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高年期[夏休み編]
まぁ、うん、こうなるよね~
しおりを挟むはぁ・・・何で僕がこんな事をしなければならないんだ?
「克典。」
はい。ただこの一言です。何故かモーゼの如く克典の周りにいた女性陣が道を開けてくれる。そして僕をみて唖然としてる者もいれば俯いてる人もいるし、頬を赤くしてる人もいる。・・・何?僕なんかやった?
まぁとりあえず遠慮なく克典に近付く。僕の姿を 見て一瞬驚いた顔をしたが、すぐにヘラッと顔を崩して微笑んだ。そう、微笑んだのだ。
「あ~やっと来たね~。遅いよ薫風~。」
「いやいや、僕は万純くんとビーチバレーしてたから。克典は克典で自由にしてただろ?」
「いやぁ~ゆっくりしたかったんだけどーーーー」
「ねぇ貴方!鳳様のお知り合い?どうですか?この後穴場があるので一緒に行きませんか?」
「ずるいですわ!お名前を伺っても宜しいですか?」
「とても逞しいお身体してますね・・・このままお食事に行きませんか~?」
「・・・」
うわ・・・これはキツイわ。それは克典もキレるわ。克典じゃなくてもこの節操ない女性たちは嫌だわ。あ、また克典くんヤバい顔してる。
「すみません。鳳くんはあまり好意的な方は苦手ですので、どうかお引き取り願えますか?」
「えっ・・・」
お、嫌みに気付く頭の良い人がいるようだ。うん、気付いたのなら手を引いてくれるかな?
「ほら、克典も、せっかく海に来たのにずっと座ってるつもりか?カナヅチじゃないだろ?行こう。」
「う~ん・・・ゆっくりしたかったんだけどなぁ~薫風に誘われちゃ断れないな~」
いつもののんびりな面倒くさそうな口調に戻ってヘラりと笑った。はぁ・・・これで機嫌なおせたかな?とりあえず手を引いて女性陣の中から引っ張りザザ~ンと波打つ海へと歩き出す。その前にパラソルの下に克典のパーカーを置くのを忘れませんよ。
その間、克典の周りにいた女性陣はポカンとしてその場に突っ立ってました。うん、ごめんね。君達の為もあるからね?克典、キレたらなんかヤバそうだし。仕方ないよね。
「ね~克典ってカナヅチじゃないよねぇ?」
「ん~?一応泳げるよぉ~」
「じゃなあなんで僕の肩に掴まって浮いたままになってるわけ?」
「ん~?だって楽だしぃ~?」
「・・・はぁ。万純くんも克典も・・・僕はビート板じゃないんだけど。」
はい、只今肩元まで海につかり底を蹴りながら泳いでます。そしてその肩には克典くんの手があります。完璧僕が引っ張ってる状態です。・・・くそう、楽しやがって。
まぁこれで克典の機嫌が戻るなら泳いでやりますよ。ついでに海も堪能できるし・・・まっ、いっか。
「きもちいいね~薫風~。」
「あーはいはい。克典、プカプカ浮きたいなら浮き輪持ってくれば良かったんじゃないの?」
「あーそんなのいらない。薫風がいるからね~」
「いやいや、僕浮き輪じゃないし。」
なんなんだよこいつ・・・てか遠くから克典の友達が生暖かい目で見てくるんだけど。いや、見てないで助けろよ。
暫く泳いで上がると全員揃って遅い昼食を取った。いわゆる海の家で頂きました。うん、貴族用にもちゃんとした食事を用意していました。まぁ別に気にしないんだけどね。不味い料理がでてこなければ、ね。
あ、ちなみに流依兄さんは紫音さんと麗華さんが助けに行った。・・・まぁ美人さん2人が行けば大抵の人は逃げるだろう。さすがゲーム上の悪役令嬢。あしらい方が上手いです。
『皆様、海で充分お楽しみいただけましたかー?ここでイベントのお知らせを致します!14時からビーチフラッグスを開催致します。豪華景品も揃えております!参加条件は15歳以上の方なら誰でもご参加できます!どうぞ挙ってご参加下さい!』
へぇビーチフラッグスか。砂の上にフラッグが刺さってて、それを競争して取り合うやつだっけ?・・・ああ、これってまさか・・・?
「薫風くん!参加してみようよ!思い出になるよ!」
「うーん・・・」
「私もやってみたいですわ。」
「紫音さんが参加するなら私も出ますわ。」
「流依兄様と薫風兄様、是非参加してくださいませ!あれ!あれが欲しいですわ!」
「ん?」
景品の中に大きなキャラクターのぬいぐるみがあった。・・・ああ、真菜はぬいぐるみ好きだもんな。
「じゃあ出るかい薫風。大事な妹のお願いだ。」
「そうだね兄さん。こんな可愛い妹のおねだりなら頑張ってみるよ。」
「あ、じゃあ僕も出るよ!楽しそうだし!」
「あ、俺達もでるー!」
「なんか面白そうだし!」
「私も出ますわ。」
真菜の友達意外、全員でるのか!うん、運動会みたいで楽しそうだな。あーでも・・・これイベントっぽいんだよなぁ~あんまり参加したくないんだけどなぁ・・・
おー結構集まったなぁ~。あ、勿論男女別々ですよ。水着姿だし、トラブルの原因にもなっちゃうからね。
順番はくじ引きになった。・・・あ、克典の友達と一緒になっちゃった・・・まぁ予選?は10人で一グループに分けられ、3本のフラッグを取り合う感じで一斉にやる。まぁ大丈夫だろう。
・・・僕の出番になったんだけど、何故か物凄く注目されてるんですが何故でしょう?あ、観戦?の所に皆がいる。もちろん真菜ちゃんは僕を大声で応援してくれてます。うん!僕、頑張るよ!
・・・うん、楽勝だった。意外と克典の友達も足が早く、喧嘩もせずフラッグに突っ込むように飛び込み旗を取りました。砂はサラサラで胸を打っても痛くありません。
同じく流依兄さんたちも予選通過して今度は5人に絞られフラッグは1本に減らされた。おいおい減らしすぎじゃね?
今度は克典と当たってしまった。あーあ・・・
「薫風、勝負しないか?」
「ん?」
「俺達以外、弱そうだし俺達のどちらかが取るだろう。だからさ、賭けをしないか?」
「・・・」
「旗を取った奴は一つだけ言うことを聞く・・・てのはどうだ?」
「・・・いや、僕は別に克典に聞いてもらいたい事ないし。」
「・・・じゃあ今晩、俺の相手してくれる?」
「は?な、何の・・・いやいやいや!嫌に決まってる。」
「じゃあ賭けをしよう?」
「・・・はぁ~・・・」
なんでこーなるんだよ・・・
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