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第二章 マレビト
028-3
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ナインさんに手を引かれて、暗い階段をそっと下りる。
……あ、そうだ。
火魔法を空いてる方の手で出すと、周りが見えてきた。
階段を下り切った場所は、思っていたよりも広かった。
城の下に、こんな大きな地下を作ってしまったけど、大丈夫なのかな……。
「凄いね……魔力が辺り一面に満ち満ちてる……」
僕たちの後ろを下りて来ていたノエルさんが、マグロを抱っこしたまま言った。ノエルさんの腕から飛び降りたマグロは、周囲のにおいを嗅いでいる。
『……これなら、大丈夫だろう』
広さも十分、ってことかな? 良かった。
「アシュリーは、野原を想像したの?」
ナインさんに、平で広いのを想像しろ、って言われて、頭に浮かんだのが、村の側にあった草原だった。
「はい、すみません」
「いやいや、謝らないで大丈夫だよ。キレイな草原だね」
『アシュリー、あの辺りには木があっただろう』
パフィに言われて、そう言えばそうだったと思い出す。
次の瞬間、にょきにょきと木が草むらの中から顔を出し、あっという間に僕たちの背を追い越して、枝を広げ、葉を茂らせた。思い出した所に次々と木が生え、大木となっていく。
「すごいな……」
クリフさんの声がすぐ横からした。
「思っていた以上に、自由自在に作り出せるんだね……」
ノエルさんの言葉にナインさんが頷く。
「ダンジョン、箱庭。何でも好きに出来る。
ずっと昼のままでも、夜のままでも、春だけ、夏と秋を繰り返す、出来る」
そんな事まで?!
「アシュリーの牛、ここに放てば、草食べ放題」
あ、確かに。
冬場に草がなくてちょっと可愛そうだったんだよね。
『アシュリー、木の下に行くぞ』
突然パフィが言った。
え? 木?
「どうかしたの?」
『何を言ってる。養蜂だ。この私が直々に捕まえてきてやったのだから、感謝せよ』
まさか……ダンジョン蜂を……?
「パフィ、危険はないの?」
『ない。物理抵抗が出来ぬようにしてある』
それは、テイムが難しくなるのでは……?
気にしないマグロは、木に向かって走り出した。慌ててそれを追いかける。
『ダンジョン蜂の女王を捕まえるのは難儀したぞ』
「女王蜂?!」
誰かの悲鳴が聞こえた。
パフィが無茶苦茶なのは知ってたけど、本当に無茶苦茶だなぁ……。最近まで平和だったから、ちょっと忘れてしまってたけど。
「パシュパフィッツェ様、ダンジョンの入り口に封印をするのでお待ちいただけますか?!」
ノエルさんが叫んでダンジョンの入り口の方に向かおうとした時、ナインさんが言った。
「……普通なら、必要ない」
「必要ない? でも……」
ナインさんが僕を見る。
「ダンジョンへの出入り、アシュリーが決められる」
その言葉にノエルさんが眉間に皺を寄せる。
「いや、そんな筈はない。クロウリーの作ったダンジョンは封印が必要だった……」
「破られたから」
みんなの視線がナインさんに注がれる。
「決め事を超える力で、破られたから」
ナインさんの言葉がなぞなぞのようです……。
もう少し、分かりやすく説明してほしい、そう思っていたら、マグロがナインさんに飛びついて、ナインさんが慌てて抱きとめた。
『前世持ちは説明は不明瞭でならんな。混乱しか招いておらん』
ふぅ、とマグロが息を吐く。
『私も全ては知らぬが、知る所を説明するとしよう』
……あ、そうだ。
火魔法を空いてる方の手で出すと、周りが見えてきた。
階段を下り切った場所は、思っていたよりも広かった。
城の下に、こんな大きな地下を作ってしまったけど、大丈夫なのかな……。
「凄いね……魔力が辺り一面に満ち満ちてる……」
僕たちの後ろを下りて来ていたノエルさんが、マグロを抱っこしたまま言った。ノエルさんの腕から飛び降りたマグロは、周囲のにおいを嗅いでいる。
『……これなら、大丈夫だろう』
広さも十分、ってことかな? 良かった。
「アシュリーは、野原を想像したの?」
ナインさんに、平で広いのを想像しろ、って言われて、頭に浮かんだのが、村の側にあった草原だった。
「はい、すみません」
「いやいや、謝らないで大丈夫だよ。キレイな草原だね」
『アシュリー、あの辺りには木があっただろう』
パフィに言われて、そう言えばそうだったと思い出す。
次の瞬間、にょきにょきと木が草むらの中から顔を出し、あっという間に僕たちの背を追い越して、枝を広げ、葉を茂らせた。思い出した所に次々と木が生え、大木となっていく。
「すごいな……」
クリフさんの声がすぐ横からした。
「思っていた以上に、自由自在に作り出せるんだね……」
ノエルさんの言葉にナインさんが頷く。
「ダンジョン、箱庭。何でも好きに出来る。
ずっと昼のままでも、夜のままでも、春だけ、夏と秋を繰り返す、出来る」
そんな事まで?!
「アシュリーの牛、ここに放てば、草食べ放題」
あ、確かに。
冬場に草がなくてちょっと可愛そうだったんだよね。
『アシュリー、木の下に行くぞ』
突然パフィが言った。
え? 木?
「どうかしたの?」
『何を言ってる。養蜂だ。この私が直々に捕まえてきてやったのだから、感謝せよ』
まさか……ダンジョン蜂を……?
「パフィ、危険はないの?」
『ない。物理抵抗が出来ぬようにしてある』
それは、テイムが難しくなるのでは……?
気にしないマグロは、木に向かって走り出した。慌ててそれを追いかける。
『ダンジョン蜂の女王を捕まえるのは難儀したぞ』
「女王蜂?!」
誰かの悲鳴が聞こえた。
パフィが無茶苦茶なのは知ってたけど、本当に無茶苦茶だなぁ……。最近まで平和だったから、ちょっと忘れてしまってたけど。
「パシュパフィッツェ様、ダンジョンの入り口に封印をするのでお待ちいただけますか?!」
ノエルさんが叫んでダンジョンの入り口の方に向かおうとした時、ナインさんが言った。
「……普通なら、必要ない」
「必要ない? でも……」
ナインさんが僕を見る。
「ダンジョンへの出入り、アシュリーが決められる」
その言葉にノエルさんが眉間に皺を寄せる。
「いや、そんな筈はない。クロウリーの作ったダンジョンは封印が必要だった……」
「破られたから」
みんなの視線がナインさんに注がれる。
「決め事を超える力で、破られたから」
ナインさんの言葉がなぞなぞのようです……。
もう少し、分かりやすく説明してほしい、そう思っていたら、マグロがナインさんに飛びついて、ナインさんが慌てて抱きとめた。
『前世持ちは説明は不明瞭でならんな。混乱しか招いておらん』
ふぅ、とマグロが息を吐く。
『私も全ては知らぬが、知る所を説明するとしよう』
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