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プロローグ
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俺は、森本英雄(もりもとひでお)。どこにでもいる平凡な高校生だ。
ゲーム、漫画、アニメ、ライトノベルが大好きないわゆるオタク。
友達は少なくて、学校ではほとんどの人から「森本くん」と呼ばれる空気に近いポジション。
学校は部活動への加入が任意なので、迷わず帰宅部に入部。
放課後は早速部活動に勤しむ。
特にバイトとかをするわけでもなく、家ではゲームや漫画を読んで終わりだ。
夜更かしなんかもせずに日付が変わる前には就寝。
平凡な毎日だったけど、俺はこんな人生が嫌いじゃなかった。
母さんや父さんは優しいし、生活には別に不自由していない。
一応妹はいて俺の事を敬遠してはいるけど、何だかんだで家族とは思ってくれているみたいだ。
親孝行をするなら本当は暇な時間にバイトでもして金を家に入れたりとかするべきなんだろうけど、一応校則で禁止されているので、ゆるい学校ではあるけど万が一のことを考えてしない方がいいと親に止められてしまった。
だから将来大学まで卒業したらサラリーマンとしてどこかそこそこ安定した企業に就職して、親を安心させればそれが一番いい親孝行になるかなって、そうやって残りの人生を平凡に過ごせればいいかなって……思ってたんだ。
なのに、まさかあんなことになるなんて。
その日も放課後になるとすぐに帰路に就いた。
いつもと変わらない通学路。
小中高と家から近い学校に通っているから、気づけば俺はもう何年もこの道を歩き続けている。
高校二年生になって間もない葉桜の季節。
まだ薄着になるには心もとない温かさの陽射しを浴びながら、特に何を考えるでもなく、そこそこ周囲に気を配りながら通い慣れた道を歩いていた。
はずだった。
いつの間にか真横まで迫っていたクラクションの音が、けたたましく耳元で鳴り響く。
振り向くと、こちらに向かって走る巨大なトラックの姿。
「うおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!」
全力で前に飛び込む。
どうやら間一髪、俺は一命をとりとめたらしい。
「あっぶね~!危うく転生するとこだったぜ!」
うるさく跳ねまわる心臓の音を誤魔化すように、俺は誰にともなくそう言った。ふと歩行者用信号を確認すると見事に青。ただの暴走トラックかよ、と心の中で呟く。
ズボンに付いた土を払い、再び歩き出す。
すると今度は、別の巨大なトラックがドリフト走行で強引に俺のいるところまで突っ込んできた。
「うわあああああああああっ!!!!!!!!!」
全力で前に飛び込む。
またも間一髪、俺は一命をとりとめたらしい。
(……ちっ)
え、何!?今何か聞こえなかった!?
そう思い周囲を見回すも、突然のトラックの暴挙に驚いてこちらを見る人たちしかいない。トラックはコンビニの駐車場を通りぬけてうまいこと車道に戻ると、何事もなかったかのように去っていった。
何か怖いな……疲れてるのかもしれないし、帰ったら少し仮眠をとろう。
「ただいま~」
俺は玄関から帰宅の挨拶をすると、リビングに顔も出さず二階に上がる。
リビングから、俺を追いかけるような母さんの声が聞こえてきた。
「ヒデオ~!ファンタスティックあるわよ~!」
「うん~」
母さんはなぜか俺が特に好きというわけでもないのに、いつもファンタスティックを買ってリビングに置いておく。
ファンタスティックというのは、大手製パン会社の国民的人気商品だ。
軽い口あたりで、ついついもう一つ、もう一つと食べてしまい、気づけば全てなくなっているパターンのあれ。誰でも一度は経験があるはずだ。
しかし今はそんなことはどうでもいい。
俺は部屋に入るなりカバンを放り投げてベッドに埋もれ、そのまま眠ってしまった。
「おめでとうございま~す!初めましてっ!森本英雄さん!」
「…………嘘だろ」
さっき寝たのは俺の部屋のはずなのに。
気づけば今俺がいるここは間違っても自分の部屋じゃない。
神殿のような場所。金髪のロングヘアーで碧眼の美少女。
ライトノベルも良く読む俺は、何が起こってるのかすぐに理解できてしまった。
「これから貴方は、転生によって誕生し過ぎたチート系主人公を全て倒す、無敵の魔王になっていただきます!私は案内役の女神ソフィア!これからどうぞよろしくお願いしますね!」
どうやら俺は、これから異世界に転生させられるらしい。
ゲーム、漫画、アニメ、ライトノベルが大好きないわゆるオタク。
友達は少なくて、学校ではほとんどの人から「森本くん」と呼ばれる空気に近いポジション。
学校は部活動への加入が任意なので、迷わず帰宅部に入部。
放課後は早速部活動に勤しむ。
特にバイトとかをするわけでもなく、家ではゲームや漫画を読んで終わりだ。
夜更かしなんかもせずに日付が変わる前には就寝。
平凡な毎日だったけど、俺はこんな人生が嫌いじゃなかった。
母さんや父さんは優しいし、生活には別に不自由していない。
一応妹はいて俺の事を敬遠してはいるけど、何だかんだで家族とは思ってくれているみたいだ。
親孝行をするなら本当は暇な時間にバイトでもして金を家に入れたりとかするべきなんだろうけど、一応校則で禁止されているので、ゆるい学校ではあるけど万が一のことを考えてしない方がいいと親に止められてしまった。
だから将来大学まで卒業したらサラリーマンとしてどこかそこそこ安定した企業に就職して、親を安心させればそれが一番いい親孝行になるかなって、そうやって残りの人生を平凡に過ごせればいいかなって……思ってたんだ。
なのに、まさかあんなことになるなんて。
その日も放課後になるとすぐに帰路に就いた。
いつもと変わらない通学路。
小中高と家から近い学校に通っているから、気づけば俺はもう何年もこの道を歩き続けている。
高校二年生になって間もない葉桜の季節。
まだ薄着になるには心もとない温かさの陽射しを浴びながら、特に何を考えるでもなく、そこそこ周囲に気を配りながら通い慣れた道を歩いていた。
はずだった。
いつの間にか真横まで迫っていたクラクションの音が、けたたましく耳元で鳴り響く。
振り向くと、こちらに向かって走る巨大なトラックの姿。
「うおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!」
全力で前に飛び込む。
どうやら間一髪、俺は一命をとりとめたらしい。
「あっぶね~!危うく転生するとこだったぜ!」
うるさく跳ねまわる心臓の音を誤魔化すように、俺は誰にともなくそう言った。ふと歩行者用信号を確認すると見事に青。ただの暴走トラックかよ、と心の中で呟く。
ズボンに付いた土を払い、再び歩き出す。
すると今度は、別の巨大なトラックがドリフト走行で強引に俺のいるところまで突っ込んできた。
「うわあああああああああっ!!!!!!!!!」
全力で前に飛び込む。
またも間一髪、俺は一命をとりとめたらしい。
(……ちっ)
え、何!?今何か聞こえなかった!?
そう思い周囲を見回すも、突然のトラックの暴挙に驚いてこちらを見る人たちしかいない。トラックはコンビニの駐車場を通りぬけてうまいこと車道に戻ると、何事もなかったかのように去っていった。
何か怖いな……疲れてるのかもしれないし、帰ったら少し仮眠をとろう。
「ただいま~」
俺は玄関から帰宅の挨拶をすると、リビングに顔も出さず二階に上がる。
リビングから、俺を追いかけるような母さんの声が聞こえてきた。
「ヒデオ~!ファンタスティックあるわよ~!」
「うん~」
母さんはなぜか俺が特に好きというわけでもないのに、いつもファンタスティックを買ってリビングに置いておく。
ファンタスティックというのは、大手製パン会社の国民的人気商品だ。
軽い口あたりで、ついついもう一つ、もう一つと食べてしまい、気づけば全てなくなっているパターンのあれ。誰でも一度は経験があるはずだ。
しかし今はそんなことはどうでもいい。
俺は部屋に入るなりカバンを放り投げてベッドに埋もれ、そのまま眠ってしまった。
「おめでとうございま~す!初めましてっ!森本英雄さん!」
「…………嘘だろ」
さっき寝たのは俺の部屋のはずなのに。
気づけば今俺がいるここは間違っても自分の部屋じゃない。
神殿のような場所。金髪のロングヘアーで碧眼の美少女。
ライトノベルも良く読む俺は、何が起こってるのかすぐに理解できてしまった。
「これから貴方は、転生によって誕生し過ぎたチート系主人公を全て倒す、無敵の魔王になっていただきます!私は案内役の女神ソフィア!これからどうぞよろしくお願いしますね!」
どうやら俺は、これから異世界に転生させられるらしい。
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