し・・・奴を調べてみるか。
とりあえずこいつから情報を絞り出すか。
へぇ?あいつ、薬に詳しいのか。しかも個人に合わせて薬を調合して渡してるってか。・・・じゃあ何故わざわざ個室で渡す必要が?
は。あいつ自分専用の別館があるのか。贅沢な暮らしをしてるな。まぁ侯爵様なら当たり前か?
それにしても平民から貴族になる奴は沢山いるが、かなり位の高い侯爵の地位を手に入れるのは異常だろう。何をやったんだ?
調べていくうちにいろいろと明かされてきた。あの夕立は小さい頃から知恵が豊富で教えてもいない知らない薬草などを調べあげそれを薬に調合し、修道院や貧しい平民たちに寄付をしてかなり力を蓄えていたらしい。その薬の効果は絶大で長年悩んでた頭痛や腰痛など様々な身体異常に効くと評判が広がり、それが称えられ身分を平民から貴族へと上がったらしい。
・・・だが、それには裏の話もある。奴は知らずに危険な薬物までも作ってしまった。それは肥えた貴族の格好の餌食になり媚薬や神経毒など様々な薬を貴族に提供する変わり高い位の授与を与えてもらえるよう口添えしてもらったらしい。
それは危険薬物として国、いやこの世界で使用禁止とされていて、所持しているだけでも罪に問われる程厳しく取り締まりされている物だった。
思わぬ人物にほくそ笑む。大物を釣った!調べれば調べる程、かなり埃が出てきた。そして夕立を支援してる奴の名前もわかった。・・・これ、脅す手札として活用しない手はない。
・・・とりあえず奴と接触する。何人か夕立と接触してた奴の名前を使い、夕立に話しかけた。警戒してる様子はなかった。
それから嬉しい事にその別宅へと案内してもらえた。・・・まぁ、一人で暮らすには丁度良い大きさの家だったな。中に入れば数人のメイドと中年の執事が歓迎してくれた。
ほう、様々な図鑑とビーカーと薬草と粉末がある。・・・パッと見、危険薬物は見当たらない。危険薬物は色が独特ですぐわかる。だが案内された薬を調合する部屋には普通の体に良い薬しかなかった。
「ちょっとごめん。少し席を外すよ。・・・なんでも見ても構わないけど触っちゃ駄目だよ。中には毒にもなる物もあるから。」
「あーわかった。」
夕立がそそくさ外へ出ていく。執事もいなくなりこの個室に俺一人になった。まぁ珍しいからじっくり観察させてもらおうか・・・
・・・ん?壁際に・・・ヒビ?いや、これ、多分隠し部屋か何かだな。うーん、触るなと言われたから辞めとこう。とりあえずあいつの疑いの目が向けられても困る。身動きがとれなくなる可能性があるからな。警戒されて隠されても困る。
時間にして10分頃かな。両手に荷物を持ち現れた。玄関から荷物が届いたらしく、丁度届く時間だったらしい。
・・・それから他愛のない話をし、何個か薬をもらい別宅を出た。
まぁまぁ収集できたな。さて、こいつどうしようか?脅してみるか?危険薬物は犯罪で捕らえられるぞって。
いい暇潰しができ気分良く家へと帰っていく。
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