人類滅亡の先導者

こあく

文字の大きさ
上 下
8 / 9
第一章 神聖国家アルマニア

第7話 冒険者ギルド

しおりを挟む
神聖国家アルマニアの七大天使と名乗るラミエルとガブリエルの馬車に、現在乗せてもらっている。馬車の中は時空魔法が付与されており、見た目に反して中はかなり広かった。

「貴方達は何故、旅を?」

ラミエルが豪華な椅子に座り、話し出す。

「修行、と言いますか。そのような風習が僕達の村であるのです」

ノワールがでっち上げた嘘を吐きながら、用意された紅茶を啜る。ガブリエルは興味無さそうに頬杖をつき、窓から外を見つめる。
ツイもする事がなく用意された紅茶を飲む。少し舌がピリピリした。ノワールがアイコンタクトで「察しろ」と伝えてきた。どうやら毒のようだ。しかし、龍人であるツイと神であるノワールには効かない。


ラミエルとノワールが話し込んでいる中、ラッパの音が聞こえた。

「ふふ、どうやら着いたようです」

アルマニアの聖都の門が見えてくる。

「そういえば、何故七大天使である貴方が辺境にいらしたのですか?」

馬車が門を抜け、大聖堂に向かう。
ラミエルは口を開く。

「それは、神の啓示で魔王が現れたとのことで調査を」

「……、そうですか。光の神は人類の味方なのですね」

ノワールは微笑んだ。ラミエルもそうです、と相槌を打つ。
ツイはその話を盗み聞きしていたが、何が何だかサッパリだった。



「聖地アルカディアへようこそ。ここはエスペランス大聖堂です。お困りの時はここにお尋ねください。私が対応します。
この国の聖都であるアルカディアには多種多様なギルドがあります。先程見せていただいた腕前ならば資金集めにも困らないでしょう」

「ありがとうございます」

ラミエルの親切心にノワールが感謝する。ツイも一瞥した。ガブリエルは隣でじっとこちらを見ているのを気にしながら。


大聖堂まで送ってもらった後、ラミエルはお礼の品にと金貨10枚をくれた。

「冒険者ギルドに行こう。僕の仲間が先に待っているからさ」

ノワールが冒険者ギルドに向かうのに、付いていく。



「ここはお前らみたいな餓鬼どもがくる場所じゃないぜ、その金置いて出て行きな」

ドアを開けた瞬間に絡まれてしまう。どうやら冒険者ギルドテンプレ展開にに巻き込まれてしまったようだ。ノワールはそれを気にせず受付に向かう。

「おい、無視すんじゃねぇよ!」

その行為が気に入らなかったのか、冒険者は殴りかかってきた。

「一応言っておくけど、僕に触れたら変形するのは君だよ?」

その忠告も聞かず、拳の勢いが加速していく。しかし冒険者の拳はノワールの手に収まる。そして、冒険者は吹っ飛ばされた。ツイは可哀想に、と完全に他人事のようだ。

「冒険者登録したいのですが。あ、2人分お願いします」

受付嬢は無様な姿になった冒険者の姿を一目見たあと、その状態にしたノワールに若干引いている。

「は、はい。ではその水晶に手を置いてください」

ツイは龍の眼で水晶を鑑定する。

冒険者の水晶
分類:魔導具マジックアイテム
冒険者に適する強さがあるかどうかを判断する。水晶の色が変化しないのであれば適さないという事である。

ステータスを確認する為の物ではないことが分かった。ツイやノワールのステータスは異常なのだ、国家単位で狙われる可能性もある。ノワールの場合はその前にこの世界ごと吹っ飛ばすと思うが。

ノワールとツイはその水晶に手を触れた。

「はい、確認いたしました。ではこの紙に基本情報をお書き下さい。代筆は必要ですか?」

ツイは正直自信がなかったが何となくで書いてみる。案外書けるものだった。

職業……剣士?魔法使い?いや、無職か。などと勝手に自分で傷ついている。

「ツイ、僕も前衛と後衛職兼ねてるけど、魔法戦士辺りにしたら?」

ノワールが助言した。ツイはノワールの言われた通り魔法戦士と書き、紙を受付嬢に提出する。

「承りました。ギルドカード2枚発行しますので銅貨4枚が必要です」

そう言われ金貨1枚を渡す。お釣りとして銀貨9枚と銅貨6枚を貰う。

「ではギルドカードです。紛失した場合の再発行は銀貨2枚必要です。お気をつけください」

ギルドカードには最下級のFランクと記載されていた。最高はSとされるが、特例でXランクを設けられている。Xランクは全世界で現状は3人しかいない。
ノワール曰く、冒険者ギルドは国家間を超えた世界共通のものなのだとか。国境を簡単に超えられるのが利点だ。



「さて、僕のお友達がそろそろご登場だよ」

ノワールがギルドの扉を見つめて言う。何を言っているかツイには分からなかった。

ドアがバンっと勢い良く開いた。その瞬間、純白が見えた。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

処理中です...