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第二章 マレビト
023-3
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ナインさんはそれから少しして目を覚ました。
初めて会った時のような、怯えた顔をして、僕達を見る。
「気分はどうだ?」
トキア様が尋ねると、ナインさんは小さく「大丈夫、です」と答えた。
「頭が痛いとか、吐き気とか、身体の何処かをぶつけたとか、違和感があるなら教えて」
顔を上げて、みんなの顔を見るナインさん。ノエルさんが笑顔を向ける。
俯いて首を横に振る。
「昨日……寝れ……なかった、から……」
嘘だと僕でも分かったから、みんなも分かったと思う。でも何も言わずにナインさんの頭を撫でた。
「今日は何もせずとも良い。休め」
トキア様が言って、ノエルさん、ティール様、ラズロさんと僕も医術室を出た。
「無理強いはするな」
ノエルさんとティール様が頭を下げる。
トキア様は戻って行って、僕たちは食堂に向かった。
「ナインは何かを隠してると、思う」
ノエルさんの言葉にティール様も頷く。
「でも、言いたくねぇんだろ」と、ラズロさんが言って厨房に立つ。珈琲を入れるみたいだ。
手伝おうとしたら、座ってろ、と言われたので、お言葉に甘えて座って待つ事にする。
ネロが何処からかやって来て、膝の上に乗る。
「アシュリーがダンジョンメーカーの話をしたら、倒れた」
「あの国ではクロウリーの事もあって、魔術師もダンジョンメーカーも禁忌です」
え……。
「禁忌故に、衝撃を受けたと言う事でしょうか?」
違うと思う、とノエルさんが否定する。
「魔術師のスキルを持って生まれる者は多い。だから禁忌だとしても封じ込める事は出来ない。だからナインのようにスキル所持者は奴隷に落とされてしまう」
ラズロさんが珈琲の入ったカップをテーブルに置く。ありがとう、とノエルさんとティール様が礼を言う。
ミルクのたっぷり入ったカップを受け取る。ラズロさんにお礼を言うと、おぅよ、と返事が返ってきた。
「ダンジョンメーカーは稀有なスキルだ。アシュリーを迎えるまで、知識としては知っていたけど、保持者を目にした事はなかった。アシュリーしか見た事が無いよ」
そんなに珍しいスキルなんだ。
「あの国ではダンジョンメーカーと言うスキルは存在そのものがないものとされてる。だから、七歳でスキルが発覚して奴隷に落とされたナインが知ってる筈がないんだよ」
カタン、と音がして、見るとナインさんが入り口に立っていた。
「ナイン?」
「ナインさん?」
みんなで慌ててナインさんの元に向かう。
「動いて大丈夫なの?」と、ノエルさんがナインさんの顔色を窺いながら尋ねる。
「休息は大事ですよ、ナイン」とティール様が言うと、すかさず「おまえが言うな」とラズロさんに言われていた。
「ナインさん、大丈夫ですか?」
「話す……」
ナインさんは自身の服をぎゅっと握りしめて言った。
「え?」
「ダンジョンメーカーについて、話す」
初めて会った時のような、怯えた顔をして、僕達を見る。
「気分はどうだ?」
トキア様が尋ねると、ナインさんは小さく「大丈夫、です」と答えた。
「頭が痛いとか、吐き気とか、身体の何処かをぶつけたとか、違和感があるなら教えて」
顔を上げて、みんなの顔を見るナインさん。ノエルさんが笑顔を向ける。
俯いて首を横に振る。
「昨日……寝れ……なかった、から……」
嘘だと僕でも分かったから、みんなも分かったと思う。でも何も言わずにナインさんの頭を撫でた。
「今日は何もせずとも良い。休め」
トキア様が言って、ノエルさん、ティール様、ラズロさんと僕も医術室を出た。
「無理強いはするな」
ノエルさんとティール様が頭を下げる。
トキア様は戻って行って、僕たちは食堂に向かった。
「ナインは何かを隠してると、思う」
ノエルさんの言葉にティール様も頷く。
「でも、言いたくねぇんだろ」と、ラズロさんが言って厨房に立つ。珈琲を入れるみたいだ。
手伝おうとしたら、座ってろ、と言われたので、お言葉に甘えて座って待つ事にする。
ネロが何処からかやって来て、膝の上に乗る。
「アシュリーがダンジョンメーカーの話をしたら、倒れた」
「あの国ではクロウリーの事もあって、魔術師もダンジョンメーカーも禁忌です」
え……。
「禁忌故に、衝撃を受けたと言う事でしょうか?」
違うと思う、とノエルさんが否定する。
「魔術師のスキルを持って生まれる者は多い。だから禁忌だとしても封じ込める事は出来ない。だからナインのようにスキル所持者は奴隷に落とされてしまう」
ラズロさんが珈琲の入ったカップをテーブルに置く。ありがとう、とノエルさんとティール様が礼を言う。
ミルクのたっぷり入ったカップを受け取る。ラズロさんにお礼を言うと、おぅよ、と返事が返ってきた。
「ダンジョンメーカーは稀有なスキルだ。アシュリーを迎えるまで、知識としては知っていたけど、保持者を目にした事はなかった。アシュリーしか見た事が無いよ」
そんなに珍しいスキルなんだ。
「あの国ではダンジョンメーカーと言うスキルは存在そのものがないものとされてる。だから、七歳でスキルが発覚して奴隷に落とされたナインが知ってる筈がないんだよ」
カタン、と音がして、見るとナインさんが入り口に立っていた。
「ナイン?」
「ナインさん?」
みんなで慌ててナインさんの元に向かう。
「動いて大丈夫なの?」と、ノエルさんがナインさんの顔色を窺いながら尋ねる。
「休息は大事ですよ、ナイン」とティール様が言うと、すかさず「おまえが言うな」とラズロさんに言われていた。
「ナインさん、大丈夫ですか?」
「話す……」
ナインさんは自身の服をぎゅっと握りしめて言った。
「え?」
「ダンジョンメーカーについて、話す」
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