23 / 23
第一章
22話 「いつ見ても美しいですね・・・」
しおりを挟む
その花々は、一本の道を隔てて互いの美しさを競うように咲いていた。
右に咲く純白の蘭は、清純で気品あふれる花弁を惜しみなく見せてくれている。
一輪一輪が清く輝き、夕陽に染められるのを反発するかのように、その純白を強調していた。
左に咲く承和色の菊は、高潔で上品な佇まいで、その花弁を見せつけるように咲いている。
夕陽に照らされ、より濃く輝く承和色が、その気高さを更に際立たせていた。
「いつ見ても美しいですね・・・」
桜が足を止め、ぽつりと呟く。目を細め、左右に咲き乱れる蘭と菊をどこか羨ましそうな顔で見つめている。
この世界では自然的に花が咲く事はない。唯一の方法は、華乙女達が使う千紫万紅によってのみ、咲かせる事が出来る。
しかし、どれほど強大な力を持っていても、咲かせられるのは自身の花だけで、他者の花を咲かせる事は出来ない。
4人の中でヒガンバナのみ、千紫万紅を使えるが、桜、ひまわり、ビオラの3人は千紫万紅が使えない為、自身の花を咲かす事が出来ない状況である。
桜の表情は、自身も花を咲かせたいという気持ちの表れだった。
「でも、これだけ見事に咲いてるって事は、蘭さんと菊さん・・・相当暴れたんだね。ちょっと昆虫騎士団のヒト可哀想って思っちゃうな」
「むしろ、あんな変態集団には丁度いいんじゃない?どうせ私達を襲った時みたいに、体液啜らせろ~、とか言ってあの2人に突っかかって行ったんでしょ。自業自得よ」
「確かに蘭さんと菊さんは、ビオラちゃんみたいにちょっと怒りっぽいところあるからなー」
「ちょっと、ひまわり!私とあの2人を一緒にしないで!流石にあそこまで酷くはないわよ!」
桜が感傷的になっているとは露知らず、ひまわりとビオラの2人が話し始める。
そのやり取りを見て元気をもらったのか、桜はふふっと笑うと正面を見据え、再び歩き始めた。
「さあ、これで不安も無くなりましたし、日が暮れる前にベゴニア様の元へ帰りましょう!」
「「おおー!」」
ひまわりとビオラが手を挙げて元気よく返事をする。
桜が先ほど落ち込んでいることに気づいていたヒガンバナは、明るくなった表情を見て安堵し、自身も同じように笑った。
蘭と菊を隔てるように続く道を歩き進める。その花々は、まるで4人が道を間違えないよう案内するかの如く、旧上野駅の結界前まで続いていた。
右に咲く純白の蘭は、清純で気品あふれる花弁を惜しみなく見せてくれている。
一輪一輪が清く輝き、夕陽に染められるのを反発するかのように、その純白を強調していた。
左に咲く承和色の菊は、高潔で上品な佇まいで、その花弁を見せつけるように咲いている。
夕陽に照らされ、より濃く輝く承和色が、その気高さを更に際立たせていた。
「いつ見ても美しいですね・・・」
桜が足を止め、ぽつりと呟く。目を細め、左右に咲き乱れる蘭と菊をどこか羨ましそうな顔で見つめている。
この世界では自然的に花が咲く事はない。唯一の方法は、華乙女達が使う千紫万紅によってのみ、咲かせる事が出来る。
しかし、どれほど強大な力を持っていても、咲かせられるのは自身の花だけで、他者の花を咲かせる事は出来ない。
4人の中でヒガンバナのみ、千紫万紅を使えるが、桜、ひまわり、ビオラの3人は千紫万紅が使えない為、自身の花を咲かす事が出来ない状況である。
桜の表情は、自身も花を咲かせたいという気持ちの表れだった。
「でも、これだけ見事に咲いてるって事は、蘭さんと菊さん・・・相当暴れたんだね。ちょっと昆虫騎士団のヒト可哀想って思っちゃうな」
「むしろ、あんな変態集団には丁度いいんじゃない?どうせ私達を襲った時みたいに、体液啜らせろ~、とか言ってあの2人に突っかかって行ったんでしょ。自業自得よ」
「確かに蘭さんと菊さんは、ビオラちゃんみたいにちょっと怒りっぽいところあるからなー」
「ちょっと、ひまわり!私とあの2人を一緒にしないで!流石にあそこまで酷くはないわよ!」
桜が感傷的になっているとは露知らず、ひまわりとビオラの2人が話し始める。
そのやり取りを見て元気をもらったのか、桜はふふっと笑うと正面を見据え、再び歩き始めた。
「さあ、これで不安も無くなりましたし、日が暮れる前にベゴニア様の元へ帰りましょう!」
「「おおー!」」
ひまわりとビオラが手を挙げて元気よく返事をする。
桜が先ほど落ち込んでいることに気づいていたヒガンバナは、明るくなった表情を見て安堵し、自身も同じように笑った。
蘭と菊を隔てるように続く道を歩き進める。その花々は、まるで4人が道を間違えないよう案内するかの如く、旧上野駅の結界前まで続いていた。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【絶対幼女伝説】 〜『主人公は魔王なのに』を添えて〜
是呈 霊長(ぜてい たまなが)
ファンタジー
彼の昔、最強の吸血鬼であり最強の魔王『ゼティフォール』が世界を闇で支配していた。
時を経て、神の力を手に入れし勇者率いる英雄によって、100年の闇による統治は終わりを迎えたのだった。
それから400年後、魔王が目を覚ました!
闇と共に滅ぼされるかに思えたゼティフォールだったが、勇者と神の意思により長らえていたのだ。
『再び危機が迫った時、新しき勇者と"共に"世界を救う』ために。
目を覚ましたゼティフォールは危機の訪れを察し、敵を迎え撃つ!
最強の名を欲しいままに、魔王の名を知らしめるが如く、勇者など必要ないと言わんばかりに!
最強の名は伊達じゃない。
復活した魔王軍だけの力で世界を救ったのだった!
…………という予定だったが、うまく行かず、敵こそ撃退したものの魔王たる力を無くし、圧倒的強さも奪われ、残ったのはプライドだけ。
しかも、見ず知らずの土地に飛ばされ、雑魚モンスターにいじめられる始末。
服もボロボロ、体もボロボロ、唯一残ったプライドすらもボロボロ。
そんな哀愁漂うゼティフォールを救ったのは、天使のような翼を持った"最強"の幼女『ステラ』だった!
ステラというチートな仲間を手に入れたゼティフォールの快進撃? が始まる──
頑張れゼティフォール!
負けるなゼティフォール!
今は幼女にお守りされる身だが、いずれ最終的には、多分、きっと、いつの日か、ひとり立ちしてプライドに見合った実力を取り戻すのだ!!
※一応主人公は魔王です
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる