dominante_motion

忠珍鱈

文字の大きさ
上 下
76 / 98

76

しおりを挟む
英は正直なところ、駈が我を忘れて善がっている姿を見るのが好きだったが、それに次いで……いや、それと同じくらい、恥ずかしさに悶えまくる姿が好きで好きでたまらなかった。
だからこそ……この状況に、英はもう頭がどうにかなってしまいそうなほど興奮していた。

文字通り、駈の運命は今まさに英の手の中にある――そう思った瞬間、英の方が先に我慢の限界を超えてしまった。

「ああっ! ダメだ、って……!!」

駈の悲鳴が空しく車内に響く。
英は駈をイかせることしか考えていないようで、自分のモノより圧倒的に駈の方に手を掛け、駈が必ず乱れてしまう触れ方でそこを弄んだ。

口の端からまた唾液が溢れて顎を伝う。視界が急速に狭くなっていく。
最後の瞬間はもう目と鼻の先まで迫っていた。
……それが、駈にここ一番の判断を誤らせてしまった。

彼は無我夢中で英の頭に手を回すと、そのまま力任せに自分の顔の横へとかき抱く。
さらに、その耳に濡れた唇を押し付けると――

「やっ、すぐる……ほんとに、でちゃう……っ」

そんな駈のなけなしの抵抗は、もはやただの甘ったるい嬌声にしかならず。

「……ッ!!」
英は荒ぶる欲に突き動かされるまま、手の中で震えるものを激しい水音と共に滅茶苦茶に扱き上げ……極めつけとばかりに、駈の入口にくっと爪を立てた。

「あ、やああ……ッ!!」
「うっ……!!」

二人の身体を、熱い飛沫しぶきが濡らしていく。

英の吐き出したものはその手の中にほとんど収まったが、駈の出したものはなかなか止まらず、自分の身体はもちろん、英の上半身をぼたぼたと滴るほどに汚してしまったのだった。


その後。

駈は英の手を引いて彼の部屋まで猛スピードで向かうと、自分の服と英の服を洗濯機に入れ、そのままシャワールームへと向かった。

終始無言かつ目を合わせることもなく、駈は一心不乱に英を洗った。そんな彼を見ながら、英は直後、あまりのことに呆然としながらしゃくり上げていた駈を思い出し、その一物をまたバキバキにおっ勃てたのだが……それが駈の中へと迎え入れられることはついに無かった。

駈はシャワー後、部屋に置きっぱなしになっていた季節外れの上下を適当に身に着けると、英の部屋にある掃除用具をかき集め、再び駐車場へと向かった。
そして、部屋に戻るよう必死に説得する英を完全に無視し、朝まで延々と車の中を掃除しまくり……そのまま始発の電車で帰宅してしまったのだった。


さらに、その後。

無理がたたり、すっかり風邪を引いてしまった駈は生まれて初めて仕事を病欠する羽目になってしまった。
電話口で何度も謝る駈に、山潟は気にするなと宥めたが……そこで山潟は、あの夜、いきなり掛かってきた英からの謎の電話を思い出した。そしてその翌日、死にそうな顔で休日出勤してきた駈の、ブーブーとやかましい音を立てた挙句に電源を落とされてしまった哀れなスマホについても。

……何があったかは分からないが、誰が原因かは考えるまでもなかった。

「頼むからお前らの痴話げんかに俺を巻き込むな!」

山潟は留守電に向かってそう怒鳴ると、病人以上に青い顔をする藤河に急かされながら、駈のマンション前へと止めた車のドアを思いきり閉めたのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【第1部完結】佐藤は汐見と〜7年越しの片想い拗らせリーマンラブ〜

有島
BL
◆社会人+ドシリアス+ヒューマンドラマなアラサー社会人同士のリアル現代ドラマ風BL(MensLove)  甘いハーフのような顔で社内1のナンバーワン営業の美形、佐藤甘冶(さとうかんじ/31)と、純国産和風塩顔の開発部に所属する汐見潮(しおみうしお/33)は同じ会社の異なる部署に在籍している。  ある時をきっかけに【佐藤=砂糖】と【汐見=塩】のコンビ名を頂き、仲の良い同僚として、親友として交流しているが、社内一の独身美形モテ男・佐藤は汐見に長く片想いをしていた。  しかし、その汐見が一昨年、結婚してしまう。  佐藤は断ち切れない想いを胸に秘めたまま、ただの同僚として汐見と一緒にいられる道を選んだが、その矢先、汐見の妻に絡んだとある事件が起きて…… ※諸々は『表紙+注意書き』をご覧ください<(_ _)>

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ポケットのなかの空

三尾
BL
【ある朝、突然、目が見えなくなっていたらどうするだろう?】 大手電機メーカーに勤めるエンジニアの響野(ひびの)は、ある日、原因不明の失明状態で目を覚ました。 取るものも取りあえず向かった病院で、彼は中学時代に同級生だった水元(みずもと)と再会する。 十一年前、響野や友人たちに何も告げることなく転校していった水元は、複雑な家庭の事情を抱えていた。 目の不自由な響野を見かねてサポートを申し出てくれた水元とすごすうちに、友情だけではない感情を抱く響野だが、勇気を出して想いを伝えても「その感情は一時的なもの」と否定されてしまい……? 重い過去を持つ一途な攻め × 不幸に抗(あらが)う男前な受けのお話。 *-‥-‥-‥-‥-‥-‥-‥-* ・性描写のある回には「※」マークが付きます。 ・水元視点の番外編もあり。 *-‥-‥-‥-‥-‥-‥-‥-* ※番外編はこちら 『光の部屋、花の下で。』https://www.alphapolis.co.jp/novel/728386436/614893182

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

早く惚れてよ、怖がりナツ

ぱんなこった。
BL
幼少期のトラウマのせいで男性が怖くて苦手な男子高校生1年の那月(なつ)16歳。女友達はいるものの、男子と上手く話す事すらできず、ずっと周りに煙たがられていた。 このままではダメだと、高校でこそ克服しようと思いつつも何度も玉砕してしまう。 そしてある日、そんな那月をからかってきた同級生達に襲われそうになった時、偶然3年生の彩世(いろせ)がやってくる。 一見、真面目で大人しそうな彩世は、那月を助けてくれて… 那月は初めて、男子…それも先輩とまともに言葉を交わす。 ツンデレ溺愛先輩×男が怖い年下後輩 《表紙はフリーイラスト@oekakimikasuke様のものをお借りしました》

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました

海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。 しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。 偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。 御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。 これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。 【続編】 「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785

処理中です...