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家庭科室

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五人は特に問題無く家庭科室に到着していた。

「警戒してたけど特に何も無かったね。さ、冷蔵庫でも確認してみようか?」
そういうと家庭科室に備えられている冷蔵庫に向かいだした猿渡。

「おっ、冷蔵庫中々すごいぞ!」
手招きをする猿渡。他の四人も寄る。
冷蔵庫を覗くと玉子や肉、野菜等の一通りの品が入っていた。

「すごいな、何でもあるじゃん。」

「でもこれ大丈夫なのか?毒とか…。」
不安そうな異世。

「うーん…。それは考えてもなかったな。上川君、どう思う?」

「…大丈夫だと思うが…。」

「不安ならまずうちが食べてみるよ!毒味ってやつだね!」
笑顔の中西。

「怖くないのですか?」
瀧田が中西の顔を覗き込む。

「うーん…怖くないって言うと嘘になるけど大丈夫だよ!任せて任せて!」

「じゃあ僕が簡単な料理を作るから味見して貰ってもいいかな?」

「お腹すいてるから全部食べちゃうよ!」
にかっと笑う中西。

「ははっ!面白いね!じゃあ少し待ってて!瀧田さんは問題無いことがわかってから手伝って貰ってもいいかな?」

「わかりました。待機します。」

「よし、じゃあ早速作るよー!」
そう言うと家庭科室の棚をあさりだしエプロンを見つけ身に着ける猿渡。

「おおっ!ちゃんとエプロンするんだね!」

「もちろん!さぁ少し待っててね!」

「怪我とかするなよ。」

「ありがとう上川君!」
(そこからは早かった。玉子を割り調味料を加え混ぜたかと思えば準備していたフライパンで刻んだ鶏肉と合えながら焼き、またいつの間にか皿に並べられた野菜の上に料理が置かれた。)

「よし、簡単で早くて肉も野菜も玉子も使ったから毒味としては完璧だと思うよ!」
笑う猿渡。

「…ここまで上手いとは思わなかった。」

「ありがとう!さ、冷めないうちに中西さんどうぞ!」

湯気の出ている料理を目の当たりにしごくりと喉を鳴らす中西。
「美味しそう…。ちなみにこれはなんて料理?」

「え?今即興で作ったからなぁ。名前はないよ!」

「じゃあうちが名前付けていい?」

「もちろん!」

「猿渡君オリジナルの玉子料理だから猿渡エッグだね!」

「そのまんまじゃないか!」
猿渡のツッコミに笑う一同。

「じゃあ頂きます!」
手を合わせ準備された箸で料理をつまむ中西。

「どう…?」
無言で咀嚼する中西。そのまままた一口つまむ。

「中西さん…?」

「……美味しい!!すごいよこれ!何入れたの!?」
目を輝かせる中西。

「そこまでよろこんでくれたら嬉しいな…!塩胡椒と牛乳を入れたよ!」

「塩胡椒と牛乳…?うちが家でオムレツ作る時と同じだ……。何でこんなに美味しいの!?」

「鶏肉の油を玉子が吸ったから美味しいんだよ。味付けは胡椒を強めに振ってるから野菜ともバッチリ合うと思うよ!」

「本当だ…!野菜と一緒に食べるとすごく美味しい…!」

「お、俺もそれ食いたい!」
「俺もだ。」
上川と異世が中西に近寄る。

「駄目!毒味はうちの仕事だもーん!」

「ぐっ…!でもこれはずるいぞ!」

「あはは、ありがとうみんな。もしこの後十分くらいまっても問題なければ毒とかは心配いらないってことでいいならみんなの分も作るよー!」

「マジか!やったぜ隆一!」

「これは嬉しいな。」

「瀧田さんも食べるかい?」

「よろしければ是非。」

「わかったよ!その代わり一つだけ条件がある。」
真剣な顔付きになる猿渡。

「状況…?」
その顔を見て一同からも笑みが消える。

「一つだけ約束をして欲しい。」

「なんの約束だ……?」


間を置いて口を開く猿渡。
「職員室のみんなには秘密だよ。先に食べたって知ったら文句言うかもだからね!」
笑顔になる猿渡。

「何だよそんなことか!」

「ははは、ごめん少しからかってみたんだ。でも秘密にしてた方が多分いいよ。一部の人は本当に文句を言いそうだからね。」
苦笑する猿渡。

「そうだな。みんなそのくらいなら守れるよな?」
上川の問いに対し全員が首を縦に降る。

「よし、じゃあ少しだけ待って中西さんに問題がなければみんなの分を作るからそれまでは待ってね!」
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