63 / 150
野田福島~比叡山
素晴らしき
しおりを挟む
「その歯に衣着せぬ物言い。織田家の家臣団ですら言いにくいであろうことを、こうもはっきりと……素晴らしい」
「えっ、あの、家康様?」
突然に賞賛され、お市は戸惑いと恥じらいが入り混じった表情で問う。一方で、帰蝶と六助はぽかんと口を開けたまま固まっている。
けど、すぐにそんな雰囲気に気付いて、家康は我に返って苦笑を漏らした。
「これは申し訳ございません。お市殿のあまりにも毅然とした態度に、つい感心してしまいました」
「あぅ……」
お市は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「いやぁ、全くプニ長殿は素晴らしい妹君をお持ちですな。はっはっは」
「キュキュン(そりゃどうも)」
つられて帰蝶と六助も笑う。
その後、食事を終えた六助は家康を途中まで送りつつ家路につき、何とか義昭の件はバレずに済んだ。
「ふう」
家康が帰ってようやく緊張が解けたのか、お市がわかりやすくため息をつく。すると帰蝶が、それを優しい眼差しで見つめながら微笑んだ。
「家康様に褒めてもらえてよかったね」
「…………」
お市はわずかに頬を赤らめて口を噤んだまま、俯きがちになっている。家康が気になっていることを人前で認めるのが恥ずかしいのかもしれない。
返事がないことを気に留める様子もなく、帰蝶は膝の上にいる俺を撫でながら、ゆっくりと時間の経過を楽しんでいる。そんな空間はとても穏やかで優しくて、まるで時間の方が過ぎていくことを惜しんでいるようにすら思えた。
やがて、お市が眉を下げた表情で口を開く。
「ねえ、義姉上」
「何?」
「私、あまり女性らしくないって思われちゃったかな」
「どうして?」
帰蝶がわずかに首を傾げて問い掛ける。
「だって、歯に衣着せぬ……とか、毅然とした態度とか。あまり女性に対して向ける言葉じゃないし」
「そう? 別にそんなことないと思うよ」
「…………」
再び唇を引き結んだお市に対し、帰蝶は優しく包むように語り掛けていく。
「お市ちゃんは、女性らしくっていうより、女の子として良く思われたかったんだよね?」
「っ!」
お市の顔が一瞬で燃え上がった。
「それなら心配ないと思うよ。今日のことで、少なくとも良い印象は持ってもらえたはずだから」
「でも」
「私たちだって、潔かったり逞しかったり、強い殿方だけを魅力的に感じるわけじゃないでしょ?」
「うん」
「それと同じ。殿方だって、何も穏やかで物静かで、優しくて器量よしで……そんな女性ばかりを好きになるわけじゃない」
「そう、かな」
確かめる調子のお市のつぶやきに、帰蝶はしっかりとうなずいてから悪戯っぽく微笑んだ。
「うん。それに今日のあの様子だと、良く思ってもらえたどころか、うまくいけば側室に、なんてこともあり得るかもよ?」
「……!」
またまたお市の顔が真っ赤に染まる。そのまま帰蝶の方まで身体を寄せて、彼女の肩をぽかぽかと叩き出した。一緒にモフ政もこちらに歩いて来る。
「もう、からかわないでよ! 義姉上のばか! ばかばか!」
「ワウ」
「ごめんごめん。モフ政様も、失礼を致しました」
「ワウ」
「キュキュンキュン(てめえ帰蝶に何か文句あんのかコラ)」
「ワウ」
「キュキュンキュン(何て言ってるのかわかんねえぞコラ)」
やがて気が済んだお市が元の配置に戻ると、今度は恐る恐るといった様子で帰蝶に尋ねる。今日は表情が目まぐるしく変わるなこの子。
「あの、義姉上は……家康様のこと、どう思ってるの?」
「どうって?」
「男性としてどう思ってるのかってこと。さっきもいい雰囲気だったし」
それは俺的にも気になるところではある。
いくら夫とはいえ、俺は犬だ。ずっと一緒にいてくれたところで帰蝶を幸せにすることは出来ないし、だったら寂しいけど徳川家に嫁いでもらった方がいいのかなと思うことはままある。
ただ、そうなるにしても本人たちの気持ちが大事だ。これは政略結婚とかではないのだから。
穏やかな雰囲気はそのままに、帰蝶は少し考えてから応える。
「私はプニ長様の正室だから」
「でも、犬じゃん。徳川家に嫁いだところで誰も文句なんて言わないと思うけど」
そこで帰蝶は、俺を優しい目で見つめつつ撫でてくれながら答えた。
「確かにお犬様で人じゃない。でもね、この御方はただ尊いだけじゃなくて、私にとって特別な何かをお持ちのような、そんな気がするの」
「ふ~ん」
お市は納得したようなしていないような、そんな表情を浮かべている。
やばい俺めっちゃプレッシャーやん。そんな特別なものなんて持ってないんだけど……。前世だったら結構エロ本とか隠し持ってたけどね。好きなアニメの同人誌とか、って今はその話はいい。
「言葉じゃうまく説明出来ないけど。とにかく、この御方とずっと一緒にいたいっていう気持ちは本物だよ」
「キュキュンキュン(帰蝶たんまじペロペロ)」
まじペロペロという想いに嘘偽りは全くなかったものの、明らかにそういう感じの雰囲気ではなかったので反省した。
お市がこちらに寄って来て、帰蝶の隣に腰かけてから俺の顎に指を当てた。
「よかったわね、あんた。ただの犬なのにそこまで思ってもらえて」
「キュン(あざっす)」
「義姉上みたいな器量良しに好かれるなんて、あんた相当幸せ者なのよ。ちゃんとわかってる?」
「キュキュン(わかってまっす)」
「ふふ。お市ちゃんとプニ長様も、最近は仲良しさんだね」
そう言われて、お市はわかりやすくそっぽを向いた。
「まあ、多少尊いのは認めてやってもいいかな」
「キュンキュン(意外な反応だな)」
戦乱の世界に揉まれたからか、それともこっちに来て俺もいくらか歳を取ったからだろうか。いつからか、こういった何でもない日常の風景こそが愛しいと思うようになった。
柔らかく笑う帰蝶に、そっぽを向きながらもこちらをちらちらと見るお市。その傍らではモフ政も俺をじっと眺めている。
この風景を守る為に天下を統一するなんてのもいいのかな、と。最近になってそう考え始めていた。それは、今まで流れで言われていた言葉を、自分の意志で願うようになっていたということ。
そんなわずかな変化が自分の中にあるのを感じていた。
やがて、話は本題? に戻る。
「で、義昭様の件はどうすんの?」
「う~ん……」
帰蝶が宙に視線を躍らせて考え込む。
「私たちだけで抱え込んでもしょうがないし、プニ長様のお考えはソフィア様がいらっしゃらないとわからないし……柴田様に相談するのがいいのかも」
「ま、それが無難よね」
「家臣団の中でも一番織田家に忠義の厚い柴田様なら、間違ったことにはならないと思うし」
本当に家中での柴田の信頼って厚いんだな。あいつの火の不始末で比叡山が燃えた事実は墓場まで持っていきたいと思います。
「だね。それじゃ、適当にその辺の人を捕まえて呼んでもらってくるね」
「うん、お願い」
少ししてやって来た柴田は、何故か微妙に緊張していた。
「そっ、それで、お市殿からのお話というのは……?」
「いや別に私からってわけじゃないけど」
「えっ?」
緊張から一転、今度は鳩が豆鉄砲をくらったような顔に。
「義昭が織田家を裏切ったらしいのよ」
「えっ?」
「いや、だから義昭が織田家を裏切ったの」
「それだけでござるか?」
「それだけって……いやまあそうだけど」
「そうでござるか」
がっくりと肩を落とすも、柴田はすぐに顔を上げて表情を引き締めた。
「それはどこからの情報でござるか?」
帰蝶とお市は、家康が来たことと伝え聞いた情報を柴田に伝える。
「なるほど、確かに家康殿の判断は間違いではないでござるが……。義昭殿を打倒するというのも選択肢の一つではあると思うでござる」
意外な返答に帰蝶が目を見開いていた。
「えっ、あの、家康様?」
突然に賞賛され、お市は戸惑いと恥じらいが入り混じった表情で問う。一方で、帰蝶と六助はぽかんと口を開けたまま固まっている。
けど、すぐにそんな雰囲気に気付いて、家康は我に返って苦笑を漏らした。
「これは申し訳ございません。お市殿のあまりにも毅然とした態度に、つい感心してしまいました」
「あぅ……」
お市は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「いやぁ、全くプニ長殿は素晴らしい妹君をお持ちですな。はっはっは」
「キュキュン(そりゃどうも)」
つられて帰蝶と六助も笑う。
その後、食事を終えた六助は家康を途中まで送りつつ家路につき、何とか義昭の件はバレずに済んだ。
「ふう」
家康が帰ってようやく緊張が解けたのか、お市がわかりやすくため息をつく。すると帰蝶が、それを優しい眼差しで見つめながら微笑んだ。
「家康様に褒めてもらえてよかったね」
「…………」
お市はわずかに頬を赤らめて口を噤んだまま、俯きがちになっている。家康が気になっていることを人前で認めるのが恥ずかしいのかもしれない。
返事がないことを気に留める様子もなく、帰蝶は膝の上にいる俺を撫でながら、ゆっくりと時間の経過を楽しんでいる。そんな空間はとても穏やかで優しくて、まるで時間の方が過ぎていくことを惜しんでいるようにすら思えた。
やがて、お市が眉を下げた表情で口を開く。
「ねえ、義姉上」
「何?」
「私、あまり女性らしくないって思われちゃったかな」
「どうして?」
帰蝶がわずかに首を傾げて問い掛ける。
「だって、歯に衣着せぬ……とか、毅然とした態度とか。あまり女性に対して向ける言葉じゃないし」
「そう? 別にそんなことないと思うよ」
「…………」
再び唇を引き結んだお市に対し、帰蝶は優しく包むように語り掛けていく。
「お市ちゃんは、女性らしくっていうより、女の子として良く思われたかったんだよね?」
「っ!」
お市の顔が一瞬で燃え上がった。
「それなら心配ないと思うよ。今日のことで、少なくとも良い印象は持ってもらえたはずだから」
「でも」
「私たちだって、潔かったり逞しかったり、強い殿方だけを魅力的に感じるわけじゃないでしょ?」
「うん」
「それと同じ。殿方だって、何も穏やかで物静かで、優しくて器量よしで……そんな女性ばかりを好きになるわけじゃない」
「そう、かな」
確かめる調子のお市のつぶやきに、帰蝶はしっかりとうなずいてから悪戯っぽく微笑んだ。
「うん。それに今日のあの様子だと、良く思ってもらえたどころか、うまくいけば側室に、なんてこともあり得るかもよ?」
「……!」
またまたお市の顔が真っ赤に染まる。そのまま帰蝶の方まで身体を寄せて、彼女の肩をぽかぽかと叩き出した。一緒にモフ政もこちらに歩いて来る。
「もう、からかわないでよ! 義姉上のばか! ばかばか!」
「ワウ」
「ごめんごめん。モフ政様も、失礼を致しました」
「ワウ」
「キュキュンキュン(てめえ帰蝶に何か文句あんのかコラ)」
「ワウ」
「キュキュンキュン(何て言ってるのかわかんねえぞコラ)」
やがて気が済んだお市が元の配置に戻ると、今度は恐る恐るといった様子で帰蝶に尋ねる。今日は表情が目まぐるしく変わるなこの子。
「あの、義姉上は……家康様のこと、どう思ってるの?」
「どうって?」
「男性としてどう思ってるのかってこと。さっきもいい雰囲気だったし」
それは俺的にも気になるところではある。
いくら夫とはいえ、俺は犬だ。ずっと一緒にいてくれたところで帰蝶を幸せにすることは出来ないし、だったら寂しいけど徳川家に嫁いでもらった方がいいのかなと思うことはままある。
ただ、そうなるにしても本人たちの気持ちが大事だ。これは政略結婚とかではないのだから。
穏やかな雰囲気はそのままに、帰蝶は少し考えてから応える。
「私はプニ長様の正室だから」
「でも、犬じゃん。徳川家に嫁いだところで誰も文句なんて言わないと思うけど」
そこで帰蝶は、俺を優しい目で見つめつつ撫でてくれながら答えた。
「確かにお犬様で人じゃない。でもね、この御方はただ尊いだけじゃなくて、私にとって特別な何かをお持ちのような、そんな気がするの」
「ふ~ん」
お市は納得したようなしていないような、そんな表情を浮かべている。
やばい俺めっちゃプレッシャーやん。そんな特別なものなんて持ってないんだけど……。前世だったら結構エロ本とか隠し持ってたけどね。好きなアニメの同人誌とか、って今はその話はいい。
「言葉じゃうまく説明出来ないけど。とにかく、この御方とずっと一緒にいたいっていう気持ちは本物だよ」
「キュキュンキュン(帰蝶たんまじペロペロ)」
まじペロペロという想いに嘘偽りは全くなかったものの、明らかにそういう感じの雰囲気ではなかったので反省した。
お市がこちらに寄って来て、帰蝶の隣に腰かけてから俺の顎に指を当てた。
「よかったわね、あんた。ただの犬なのにそこまで思ってもらえて」
「キュン(あざっす)」
「義姉上みたいな器量良しに好かれるなんて、あんた相当幸せ者なのよ。ちゃんとわかってる?」
「キュキュン(わかってまっす)」
「ふふ。お市ちゃんとプニ長様も、最近は仲良しさんだね」
そう言われて、お市はわかりやすくそっぽを向いた。
「まあ、多少尊いのは認めてやってもいいかな」
「キュンキュン(意外な反応だな)」
戦乱の世界に揉まれたからか、それともこっちに来て俺もいくらか歳を取ったからだろうか。いつからか、こういった何でもない日常の風景こそが愛しいと思うようになった。
柔らかく笑う帰蝶に、そっぽを向きながらもこちらをちらちらと見るお市。その傍らではモフ政も俺をじっと眺めている。
この風景を守る為に天下を統一するなんてのもいいのかな、と。最近になってそう考え始めていた。それは、今まで流れで言われていた言葉を、自分の意志で願うようになっていたということ。
そんなわずかな変化が自分の中にあるのを感じていた。
やがて、話は本題? に戻る。
「で、義昭様の件はどうすんの?」
「う~ん……」
帰蝶が宙に視線を躍らせて考え込む。
「私たちだけで抱え込んでもしょうがないし、プニ長様のお考えはソフィア様がいらっしゃらないとわからないし……柴田様に相談するのがいいのかも」
「ま、それが無難よね」
「家臣団の中でも一番織田家に忠義の厚い柴田様なら、間違ったことにはならないと思うし」
本当に家中での柴田の信頼って厚いんだな。あいつの火の不始末で比叡山が燃えた事実は墓場まで持っていきたいと思います。
「だね。それじゃ、適当にその辺の人を捕まえて呼んでもらってくるね」
「うん、お願い」
少ししてやって来た柴田は、何故か微妙に緊張していた。
「そっ、それで、お市殿からのお話というのは……?」
「いや別に私からってわけじゃないけど」
「えっ?」
緊張から一転、今度は鳩が豆鉄砲をくらったような顔に。
「義昭が織田家を裏切ったらしいのよ」
「えっ?」
「いや、だから義昭が織田家を裏切ったの」
「それだけでござるか?」
「それだけって……いやまあそうだけど」
「そうでござるか」
がっくりと肩を落とすも、柴田はすぐに顔を上げて表情を引き締めた。
「それはどこからの情報でござるか?」
帰蝶とお市は、家康が来たことと伝え聞いた情報を柴田に伝える。
「なるほど、確かに家康殿の判断は間違いではないでござるが……。義昭殿を打倒するというのも選択肢の一つではあると思うでござる」
意外な返答に帰蝶が目を見開いていた。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる