前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第二章 マレビト

035-2

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「彼らはダンジョン蜂の蜜で解毒出来ると思い込んでいた。解毒の効能があるのは蜂ヤニだと言う事は知らなかったんだよ」

 そこまで言って、ノエルさんはため息を吐いた。クリフさんがノエルさんの肩を叩くと、話し始めた。

「致死性のある毒ではなく、身体に痺れが残るような毒をあちこちの井戸に流したんだ」

「蜂蜜でもうける為ですか……?」

 そうだ、とクリフさんは頷いた。

「だが、ここで奴らは失敗に気付く。毒である事は分かっても、普通は解毒薬を手に入れようとする。蜂蜜で解毒しようとはしない。
レンレン──魔法薬学長に王都の病院から嘆願書が届くようになった。レンレンは喜び勇んで解毒剤を作り始めた。まだ完成していないが」

「レンレンの邪魔をする為に、魔法薬学棟の井戸に毒を流したんだよ。王城の井戸は全て繋がってる事を知らなかったようで、被害が王城にも波及した」

 クリフさんの説明を引き取るようにノエルさんが話して、クリフさんは眉間に皺を寄せ、ノエルさんはまた、大きなため息を吐いた。
 物を知らない僕でも、毒が、ってなったら解毒剤とか薬に目を向けるかなぁ……蜂蜜で、とは考えない気がする……。

 僕の腕から飛び出したマグロはテーブルの上に乗り、座った。

『ばら撒かれたものは毒性こそ弱かったし、解毒剤を作成していると言うのでな、おまえには一週間程待てと言った』

 あの一週間はそう言う意味だったのか。
 毒を広めて、第二王子の伯父を捕まえたりするのに一週間かかるとか、そう言う事なのかと勝手に思ってた。

『だが解毒剤は出来こそしたものの、数量が足りなくてな。奴らが別の毒までばら撒こうとしたのでアリッサに会って来たと言う訳だ。実に平和的だろう?』

 ……こう言う時ってため息しか出ないんだね……。

「あの、よく分かりました。ありがとうございます」

 マグロこと、パフィを見る。
 良かった。パフィが変な事をしてなくて。

『おまえの嫌がる事はしないと言ったろう』

「うん、疑ってごめんね、パフィ」

 ラズロさんが苦笑いを浮かべた。

「真っ先に魔女を疑ったもんな、アシュリー」

『昔、腹立ちまぎれに国を滅ぼした事があるからな。
疑われる事をしてきた自覚はある』と言ってマグロが目を閉じて笑った。

 ノエルさんとクリフさんの顔色は悪くなったけど。

『一時の感情でアシュリーを怒らせたら、嫌いなもの尽くしと言った嫌がらせを受けるからな。避けねばならん』

「……そんな事で……」

 ラズロさんの言葉にノエルさんとクリフさんが項垂れてしまった。
 魔女とは、そう言うものなんだって知ってる僕は慣れてるけど、みんなはまだ慣れてないから衝撃的みたい。
 僕も初めはそうだったので、みんなの気持ち、分かる。

「これから、どうなるんですか?」

 質問すると、ノエルさんは顔を上げた。

「決めるのはこれからだけど、知らなかったとは言え、王に毒を盛り、戦争を引き起こそうとした罪は、重いだろうね……」

 そう、だよね……。

「奥さんと子供に罰を与えないといけないなんて、王様は大変ですね……」

「……そうだね……」

 王様になる事だったり、もうけようと欲を出さなかったら、もっと違った結果になったのかな……。
 ……難しいな……。
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