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第1世界 ニルヴァニア
第3話 新事実と魂
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分厚い攻略本と呼ぶに等しいものを読み終え、猪の肉(正確には魔物)を食べ、徹夜した異世界初の夜を終えた。
「で、読み終えたからチートとハーレムをくれ」
「前者はプレゼントするけど後者は自分で得てナンボじゃないの?」
と正論で返されてしまった。ツイは万年オタク廃人であり彼女など存在しない。別にルックスが他の人に劣っているわけではないのだが、ネット民と化しリアルではコミュ障を患っていたからである。ほぼ自業自得だ。
「そもそも自分のステータス確認した?多分ある程度強いと思うけど」
昨日の余りであるハングリーボア(攻略本に載っていた魔物)の串焼きをムシャムシャと食べながらノワールは言う。一方食が細いツイはそれを眺めながら攻略本のページを読む。
「脳内で確認……」
脳内でステータスを思い浮かべてみる。
ツイ
Lv.1
種族:人造龍
職業:無職
HP 300
MP ∞
力 120
知力 1億万
精神力 90
敏捷 60
体力 30
防御力 250
運 100
下位スキル
身体強化 Lv.1
魔力出力強化 Lv.1
自己再生 Lv.1
高位スキル
龍術式 Lv.1
召喚魔法 Lv.1
時空魔法 Lv.1
龍の眼
固有スキル
神脈:固有名『龍脈』
天才
超記憶
幸運王
「やっぱりチートだねー、にしても予想外だよ。あ、でもやっぱりもやし部分は引き継いでる」
「いや、おかしいだろ!そもそも種族が人間でもないから!」
ノワールは神の権能の様なものでツイのステータスを見透かす。さらっと毒も吐いたが。相変わらずツイは叫んで訴えた。どうやらステータスの状況が読み込めていない様だ。
「まず1つ目、ツイは人間ベースじゃなくて龍がベースなんだよ。ツイは……心臓部、いや……全臓器が移植されてるねー」
ノワールがツイの身体をじっと見つめる。ツイは若干引き気味だ。
「おい、龍の臓器移植されてるのになんで俺は人型なんだ?この後龍になるとかないよな……?」
ツイは慌てふためきながらノワールに問いただす。
「人型になれる高位の龍の臓器が移植されたんだろう。臓器の形は維持されてるから急に龍になるとかはないけど、龍になれるスキルは手に入るかもね」
「なるほど……。で、この神脈と天才と幸運王がこのブッ壊れMPと知力と運に関係あんだろ、教えてくれよ」
ノワールはまだツイを凝視していた。しかし今度は心臓部分を見つめて。
「神脈は魔力の源泉だ。渓谷や深淵に本来は存在するんだけど、生命に宿るのは珍しいかな。僕みたいな唯一神は『神脈自体』だし。
あとの2つは前世に関係してるんじゃないかな」
そう言うとノワールは手を出して、自身の身体から黒い粒子のような物を出現させた。
「確かに頭と運は良かった…のか?」
「いや、疑問形で返されても」
一人でステータス相手にツッコミを入れたり自問自答したり、疑問形で返されたりと、側から見れば変人にしか見えない。ノワールは苦笑して返答した。
「で、欲しいものは決まった?」
最も聞きたかった本題にノワールは入る。
ツイはそう言われた瞬間、悩み始める。まだ決まっていなかったようだ。
「候補は成長促進スキル、転職自由スキル、解析スキル、鍛治スキル、付与スキル……」
「うん、多いね。というか気合いで取得できそうなものばっかりなんだけど」
ノワールの一言に驚くツイ。必死に考えて出た案が全て却下されるなど思っても見なかったのだろう。
「じゃ、唯一神様の案は?」
頭をフル回転させた案達なのだ。もっと良い案があるのだろうと挑発している。しかしノワールには秘策があるのかニヤけて、こちらを見てきた。
「魂の制限を解除してあげる」
ノワールはツイの心臓部分を指で突っつく。
「は?」
ノワールが出した案をツイは理解出来なかった。ノワールは真剣なようだが、どうやら伝わっていないようだ。
「君の魂は強大な力を持つ。しかし残念ながら戒めにより制限されている。それを解除するのさ」
「メリットはあんのかよ?」
「さぁ?僕も知らない。強い力は手に入ると思うけど」
ノワールはその内容をあやふやにした。
「はぁ?確信もないのに一回限りの神様の力を使えと。無理な話だな」
ツイは拒む。しかしその言葉はノワールには通じていない。
「否定されても僕がやりたいからやるけど」
ノワールは握っていた手を開き、ツイの心臓部分に差し込む。魂に干渉しているのだ。
「俺の人権は無視かよ!?」
またまた訴えるように叫ぶが、ノワールは御構い無し。
ツイは魂に干渉されてもなお、通常の状態だ。
「…厄介だなぁ…」
ブツブツと独り言を呟くノワール。ツイは話しかけたが反応がない為、ジッとしているしかなかった。
ノワールが魂と格闘すること1時間。ようやく魂から手を引き抜いたあと、倒れた。
「おい、大丈夫か……?」
ツイは恐る恐る倒れているノワールを覗く。満足気に笑顔を浮かべ、目を瞑っていた。
「久し振りに手こずった。無理矢理引き剥がしたけど制限は取れてるはず。あとは君自身でなんとかしてねー」
そう言い、完全に睡眠状態に移行してしまう。どうにかしろと言われても何をすべきなのか分からないままでいるツイだった。
「で、読み終えたからチートとハーレムをくれ」
「前者はプレゼントするけど後者は自分で得てナンボじゃないの?」
と正論で返されてしまった。ツイは万年オタク廃人であり彼女など存在しない。別にルックスが他の人に劣っているわけではないのだが、ネット民と化しリアルではコミュ障を患っていたからである。ほぼ自業自得だ。
「そもそも自分のステータス確認した?多分ある程度強いと思うけど」
昨日の余りであるハングリーボア(攻略本に載っていた魔物)の串焼きをムシャムシャと食べながらノワールは言う。一方食が細いツイはそれを眺めながら攻略本のページを読む。
「脳内で確認……」
脳内でステータスを思い浮かべてみる。
ツイ
Lv.1
種族:人造龍
職業:無職
HP 300
MP ∞
力 120
知力 1億万
精神力 90
敏捷 60
体力 30
防御力 250
運 100
下位スキル
身体強化 Lv.1
魔力出力強化 Lv.1
自己再生 Lv.1
高位スキル
龍術式 Lv.1
召喚魔法 Lv.1
時空魔法 Lv.1
龍の眼
固有スキル
神脈:固有名『龍脈』
天才
超記憶
幸運王
「やっぱりチートだねー、にしても予想外だよ。あ、でもやっぱりもやし部分は引き継いでる」
「いや、おかしいだろ!そもそも種族が人間でもないから!」
ノワールは神の権能の様なものでツイのステータスを見透かす。さらっと毒も吐いたが。相変わらずツイは叫んで訴えた。どうやらステータスの状況が読み込めていない様だ。
「まず1つ目、ツイは人間ベースじゃなくて龍がベースなんだよ。ツイは……心臓部、いや……全臓器が移植されてるねー」
ノワールがツイの身体をじっと見つめる。ツイは若干引き気味だ。
「おい、龍の臓器移植されてるのになんで俺は人型なんだ?この後龍になるとかないよな……?」
ツイは慌てふためきながらノワールに問いただす。
「人型になれる高位の龍の臓器が移植されたんだろう。臓器の形は維持されてるから急に龍になるとかはないけど、龍になれるスキルは手に入るかもね」
「なるほど……。で、この神脈と天才と幸運王がこのブッ壊れMPと知力と運に関係あんだろ、教えてくれよ」
ノワールはまだツイを凝視していた。しかし今度は心臓部分を見つめて。
「神脈は魔力の源泉だ。渓谷や深淵に本来は存在するんだけど、生命に宿るのは珍しいかな。僕みたいな唯一神は『神脈自体』だし。
あとの2つは前世に関係してるんじゃないかな」
そう言うとノワールは手を出して、自身の身体から黒い粒子のような物を出現させた。
「確かに頭と運は良かった…のか?」
「いや、疑問形で返されても」
一人でステータス相手にツッコミを入れたり自問自答したり、疑問形で返されたりと、側から見れば変人にしか見えない。ノワールは苦笑して返答した。
「で、欲しいものは決まった?」
最も聞きたかった本題にノワールは入る。
ツイはそう言われた瞬間、悩み始める。まだ決まっていなかったようだ。
「候補は成長促進スキル、転職自由スキル、解析スキル、鍛治スキル、付与スキル……」
「うん、多いね。というか気合いで取得できそうなものばっかりなんだけど」
ノワールの一言に驚くツイ。必死に考えて出た案が全て却下されるなど思っても見なかったのだろう。
「じゃ、唯一神様の案は?」
頭をフル回転させた案達なのだ。もっと良い案があるのだろうと挑発している。しかしノワールには秘策があるのかニヤけて、こちらを見てきた。
「魂の制限を解除してあげる」
ノワールはツイの心臓部分を指で突っつく。
「は?」
ノワールが出した案をツイは理解出来なかった。ノワールは真剣なようだが、どうやら伝わっていないようだ。
「君の魂は強大な力を持つ。しかし残念ながら戒めにより制限されている。それを解除するのさ」
「メリットはあんのかよ?」
「さぁ?僕も知らない。強い力は手に入ると思うけど」
ノワールはその内容をあやふやにした。
「はぁ?確信もないのに一回限りの神様の力を使えと。無理な話だな」
ツイは拒む。しかしその言葉はノワールには通じていない。
「否定されても僕がやりたいからやるけど」
ノワールは握っていた手を開き、ツイの心臓部分に差し込む。魂に干渉しているのだ。
「俺の人権は無視かよ!?」
またまた訴えるように叫ぶが、ノワールは御構い無し。
ツイは魂に干渉されてもなお、通常の状態だ。
「…厄介だなぁ…」
ブツブツと独り言を呟くノワール。ツイは話しかけたが反応がない為、ジッとしているしかなかった。
ノワールが魂と格闘すること1時間。ようやく魂から手を引き抜いたあと、倒れた。
「おい、大丈夫か……?」
ツイは恐る恐る倒れているノワールを覗く。満足気に笑顔を浮かべ、目を瞑っていた。
「久し振りに手こずった。無理矢理引き剥がしたけど制限は取れてるはず。あとは君自身でなんとかしてねー」
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