前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第二章 マレビト

021-4

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「美味しい!!」

 夕食を食べにきたノエルさんがひと口食べて言った。

「ね、美味しいね、ナイン!」

 ノエルさんの横に座っているナインさんも、何度も頷いた。
 ところで、僕はさっきから、ナインさんの隣に座ってる人が気になります。
 明らかに上級官の着衣なのに、髪は伸びっぱなしのボサボサで、髭も生えて、伸び過ぎた前髪の所為で顔の上半分が見えない。
 えーと、ティール様、かな?

「ティール、どう? 美味しいでしょ?」

 ノエルさんの質問にティール様が頷く。

「徹夜明けの胃袋に染み入ります」

 ナインさんとティール様の二人は、ノエルさんに連れられてお風呂に入ってから、この食堂にやって来て、夕食を食べている。
 それにしても徹夜……ラズロさんが言っていた通りの人なんだな、本当に……。

「これを食べていると……あともうちょっとで何か閃きそうな気がするんです」

「いや、食べたら今日は寝なよ。清潔になり、美味しい物を食べ、睡眠をたっぷりとれば、明日にはもっと色々な事を閃くよ」

 ティール様はノエルさんを見る。ノエルさんは気にせず食べていく。

「ティールを寝かせる為に言ってるんじゃなくて、これは僕の経験則。睡眠と食事を正しく摂取しないと、効率が下がるんだよ。集中が続かなくなるし、頭が働かなくなる」

「そんな時はレンレンの作ったポーションを飲めば……」

「ポーションは飲み過ぎると効かなくなるって聞いた事あるよ」

 心当たりがあるのか、ティール様は俯く。

 思っていたのと違って、ティール様は結構大人しめだった。なんかもっと、弾けてるって言うのか、無茶苦茶な人なのかと思っていたのに。多分、ラズロさんの幼馴染って聞いて、似た感じを予想したんだと思う。全然違った。

「せっかくナインも来たんだから、メリハリのある生活にしなよ、ダラダラした生活じゃなくて」

「ダラダラではなく、効率を重視した結果、一定時間感覚でポーションを飲む事が……」

「ナインにティールの悪い癖がうつっても困るし、やめてよ。燃やすよ?」

 あからさまにティール様が怯える。多分、前に一度何かを燃やされてるんじゃないかな……そういう怯え方に見える。優しいノエルさんの過激な言葉にナインさんも怯える。

「大丈夫だよ、燃やすのはティールだけだからねー」

 燃やされたの、ティール様なの? 燃えたのに生きてるのって、凄い気がするんだけど。

「ティールにトキア様から命が下ってるよ」

 聞く所によると、魔法、魔術、魔法薬学は全て魔法師団長配下にあるらしい。
 一番偉いのがトキア様。その下に魔法師の長としてノエルさんがいて、魔術師の中で一番偉いのはティール様。魔法薬学で一度上はレンレンさん、レンレン様?という事になってるらしい。
 確かに、同じように権力のある人がいっぱいいたら、それはそれで大変そうだよね。

「ナインとアシュリーの勉強を毎日見るように、って」

「ええっ?!」

 この世の終わりみたいな声を出されてしまった。
 僕も何故だか入ってるけど、ナインさんの勉強は見てあげて欲しい。

「私の貴重な研究時間が減るじゃないですか!」

「嫌なら嫌でも良いよ。トキア様にはそう伝えておく。
その結果、今まで許されていた、魔術師長としての職務が免除されなくなったとしても、それはティールの選択の結果だからね」

 なるほど。
 交渉って、こうやるんだね。

「感心した顔をしてるけどな、アシュリー。あれは普通に恫喝だからな、覚えるなよ……」

 ラズロさんに止められた。
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