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Ⅰ 武術大会
7 化粧・・・うわ、美少女が映っている
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ペペロ・・・魔術師の卵、十三歳、男だが少女に見える。
トートス・・・ペペロの師匠、二百三歳の高齢なので惚けが入っている。
キリカ・・・武術大会に参加している女性武術家、美人。
モモ・・・武術大会に参加している女性武術家、男に見える。
ミミ・・・一回戦を通過した女武芸者
ゾゾ・・・一回戦でペペロに敗れたスキンヘッドの武芸者
マッフル・・・第十三闘技場の責任者
1メノト=100セチ=1メートル=100センチ
1日=24鐘
1鐘=60琴
1琴=60鈴
ーーーーー
キリカさんの後に付いてキリカさんの部屋へ行く、キリカさんの部屋は広場側に面していた。
主戦闘技場側の僕の部屋と違って解放感がある。
朝と違って広場には露店が一杯並んで、その露店の間の通路を物凄い数の人が歩いている。
「ペペ、外は人で一杯だろ。ここの闘技場だけでも五層の観客席があるから十万人以上は入れるんだぞ。まだ初日だから少し少ないけどな。それでも会場全体で四十万人は集まってるかな。そこに座りな」
大きな鏡の前に座らされた。そう言えば僕に部屋にも大きな鏡が有った。キリカさんが鏡の下の引出しを開ける。そこには化粧道具が一杯入っていた。
「これな、運営が用意してくれているんだ。ペペの部屋にも有るぞ。単試合の賭金の五分があたい達選手に報酬として配分されるの知ってんだろ」
「はい、部屋の規約書に書いてありました」
「それ以外にもな、私設でやってる連中が仁義切ってあたい達に二割支払ってくれるんだ。まあ、乳が見えるとかまっぱにされるとか碌でもない賭けなんだがな。それでも初戦や二回戦止まりの連中には貴重な収入源なんだよ。まっ、モモみたいに勝ち進める実力派は別だけどな。今日のあたいの収入が金貨三十枚くらいかな、勝ったからさ。これで一年は修行に打ち込めるし、少し贅沢が出来るんだ。だからな、皆少しでも人気者になって試合の賭金が多くなる様に工夫するんだ。男と違って女は外見だろ、だから武術家の誇りを売り払ってみんな一生懸命化粧の勉強をするんだよ。これでもあたいだって結構人気が有るんだぞ。はい、出来上がり」
職人の一月の手間賃が金貨二枚、僕の溝浚いの仕事は一日銀貨二枚、銀貨百枚で金貨一枚だから、キリカさんは今日一日で僕の日給の四年分を稼いだ事になる。
うん、なんか凄い。
五分でこれだ、全体の額は確かにちんこちょん切るくらい全然平気だろう。
鏡を見る、うわ、美少女が映っている。
ぼさぼさだった髪を整えて、太かった眉毛を細くしたり、まつ毛を整えて目の周りを少し化粧しただけなのに別人になっている。
そーか、実家の姉ちゃん達もこうやって化けてたのか。
「おー、素材が良いから簡単に終わるな、羨ましいよ。あたいだとこの倍以上時間が掛るぞ」
「ありがとうございます。でも凄いですね、なんか別人ですよ、僕」
「あたいからすると単なる宝の持ち腐れだったと思うよ。ペペ、本気でちんこ切るか」
「絶対に嫌です」
「そーか、勿体ないな。じゃ、お披露目ついでに筋肉解しておくか。ペペは筋肉突っ張てるだろ」
「えっ、解るんですか」
「当たり前だろ、これでも武術家の端くれだぞ。歩くのを見れば解るよ。道着に着替えて練武場へ行くぞ」
「はい」
部屋に戻って道着に着替える。
黒い道着が用意されているのだが、試合着と同じ形で、上衣もズボンも脇にスリットが切ってある。
乳首が見えて男だとばれるのが不味いので、胸帯を巻いておく。
キリカさんと練武場に向かう。
キリカさんは慣れた様子で廊下の内側にある扉を開けて螺旋階段を降りて行く。
僕は足が突っ張って危なかったが手摺りに掴まってなんとか後に付いて行く。
普通の建物の四階分以上は降りたと思う。
降り着いた先の小さなフロアに係員が二人控えたカウンターがあり、奥に棚に木刀などの武器を模した木の道具が並べられていた。
「ペペ、ここで得物を貸して貰うんだ。適当なのを選べ」
キリカさんは曲刀を模した木刀を手に取って重さを計っている。
「へー、ペペは徒手か。身体の解し方は知ってるよな」
「はい、先生に教わった体操ならできます」
机の上に置かれた貸し出し帳に記入して分厚い扉を開けて保管庫を出る。
扉を開けた途端、大歓声と大きな窓の向こう側で鈴なりになっている人々が目に入った。
円形の広い木の床のフロアには、僕ら以外は誰も居なかった。
「なんか見せ物みたいですね」
「いや、みたいじゃなくてこれは見せ物、客見せなんだよ。ここは五階の観客席の前に在って階段で繋がってるんだ。あたい達は賭けの対象だろ、だから客は稽古の様子を見て贔屓の選手決めるんだよ。あたいは自分を武術のプロだと思ってる。客から見える場所に毎日顔を出して愛想を振り蒔くのもあたい達の運営に対する義理みたいなもんだし、プロとしての義務なんだと思ってるんだよ。化粧もその一つさ」
キリカさんはにこにこ笑って窓に向かって手を振っている。
僕も怖々手を振って見る、大歓声が巻き起こった、ひー怖い。
トートス・・・ペペロの師匠、二百三歳の高齢なので惚けが入っている。
キリカ・・・武術大会に参加している女性武術家、美人。
モモ・・・武術大会に参加している女性武術家、男に見える。
ミミ・・・一回戦を通過した女武芸者
ゾゾ・・・一回戦でペペロに敗れたスキンヘッドの武芸者
マッフル・・・第十三闘技場の責任者
1メノト=100セチ=1メートル=100センチ
1日=24鐘
1鐘=60琴
1琴=60鈴
ーーーーー
キリカさんの後に付いてキリカさんの部屋へ行く、キリカさんの部屋は広場側に面していた。
主戦闘技場側の僕の部屋と違って解放感がある。
朝と違って広場には露店が一杯並んで、その露店の間の通路を物凄い数の人が歩いている。
「ペペ、外は人で一杯だろ。ここの闘技場だけでも五層の観客席があるから十万人以上は入れるんだぞ。まだ初日だから少し少ないけどな。それでも会場全体で四十万人は集まってるかな。そこに座りな」
大きな鏡の前に座らされた。そう言えば僕に部屋にも大きな鏡が有った。キリカさんが鏡の下の引出しを開ける。そこには化粧道具が一杯入っていた。
「これな、運営が用意してくれているんだ。ペペの部屋にも有るぞ。単試合の賭金の五分があたい達選手に報酬として配分されるの知ってんだろ」
「はい、部屋の規約書に書いてありました」
「それ以外にもな、私設でやってる連中が仁義切ってあたい達に二割支払ってくれるんだ。まあ、乳が見えるとかまっぱにされるとか碌でもない賭けなんだがな。それでも初戦や二回戦止まりの連中には貴重な収入源なんだよ。まっ、モモみたいに勝ち進める実力派は別だけどな。今日のあたいの収入が金貨三十枚くらいかな、勝ったからさ。これで一年は修行に打ち込めるし、少し贅沢が出来るんだ。だからな、皆少しでも人気者になって試合の賭金が多くなる様に工夫するんだ。男と違って女は外見だろ、だから武術家の誇りを売り払ってみんな一生懸命化粧の勉強をするんだよ。これでもあたいだって結構人気が有るんだぞ。はい、出来上がり」
職人の一月の手間賃が金貨二枚、僕の溝浚いの仕事は一日銀貨二枚、銀貨百枚で金貨一枚だから、キリカさんは今日一日で僕の日給の四年分を稼いだ事になる。
うん、なんか凄い。
五分でこれだ、全体の額は確かにちんこちょん切るくらい全然平気だろう。
鏡を見る、うわ、美少女が映っている。
ぼさぼさだった髪を整えて、太かった眉毛を細くしたり、まつ毛を整えて目の周りを少し化粧しただけなのに別人になっている。
そーか、実家の姉ちゃん達もこうやって化けてたのか。
「おー、素材が良いから簡単に終わるな、羨ましいよ。あたいだとこの倍以上時間が掛るぞ」
「ありがとうございます。でも凄いですね、なんか別人ですよ、僕」
「あたいからすると単なる宝の持ち腐れだったと思うよ。ペペ、本気でちんこ切るか」
「絶対に嫌です」
「そーか、勿体ないな。じゃ、お披露目ついでに筋肉解しておくか。ペペは筋肉突っ張てるだろ」
「えっ、解るんですか」
「当たり前だろ、これでも武術家の端くれだぞ。歩くのを見れば解るよ。道着に着替えて練武場へ行くぞ」
「はい」
部屋に戻って道着に着替える。
黒い道着が用意されているのだが、試合着と同じ形で、上衣もズボンも脇にスリットが切ってある。
乳首が見えて男だとばれるのが不味いので、胸帯を巻いておく。
キリカさんと練武場に向かう。
キリカさんは慣れた様子で廊下の内側にある扉を開けて螺旋階段を降りて行く。
僕は足が突っ張って危なかったが手摺りに掴まってなんとか後に付いて行く。
普通の建物の四階分以上は降りたと思う。
降り着いた先の小さなフロアに係員が二人控えたカウンターがあり、奥に棚に木刀などの武器を模した木の道具が並べられていた。
「ペペ、ここで得物を貸して貰うんだ。適当なのを選べ」
キリカさんは曲刀を模した木刀を手に取って重さを計っている。
「へー、ペペは徒手か。身体の解し方は知ってるよな」
「はい、先生に教わった体操ならできます」
机の上に置かれた貸し出し帳に記入して分厚い扉を開けて保管庫を出る。
扉を開けた途端、大歓声と大きな窓の向こう側で鈴なりになっている人々が目に入った。
円形の広い木の床のフロアには、僕ら以外は誰も居なかった。
「なんか見せ物みたいですね」
「いや、みたいじゃなくてこれは見せ物、客見せなんだよ。ここは五階の観客席の前に在って階段で繋がってるんだ。あたい達は賭けの対象だろ、だから客は稽古の様子を見て贔屓の選手決めるんだよ。あたいは自分を武術のプロだと思ってる。客から見える場所に毎日顔を出して愛想を振り蒔くのもあたい達の運営に対する義理みたいなもんだし、プロとしての義務なんだと思ってるんだよ。化粧もその一つさ」
キリカさんはにこにこ笑って窓に向かって手を振っている。
僕も怖々手を振って見る、大歓声が巻き起こった、ひー怖い。
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