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第一章 神聖国家アルマニア
第8話 新しい仲間
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「あ、あの『純白の聖者』が帰ってきたぞ!」
「確か龍討伐で2日前に向かったばかりなはずだが……?」
「流石ですわ!世界で3人だけのXランクなだけあります!」
急に冒険者ギルドが騒がしくなった。どうやら話題の中心人物はあの真っ白なやつらしい。ノワールが言っていた仲間なのだろうか。
真っ白で高級そうなコートを羽織った人物がこちらに近付いてくる。威風堂々とした姿はまさに神々しい、その一言に尽きる。
ノワールの前に来た途端、足を止める。
「……かなり待ったぞ、ノワール」
水色ミディアムボブの髪をした高身長の男が言う。
「いやぁ、寄り道しちゃってね。でも良いだろう、君とはまるで正反対の才能を持っている。見れば分かるだろう?シエル」
彼はシエルという名前なのか、とツイは理解した。話しかけた方が良いと思い、声をかけようとした瞬間、シエルと呼ばれた男は腰に掛かっている剣を手に取り斬りかかってきた。ツイは瞬時に龍剣に作成し、剣を受け止める。シエルはツイを見下すかのように冷たい目で見た。緊張が2人の間を走る。
「……成る程、貴様の力は理解した」
彼は剣を下ろし、腰の鞘にしまう。ツイは息が荒くなっていた。シエルの圧倒的な腕力に対抗するのに相当な力を使ったのだ。まだ次の攻撃が来るのではと緊張を緩めようとしない。
「先程は済まなかったな。私はシエル=ユニ・マリエ=アンノージュだ」
勝手に自己紹介をされ、手を出して握手をしようとしていた。
「斬りかかってきたあとに握手っていう気分じゃないんですけど」
ツイは正直胡散臭いと思っている。しかしシエルは未だに手を引っ込めようとしない。どうやら頑固のようだ。
ツイは仕方なく、剣を消滅させ握手する。シエルは満足気に超絶イケメンスマイルを浮かべる。周りの女性陣はキャーキャーと奇声をあげていた。
「良かったね、ツイ」
「どこも良くねぇよ」
ツイは先程、剣を交えた瞬間の痺れの余韻が腕に残っていた為か、それを治すように手首を回した。シエルはその間に受付嬢のもとに行く。
「シエルさん!龍討伐は成功したんですか?!」
食い気味に問いただす。シエルは冷めた顔で
「あぁ。龍討伐だと聞きつけて依頼を受けたのだが、残念ながら水竜だったとは思いもしなかった」
しれっと放った言葉だが、「だから帰還が早かったのか」とか「流石に龍討伐を2日は無理だよな」などと周りは勝手に納得していた。
彼は依頼成功の書類にサインを書きながら受付嬢に話す。書類を書き終わった後、龍の証明部位を渡すため受付嬢と共に倉庫へ移動していった。
「なぁ、アイツって何者なんだ?」
シエルを待っているノワールに話しかける。気になって仕方なかったのだ。
「そうだね、君とは正反対の性格で性質も正反対。でも案外似てるかも」
「なんだその矛盾」
ノワールは足を組み直す。
ツイにとって曖昧に返され、モヤモヤしているようだ。
「いずれにしろ、分かるさ」
またもや曖昧な返事である。これ以上聞いても無駄だな、と思いノワールに問うのはやめた。
「ツイ、服を買いに行こう」
「お前、彼女をデートに誘う殺し文句言いやがって、殺意湧いたわ」
シエルが依頼完了の報酬を貰い、ギルドを出て帰る途中に言われた。
確かに実験施設を出てから白い実験服のままだった。別にあんまり目立つ物でもないのだが。
「ローブなんかは如何だろう。気軽な方がツイの戦闘に合っていると思うのだが……」
「僕も服買いたいし賛成!」
勝手に話を進めていく身勝手な神様に仕方なく付いていくことに。
「確か龍討伐で2日前に向かったばかりなはずだが……?」
「流石ですわ!世界で3人だけのXランクなだけあります!」
急に冒険者ギルドが騒がしくなった。どうやら話題の中心人物はあの真っ白なやつらしい。ノワールが言っていた仲間なのだろうか。
真っ白で高級そうなコートを羽織った人物がこちらに近付いてくる。威風堂々とした姿はまさに神々しい、その一言に尽きる。
ノワールの前に来た途端、足を止める。
「……かなり待ったぞ、ノワール」
水色ミディアムボブの髪をした高身長の男が言う。
「いやぁ、寄り道しちゃってね。でも良いだろう、君とはまるで正反対の才能を持っている。見れば分かるだろう?シエル」
彼はシエルという名前なのか、とツイは理解した。話しかけた方が良いと思い、声をかけようとした瞬間、シエルと呼ばれた男は腰に掛かっている剣を手に取り斬りかかってきた。ツイは瞬時に龍剣に作成し、剣を受け止める。シエルはツイを見下すかのように冷たい目で見た。緊張が2人の間を走る。
「……成る程、貴様の力は理解した」
彼は剣を下ろし、腰の鞘にしまう。ツイは息が荒くなっていた。シエルの圧倒的な腕力に対抗するのに相当な力を使ったのだ。まだ次の攻撃が来るのではと緊張を緩めようとしない。
「先程は済まなかったな。私はシエル=ユニ・マリエ=アンノージュだ」
勝手に自己紹介をされ、手を出して握手をしようとしていた。
「斬りかかってきたあとに握手っていう気分じゃないんですけど」
ツイは正直胡散臭いと思っている。しかしシエルは未だに手を引っ込めようとしない。どうやら頑固のようだ。
ツイは仕方なく、剣を消滅させ握手する。シエルは満足気に超絶イケメンスマイルを浮かべる。周りの女性陣はキャーキャーと奇声をあげていた。
「良かったね、ツイ」
「どこも良くねぇよ」
ツイは先程、剣を交えた瞬間の痺れの余韻が腕に残っていた為か、それを治すように手首を回した。シエルはその間に受付嬢のもとに行く。
「シエルさん!龍討伐は成功したんですか?!」
食い気味に問いただす。シエルは冷めた顔で
「あぁ。龍討伐だと聞きつけて依頼を受けたのだが、残念ながら水竜だったとは思いもしなかった」
しれっと放った言葉だが、「だから帰還が早かったのか」とか「流石に龍討伐を2日は無理だよな」などと周りは勝手に納得していた。
彼は依頼成功の書類にサインを書きながら受付嬢に話す。書類を書き終わった後、龍の証明部位を渡すため受付嬢と共に倉庫へ移動していった。
「なぁ、アイツって何者なんだ?」
シエルを待っているノワールに話しかける。気になって仕方なかったのだ。
「そうだね、君とは正反対の性格で性質も正反対。でも案外似てるかも」
「なんだその矛盾」
ノワールは足を組み直す。
ツイにとって曖昧に返され、モヤモヤしているようだ。
「いずれにしろ、分かるさ」
またもや曖昧な返事である。これ以上聞いても無駄だな、と思いノワールに問うのはやめた。
「ツイ、服を買いに行こう」
「お前、彼女をデートに誘う殺し文句言いやがって、殺意湧いたわ」
シエルが依頼完了の報酬を貰い、ギルドを出て帰る途中に言われた。
確かに実験施設を出てから白い実験服のままだった。別にあんまり目立つ物でもないのだが。
「ローブなんかは如何だろう。気軽な方がツイの戦闘に合っていると思うのだが……」
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