神楽坂学院高等部祓通科

切粉立方体

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Ⅰ 第一学年

52 邪類討伐初級認定資格試験の手伝い2

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一次試験が再会された、今回僕の事務所からはこの試験に十人が参加している。
迷子、舞、明美、香、紅葉、弥生、水江さん、風華さん、進之介さん、それにハルだ。


水江さん、風華さんは能力値が元々高いし、舞、明美、香、弥生の巫女達は要領の良さを、紅葉は堅実に積み上げて来た技量を発揮しており、皆安心して見ていられた。
進之介さんは周囲との実力が一段違う感じで、全受験者中二番目に早い成績だった。
一番早かったのはハル、コンマ何秒の世界だった。

迷子はちょっと心配した、審判は最初から少し腰が退けているし、終了後の確認で炬燵の中を恐々確認したところ、炬燵の中に竜の落とし子が入った小さな水槽がちょこんと置いてあったのだ。
炬燵こたつ子竜こたつ→竜の落とし子?
おっさん連中から祓いが完全に終了していないとの鬼の首を取った様な勢いでクレームが入って、審判団が集まっての協議になってしまった。
でも目的は達していると無事認められ、迷子も含めて全員が無事一次試験通過となった。

昼休み、物凄く心配だったので、念のため、手伝いの合間を縫って迷子の様子を見に行った。
僕の事務所のメンバー全員が応援に駆け付けており、観客席の一隅を占領して飯を食っている筈だ。
その中に混じって迷子が水筒片手にご機嫌だった。

「雷君~」

跳び付いて来て、僕の胸で頭をぐりぐりしている、うっ、酒臭い、水筒の中身は酒だった。

「誰だー!、酒飲ませたの」

舞か明美か香か花園か梢か?お前ら僕の目を何故見ない。

残念ながら問い詰めてる暇は無い、二次試験の結界設営の手伝いを頼まれているので忙しいのだ。
係員が手分けして小鬼を放つ結界を人力で張るのだが、初級所持者は一か所、中級所持者は二か所以上分担し二時間毎に交代する。
この作業が有るので、協会から大手事務所に協力が求められるのだ。
おっさん連中も中級所持者なので二か所分担している、さすがにその程度の実力は有るようだ。
僕は余裕で維持可能だったので、四か所担当した。

何故か僕の事務所のメンバーに割り振られる小鬼が一回り大きい、クレームを付けてみたが、許容範囲として却下された。
おっさん連中は懲りない様で、結託してしぶとく嫌がらせを繰り返してくる。
最も僕の事務所メンバーはそんな事は歯牙にも掛けなかった、次々と記録上位者に名を連ねて行く。
トップはハル、二位が進之介なのは炬燵鬼の時と同様だ。
迷子が三番目の記録で気を吐いた、”あはははは”と笑って空中に巨大なピコピコハンマーを出現させ、一瞬で小鬼を消滅させたのだ。
周囲は驚愕していたが、何故か僕は凄く見慣れているような気がしてならなかった。
記憶の底から迷子の笑い声と共に僕に迫って来るピコピコハンマーの光景が鮮明に浮かび上がって来るのだ。

ーーーーー
大正解でした。

「酒飲ませよう」
『賛成』

気が弱い迷子ちゃんを心配して舞君が言い出しました、そして私達も賛同しました。
酒屋さん捜して買い出しに走り、迷子ちゃんの水筒に日本酒を入れておきました。
一口目は頭の上に?を浮かべてましたが、直ぐにグビグビと飲み始めました。
無事全員が二次試験通過です。
でもあのピコピコハンマーはあんなに攻撃力が高いとは知りませんでした。

「さあ、祝杯だー」
「おー、飲むぞー」

明美さんと香さんが拳を振り上げて叫んでいます。

「まだ明日も試験だろうが、駄目に決まってるだろ」
「ぶー」
「ぶー」

雷君が目を三角にして怒ってます、進之介さんと弥生さん、水江さんと風華さんも頷いています。

「あっ、こら。迷子止めろ」

迷子さんがピコピコハンマーで雷君を追掛け回してます。
ピコピコハンマーは、最近酔うと出現する様になって、”浮気者”とか”ロリ”とか言って笑いながら雷君を叩いてるんです。

「迷子君、駄々を捏ねないで、ギャッ」

うわ、迷子さんを止めようとした進之介さんが一撃で伸されてます、やはり、何発喰らっても逃げ回ってる雷君が無茶苦茶タフなだけなんですね、先週中華街の有名店で駆除を頼まれた鬼ゴキブリさんみたいです。

「解った、迷子。ほんのちょっとだけだぞ」
「わーい、迷子偉い」
「何食べたい、場所直ぐに捜すからさ」

迷子さんが説得に成功した様です、これで今晩の事務所泊は決定でしょう。
うん、大丈夫、事務所のロッカーの中の着替えと下着のストックはまだ残ってる。

「はーい、香さん。お腹が空いてるから中華が良い、瓶出し紹興酒の美味しいお店が良い」
「そーか、じゃっ、一万円のディナーコースな。会社の経費で」

神楽坂って色々なお店が一杯あるから便利です。

ーーーーー

”リリリリリリ”

「はい」
「貴様何処にいる」

”ぷち”

さあ、今日も良い天気だ、ええと、灯さんと雷子は何処転がってるんだろうか。
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