131 / 150
槇島城の戦い~高屋城の戦い
ご武運を、お祈りしています
しおりを挟む
「……プニ長様?」
しかし、そんな全てが遠ざかるような感覚も、こちらを不思議そうに覗き込む帰蝶の声で取り払われていく。
現実に引き戻された意識を彼女の方へと向けた。
「キュンキュン(何でございましょ)」
「……」
「何やらぼうっとしておられるご様子。おねむの時間ですかな?」
六助も色々と説明してくれていたのを中断して、何やらぬふふ、と気持ち悪い笑みを浮かべながらこちらを見ている。どうやら二人が心配になるくらいぼけっとしてしまっていたみたいだ。
「キュン(そんなとこ)」
「それは大変ですね。直ちに寝床をご用意致します」
適当に返事をすると、帰蝶が微笑みながら冗談っぽく言った。
「それでは、私はこれにて。仔細などは別の日にすると致しましょう」
寝床の準備が着々と進む中、頃合いを見計らった六助が、一礼をしてからそう告げて去って行く。
用意してもらった寝床に伏せ、布団をかけてもらいながらぼんやりと考える。
いや、これから本能寺に行くからって本能寺の変が起きるとは限らない……と考えるのは楽観的すぎるだろうか。くそ、こんなことならもうちょっと日本史の勉強をやっておけば良かったな。
でも、もし本当に明智が俺に対して謀反を起こすつもりなら、ここにいるわけにはいかない。大切な人たちを巻き込んでしまう。それは前に心に決めたことだ。だから、下手な抵抗はせずに六助の指示には従おう。
本能寺に行って、それからどうするか考えようか。どうにか変を回避出来る手段があるかもしれない……。いや、あっちについてすぐに起きるのだとしたらどうにもならないか……。
自分がどうするべきなのか、その答えが出る気配もないまま、意識はふんわりとした闇の中へとゆっくり溶けて行った。
備中高松城への出兵には、帰蝶はついてこないことになった。毛利との最終決戦で大きな合戦になる可能性が高いから、ということらしい。俺としてもそちらの方が好都合だ。
そして身支度などを済ませ、いよいよ出兵となった日の前夜のことだ。
灯籠に柔らかく照らされた部屋で、雨が壁を叩く音の中に、布と畳の擦れる音が紛れている。
安土城の自室内。布団を敷いてくれたりなど、俺の就寝準備を済ませてくれた帰蝶が、向かい合うように座ってから口を開いた。
「それではプニ長様、本日はこれにて失礼致します。お休みなさいませ」
「クゥン(帰蝶たん)」
今日で今生のお別れかもしれないと思うと感傷的になり、つい弱々しい声を出してしまった。帰蝶がそこに反応する。
「如何致しましたか?」
「キュキュン、キュン(俺がいなくなっても、幸せにな)」
「どこか、お身体が悪いのですか?」
帰蝶は俺を抱き上げて、身体のあちこちを観察する。あらぬところまでじっくり見られてしまってちょっと恥ずかしい。
身体に異常はないとわかると、元の位置にすとんと降ろされた。
「キュキュン(ええっと)」
言葉が通じないことを、今ほど不便だと思ったことはない。でも、言葉が通じないことを、今ほど良かったと思ったこともなかった。
帰蝶にじっと見つめられながら、俺はまとまらない気持ちを必死にまとめて、どうにか言葉を紡いだ。
「キュン。キュキュンキュン、キュウン(好きです。君が俺なんかのお嫁さんでいてくれて、本当に良かった)」
「……」
すると帰蝶は無言で俺をそっと抱き上げ、ぎゅっとしてくれた。
腕に込められた力は強く、けど苦しくならない程度には加減されていて、俺は静かに瞼を閉じる。俺たちは、お互いの心から溢れ出る色んなものを噛みしめるかのように、しばらくそのままでいた。
気が付けば雨の勢いは、止んでいるかのごとく弱まっている。しとしとと屋根を撫でるその音は、心地よいとすら感じた。
想いが伝わったのか伝わっていないのか、そんなことはもうどうでもいい。心の底からそう思える。
やがて帰蝶は俺を元の位置に戻して、穏やかな声音で言った。
「お休みなさい」
「キュン(お休み)」
ゆっくりと去っていく彼女を見送ってから布団に入る。消灯のされた室内は、月光がなくとも薄闇で、帰蝶の去っていった襖がはっきりと見えた。
翌日。明智らとは違う独自のルートで中国方面へと向かう為、俺たちの出発はいつもよりひっそりとしたものとなった。
安土城前に集った俺と六助のお供は、馬廻衆を始めとした百騎余りで、この場にはそのうち何名かしかいない。お見送りは俺の家族と、それに仕える侍女たちのうち数名だ。
「ご武運をお祈りしています」
帰蝶がいつもの挨拶をしてくれる。
「なるべく早めに帰って来なさいよ。子供たちの相手、してもらうんだから」
「ごぶうんを、おいのりしています」
「おいのりしています!」
「……」
お市に茶々、初に江も普段と変わらない様子だ。
「ガルル」
「キュキュンキュン(皆を頼んだぞ)」
「ガルル」
こいつなら、いざという時も家族たちを守ってくれそうだ。
信ガルは最初こそ護衛役みたいな感じで俺の周りにいることが多かったものの、茶々と仲良くなってからは彼女と一緒にいることの方が多くなった。今回も、茶々の護衛として安土城でお留守番だ。俺としてもそうしてくれた方がいい。
「ワウ」
「……」
「ワフッ」
モフ政は正直、最後までよくわからんやつだったな。今も何か話しかけてくれてるみたいだけど……って、珍しいなおい。ぼーっとしてたり、無言で俺についてきたりとかばっかりだったのに。
でも、やっぱり内容は理解出来ない。どこか寂しそうな、悲しそうな顔をしているような気もするので、俺との別れを惜しんでくれているのだろうか。こいつは何も知らないはずなんだけど。
「キュ、キュキュン(お前も、皆を頼んだぞ)」
「ワフッ」
まあ悪いやつではないからな。俺もこいつと離れるのはやっぱり寂しい。一応義理の兄弟ってことになってるし。
扱いがひどいかと思いきや、実は家族たちに普通に愛されているので、俺がいなくなってもよろしくやっていって欲しいと思う。
「プニ長様、ではそろそろ」
「キュン(おう)」
六助に出発を促されて、踵を返す。駕籠に向かって歩き出した瞬間、背後から俺を呼び止める声があった。
「プニ長様!」
帰蝶だ。振り返ると、家族たちが驚いた様子で彼女に視線をやっている。旅立つ武士を引き留めるというのは、戦国大名の妻である女性の行動として、ましてや帰蝶のそれとしてはとても珍しいものだからだ。
「あの……」
帰蝶は俯き気味で、右手で着物の胸元辺りを掴んでいる。いつも強く美しい彼女には珍しい仕草だった。
しかし、それも束の間。顔を上げた帰蝶は凛とした表情をしていて、その瞳には何かの意志が宿っているようにも見える。
「ご武運を」
「キュン(ありがとう)」
「さっきも言ったじゃん、それ。どうしたの? 義姉上」
「おばうえ?」
俺たちのやり取りを不思議に思ったお市が困惑している。茶々を始め三姉妹は皆きょとんとした様子で首を傾げていた。
客観的に見ればそうなるのも無理はないと思う。でも、俺には帰蝶のあの一言だけで充分だった。
再び踵を返して前を向き、歩き出す。雲一つない晴天の空を眺めながら、しっかりとした足取りで駕籠に乗り込んで行った。
しかし、そんな全てが遠ざかるような感覚も、こちらを不思議そうに覗き込む帰蝶の声で取り払われていく。
現実に引き戻された意識を彼女の方へと向けた。
「キュンキュン(何でございましょ)」
「……」
「何やらぼうっとしておられるご様子。おねむの時間ですかな?」
六助も色々と説明してくれていたのを中断して、何やらぬふふ、と気持ち悪い笑みを浮かべながらこちらを見ている。どうやら二人が心配になるくらいぼけっとしてしまっていたみたいだ。
「キュン(そんなとこ)」
「それは大変ですね。直ちに寝床をご用意致します」
適当に返事をすると、帰蝶が微笑みながら冗談っぽく言った。
「それでは、私はこれにて。仔細などは別の日にすると致しましょう」
寝床の準備が着々と進む中、頃合いを見計らった六助が、一礼をしてからそう告げて去って行く。
用意してもらった寝床に伏せ、布団をかけてもらいながらぼんやりと考える。
いや、これから本能寺に行くからって本能寺の変が起きるとは限らない……と考えるのは楽観的すぎるだろうか。くそ、こんなことならもうちょっと日本史の勉強をやっておけば良かったな。
でも、もし本当に明智が俺に対して謀反を起こすつもりなら、ここにいるわけにはいかない。大切な人たちを巻き込んでしまう。それは前に心に決めたことだ。だから、下手な抵抗はせずに六助の指示には従おう。
本能寺に行って、それからどうするか考えようか。どうにか変を回避出来る手段があるかもしれない……。いや、あっちについてすぐに起きるのだとしたらどうにもならないか……。
自分がどうするべきなのか、その答えが出る気配もないまま、意識はふんわりとした闇の中へとゆっくり溶けて行った。
備中高松城への出兵には、帰蝶はついてこないことになった。毛利との最終決戦で大きな合戦になる可能性が高いから、ということらしい。俺としてもそちらの方が好都合だ。
そして身支度などを済ませ、いよいよ出兵となった日の前夜のことだ。
灯籠に柔らかく照らされた部屋で、雨が壁を叩く音の中に、布と畳の擦れる音が紛れている。
安土城の自室内。布団を敷いてくれたりなど、俺の就寝準備を済ませてくれた帰蝶が、向かい合うように座ってから口を開いた。
「それではプニ長様、本日はこれにて失礼致します。お休みなさいませ」
「クゥン(帰蝶たん)」
今日で今生のお別れかもしれないと思うと感傷的になり、つい弱々しい声を出してしまった。帰蝶がそこに反応する。
「如何致しましたか?」
「キュキュン、キュン(俺がいなくなっても、幸せにな)」
「どこか、お身体が悪いのですか?」
帰蝶は俺を抱き上げて、身体のあちこちを観察する。あらぬところまでじっくり見られてしまってちょっと恥ずかしい。
身体に異常はないとわかると、元の位置にすとんと降ろされた。
「キュキュン(ええっと)」
言葉が通じないことを、今ほど不便だと思ったことはない。でも、言葉が通じないことを、今ほど良かったと思ったこともなかった。
帰蝶にじっと見つめられながら、俺はまとまらない気持ちを必死にまとめて、どうにか言葉を紡いだ。
「キュン。キュキュンキュン、キュウン(好きです。君が俺なんかのお嫁さんでいてくれて、本当に良かった)」
「……」
すると帰蝶は無言で俺をそっと抱き上げ、ぎゅっとしてくれた。
腕に込められた力は強く、けど苦しくならない程度には加減されていて、俺は静かに瞼を閉じる。俺たちは、お互いの心から溢れ出る色んなものを噛みしめるかのように、しばらくそのままでいた。
気が付けば雨の勢いは、止んでいるかのごとく弱まっている。しとしとと屋根を撫でるその音は、心地よいとすら感じた。
想いが伝わったのか伝わっていないのか、そんなことはもうどうでもいい。心の底からそう思える。
やがて帰蝶は俺を元の位置に戻して、穏やかな声音で言った。
「お休みなさい」
「キュン(お休み)」
ゆっくりと去っていく彼女を見送ってから布団に入る。消灯のされた室内は、月光がなくとも薄闇で、帰蝶の去っていった襖がはっきりと見えた。
翌日。明智らとは違う独自のルートで中国方面へと向かう為、俺たちの出発はいつもよりひっそりとしたものとなった。
安土城前に集った俺と六助のお供は、馬廻衆を始めとした百騎余りで、この場にはそのうち何名かしかいない。お見送りは俺の家族と、それに仕える侍女たちのうち数名だ。
「ご武運をお祈りしています」
帰蝶がいつもの挨拶をしてくれる。
「なるべく早めに帰って来なさいよ。子供たちの相手、してもらうんだから」
「ごぶうんを、おいのりしています」
「おいのりしています!」
「……」
お市に茶々、初に江も普段と変わらない様子だ。
「ガルル」
「キュキュンキュン(皆を頼んだぞ)」
「ガルル」
こいつなら、いざという時も家族たちを守ってくれそうだ。
信ガルは最初こそ護衛役みたいな感じで俺の周りにいることが多かったものの、茶々と仲良くなってからは彼女と一緒にいることの方が多くなった。今回も、茶々の護衛として安土城でお留守番だ。俺としてもそうしてくれた方がいい。
「ワウ」
「……」
「ワフッ」
モフ政は正直、最後までよくわからんやつだったな。今も何か話しかけてくれてるみたいだけど……って、珍しいなおい。ぼーっとしてたり、無言で俺についてきたりとかばっかりだったのに。
でも、やっぱり内容は理解出来ない。どこか寂しそうな、悲しそうな顔をしているような気もするので、俺との別れを惜しんでくれているのだろうか。こいつは何も知らないはずなんだけど。
「キュ、キュキュン(お前も、皆を頼んだぞ)」
「ワフッ」
まあ悪いやつではないからな。俺もこいつと離れるのはやっぱり寂しい。一応義理の兄弟ってことになってるし。
扱いがひどいかと思いきや、実は家族たちに普通に愛されているので、俺がいなくなってもよろしくやっていって欲しいと思う。
「プニ長様、ではそろそろ」
「キュン(おう)」
六助に出発を促されて、踵を返す。駕籠に向かって歩き出した瞬間、背後から俺を呼び止める声があった。
「プニ長様!」
帰蝶だ。振り返ると、家族たちが驚いた様子で彼女に視線をやっている。旅立つ武士を引き留めるというのは、戦国大名の妻である女性の行動として、ましてや帰蝶のそれとしてはとても珍しいものだからだ。
「あの……」
帰蝶は俯き気味で、右手で着物の胸元辺りを掴んでいる。いつも強く美しい彼女には珍しい仕草だった。
しかし、それも束の間。顔を上げた帰蝶は凛とした表情をしていて、その瞳には何かの意志が宿っているようにも見える。
「ご武運を」
「キュン(ありがとう)」
「さっきも言ったじゃん、それ。どうしたの? 義姉上」
「おばうえ?」
俺たちのやり取りを不思議に思ったお市が困惑している。茶々を始め三姉妹は皆きょとんとした様子で首を傾げていた。
客観的に見ればそうなるのも無理はないと思う。でも、俺には帰蝶のあの一言だけで充分だった。
再び踵を返して前を向き、歩き出す。雲一つない晴天の空を眺めながら、しっかりとした足取りで駕籠に乗り込んで行った。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる