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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

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 レンレン様は次の階層の時も姿を見せた。口に貼られていたものは剥がれたみたいで、また恐ろしい早口で話しかけられたけど、パフィの姿を見て逃げて行った。
 逃げ足、早かった。面白くなってしまったんだと思う。その後をパフィが追いかけて行ってしまった。
 あーあ……大丈夫かな、レンレン様……。

「悪い子ではないんですけどねぇ、どうしても魔法薬学に対する情熱がまぁ、異常で」

 ティール様は力なくははは、と笑った。
 うん、異常の部分に同意します。
 初めて会った時、パフィがすぐに何とかしてくれたのに、なんとも言えない疲れを感じたから。
 あの日の夜は感謝を込めてパフィに出す料理は肉を多めにしておきました。

「本当に好きなんですね、魔法薬学が」

 頷くティール様。

「レンレンは魔法のスキルも持っているんですけれどね、精霊の力を借りる事なく、自力で作り出す魔法薬学に喜びを見出したようですねぇ」

 すごいなぁ……。
 あぁ、だからなのかな、ダンジョンを作ったけど、自分達で薬草を育てるって決めたのは。

「まぁ、その努力のお陰で我が国の魔法薬学は他国の上をいくんですよ」

 他の国とこの国の魔法薬学の違いと言われて、凄いんだな、とは思ってもピンとこない。
 顔を上げてティール様を見ると、ティール様がにこっと微笑んだ。

「魔法薬学に対する情熱は本物なんですよ。
先日の毒物の際にも、すぐに毒を解析して解毒剤を作りましたからねぇ。……北の国から購入した毒で、我が国の知らぬものだったようです。
ただ、その解毒剤を作る為の素材がこの国では他国からの供給に頼らざるをえなかったんですが」

 ティール様の見ている先に、魔法薬学の人達が土をいじっていたり、水をあげている。
 その顔は嬉しそうだ。

「アシュリー君のお陰でこの国の魔法薬学は発展を遂げるでしょう。高くて手に入らない薬が、魔法薬学者達によって国内に広がっていったなら、幼い子供達が命を落とす事もなくなります。
人がいる限り、薬は必要です。病は減らせてもなくなりはしませんからね」

 残念だけど、ティール様の言う通りで、僕は頷くしかない。

「五月蝿くて鬱陶しいでしょうが、レンレンの事、嫌いにならないでやって下さいね」

 思わず笑ってしまった。

「嫌いではないです」

「それは良かった」

 そう言えば、と何か思い出したらしく、ぽん、と手を叩く。

「アシュリー君は魔女様に薬作りの基礎を教わったと伺いました」

 そうです、と答えようとしたらレンレン様が駆け込んで来て、息を切らしながら話し始めた。

「それはっ、凄い! やはり、アシュリー君は、魔法薬学を学ぶ為に」

 凄い、こんなに息が切れてるのに話してるし、僕を勧誘する事を諦めない。

 チリン、と音をさせてマグロがやって来て、レンレン様はまたね! と叫んで去って行った。

『なかなか面白かったぞ』

 そう言ってパフィは僕の腕に飛び込んで来た。
 だいぶ、追いかけ回したみたいだね……。
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