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第一章 新しい生活の始まり
008-2
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仕込みも終わったから、朝ごはんを食べて、洗濯をする。シーツを洗いたいし、タオルも洗いたい。天気の良い日は洗濯したい。
ラズロさんが両手に洗濯物を抱えて裏庭にやって来た。
「持って来たぞー」
昨日、王都の金物屋さんで金ダライを見て、即購入した。水を使ってもカビないタライとか、初めてみた!
村で使っていたのは木で作ったタライだったから、使用後はちゃんと乾かさないカビちゃうしで扱いに気を使ったんだけど、この金ダライなら使用後に軽く風魔法で乾かせばカビない!
「ここに入れて下さい」
金ダライを指差すと、ラズロさんはタライの中に無造作に洗濯物を入れた。
「随分デカいな、この金ダライ」
「一番大きいのを買いました。洗濯にも使えるし、ネロを洗うのにも使えるし、水浴びにも使えるし、色々使えそうだったので」
「主婦の鑑だな、オイ」
主婦じゃないですよ?
洗濯物の中に魔法で水を入れていく。粉せっけんを振りかけて、風魔法で水に流れを付けていく。
「なんでこのせっけん、粉状なんだ?」
「あ、粉にしました。その方が水に溶けやすいので」
「主婦だな?」
「主婦じゃないですよ?」
タライの中で洗濯物がぐるぐると回りだす。ずっと同じ方向だと汚れが残っちゃうから、水流の向きを反対にする。
しばらく回転させた後、洗濯物に汚れが残ってないかを確認して、水を消す。また水を注いで濯ぎ、汚れた水を消し、もう一度水を注いで濯ぐ。大体二回ぐらい濯げばせっけんは洗い流される。
あ、しまった。
「どうした?」
僕が固まっているのに気付いたラズロさんが聞いてきた。
「いつもはもっと小さいタライで洗濯をしていたので、蓋をして脱水していたんですけど、このタライに合うだけの蓋がないんです」
なるほどな、とラズロさんは納得したように頷くと、ちょっと待ってろよ、と言って何処かに行った。
仕方がないので一つずつ手にして取って絞る。
ちょっとしてラズロさんが木の板を持って戻ってきた。
「ちゃんとした蓋が手に入るまで、これでも使っとけ」
お風呂を作ってる人たちに話してもらって来てくれたらしい。なるほどー。
「ありがとうございます、ラズロさん」
「礼はいらねぇよ。洗濯してもらってんのはこっちだからな」
タライの中に風を起こして蓋をする。
こうすると洗濯物の水分が風で飛ばされて、そこそこ脱水出来る。絞ると洗濯物が傷ついちゃうけど、これなら傷付かないし、干してからの渇きも良い。
「相変わらずアシュリーの魔法は万能だな」
「全然万能じゃないですよー」
「こんだけ生活を支えてんだから、もはや万能の域だろ」
昨日出かけている際に、洗濯屋さんの前を通って、どのぐらいお金がかかるのかなと思って見てみたら、カゴ一杯で銅貨5枚だった。
銅貨3枚あると、屋台の串焼きが3本買えちゃう。
うん、僕は自分で洗濯しようと思った。
老後の生活資金として、ちゃんと貯めないとね。
兄に口酸っぱく言われていたんだよね。人生何があるか分からないから、金は貯めておけって。金は裏切らないぞ、って。
……一体何があったんだろう……?
ラズロさんが両手に洗濯物を抱えて裏庭にやって来た。
「持って来たぞー」
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「なんでこのせっけん、粉状なんだ?」
「あ、粉にしました。その方が水に溶けやすいので」
「主婦だな?」
「主婦じゃないですよ?」
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しばらく回転させた後、洗濯物に汚れが残ってないかを確認して、水を消す。また水を注いで濯ぎ、汚れた水を消し、もう一度水を注いで濯ぐ。大体二回ぐらい濯げばせっけんは洗い流される。
あ、しまった。
「どうした?」
僕が固まっているのに気付いたラズロさんが聞いてきた。
「いつもはもっと小さいタライで洗濯をしていたので、蓋をして脱水していたんですけど、このタライに合うだけの蓋がないんです」
なるほどな、とラズロさんは納得したように頷くと、ちょっと待ってろよ、と言って何処かに行った。
仕方がないので一つずつ手にして取って絞る。
ちょっとしてラズロさんが木の板を持って戻ってきた。
「ちゃんとした蓋が手に入るまで、これでも使っとけ」
お風呂を作ってる人たちに話してもらって来てくれたらしい。なるほどー。
「ありがとうございます、ラズロさん」
「礼はいらねぇよ。洗濯してもらってんのはこっちだからな」
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兄に口酸っぱく言われていたんだよね。人生何があるか分からないから、金は貯めておけって。金は裏切らないぞ、って。
……一体何があったんだろう……?
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