前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第一章 新しい生活の始まり

003-3

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 翌朝、僕が身だしなみを整えて厨房に行くと、ラズロさんが既にいた。
 僕を見て笑う。

「おはようございます、ラズロさん」

「おぅ」

「ラズロさん、もうお仕事を始めてるんですか?」

「まぁな。人数が足りねぇから、朝から仕込まねぇと終わらねぇ。おまえは気にせず座ってていいぞ、まだ早いだろ」

 そう言ってしょりしょりとじゃがいもの皮を剥いていくラズロさん。

「えっと、朝ごはん作ってもいいですか?」

「おぅ、いいぞー。
調理器具やら皿は自由に使っていいぞ」

「はい、ありがとうございます」

 ベーコンの残りと、コッコが産んだ卵と、最後のパンを食べよう。
 ノグの実もあるし、ノエルさんが見つけてくれたリンゴもあるし。

 卵を見たラズロさんが、「産みたてか。贅沢だなぁ」と言った。

 新鮮な卵は、それだけで本当に美味しいもんね。

 水魔法で卵に付いている汚れを落とし、まな板と包丁を借りてノグの実を刻み、火魔法を使ってフライパンでノグの実を炒める。
 塩を入れて、味付けをし、フライパンにベーコンと卵を落として焼く。

 視線に気が付いて顔を上げると、ラズロさんがぽかんとしている。

「あ、ラズロさんも食べますか? お口にあわないかもですけど」

 ラズロさんは無言で頷いた。

 カップにノグの実のスープを入れて、お皿にベーコンと卵を焼いたものを、半分に分けて取り分ける。
 パンはもうカチカチなので、スープでふやかして食べようっと。
 リンゴは後で切ろう。黄色く変色しちゃうし。

「あの、気にいらなかったら、無理して食べないで下さいね」

 さっき、あんまり考えずに食べますか? なんて聞いちゃったけど、ラズロさんてば本物の料理人なんだよね。
 そんな人に僕の料理を食べさせるとか、今更だけどありえない。うぅ……馬鹿だ、僕。

 ラズロさんは僕の作ったスープをひと口飲む。

「うん、美味い」

「!」

 続けてベーコンと卵を口にする。

「美味い」

 じっと見ている僕に気付いたのか、「何やってる、おまえもとっとと食えよ、冷めるぞ」

 はっとして、僕もベーコンを口にする。

 先に食べ終わったラズロさんは、リンゴを剥いて持ってきてくれた。

「魔法をあんな風に使うとはなぁ」

 あぁ、さっきぽかんとしていたのは、それだったのか。
 それなのに僕は勘違いして、食事に誘っちゃったんだな。

「井戸から水を汲まなくてもいいし、薪を使わなくても火を起こせるなんて、料理人としては完璧な才能じゃねぇか。オレも欲しい」

 ノエルに相談するか、とラズロさんはブツブツ呟きだした。
 まさか、僕の中途半端な魔法を、こんな風に褒められるとは思わなかった。

「おまえ、魔法を後はどんな風に使ってんだ?」

「えーと、日常生活ほぼ全てで使ってます。
洗濯物を洗う時に、水魔法と風魔法を組み合わせますし、早く乾かしたい時とか、髪を乾かす時にも風魔法を使いますね。あと、お風呂に入りたい時は、水魔法と火魔法でお湯を沸かしたり……」

「はぁ?!」

 ラズロさんの声にびっくりしてしまった。

「なんだその便利魔法は!」

 確かに、凄く便利。
 実家にいた時も、僕が洗濯当番やっていたし、お風呂当番もやってた。

「そういえば、王城では、お風呂は何処にあるんですか? 出来たら僕、入りたいんですが……」

 残り湯でいいから入りたい。

「風呂なんて、王族ぐらいしか入れねぇよ。大量の薪と水を使うんだから。オレ達平民は水で濡らした布で身体を拭くぐらいしか出来ねえよ、貴族じゃあるまいし」

 え、お風呂ないのか。
 僕のいた村は、皆が当たり前にお風呂に入ってたんだよね。魔女が村の真ん中に巨大なお風呂を作ってくれて、毎日皆でそこに入ってた。
 ある時マネしてやってみたら、家族が入るぐらいの大きさなら僕の魔力でも何とかなったから、それ以来僕がお風呂を毎日入れてた。
 家族も、今は村のお風呂に入ってるんだろうなぁ。
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