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ちょび

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開幕

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上川は一歩廊下に踏み出し、辺りを見回す。
「圭樹、大丈夫だ。誰も居ない。」
そう言ってちらりと異世を見ると、覚悟を決めたのか異世も廊下へと出てきた。

「ただの廊下だな……。」

「右は行き止まりだな。どうやら端の教室だったみたいだ。」

不安そうにキョロキョロとする異世。
「とりあえず左に…行くか。」

「あぁ、行こうか…。」
(……多分俺の学校…だよな。
全部見ないと確信は持てないけどこの廊下…。)

「他の教室は開かないし誰も居ないみたいだ。」
他の教室のドアを開けようとしながら進む異世。

(確かに窓から覗いても中には誰も居ないな……。どういう状況なんだ?本当にわからない…。)

突き当りまで警戒しながら進む二人。
突き当りで左に曲がり驚く二人。

「なっ…!」

「これは…。」
そこには上下階段が存在したが、上への通路には有刺鉄線がビッシリと巻き付いた複数の何かで妨げられていた。

「何だこれ……!?何かに何かが巻きついてる……?」

「…有刺鉄線だな。触ると怪我するぞ。」

「そうなのか……!?これ、しっかりどこかと固定されててどかせそうにないな。」
箒で突きながら怪訝そうな顔をする異世。

「近くで見てみよ…っつ!!」
からん。と箒を落とし屈む異世。

「どうした!?」

「いってぇ…。少し血が出た…。」

「血…!?」
(よくみたら階段自体にも有刺鉄線がひかれている……!)

「大丈夫か?…今気付いたけど俺達上靴なんだな。立てるか?」

「あぁ…本当だ。上靴を貫通して何か刺さったみたいだけどもう大丈夫だ。」


箒を拾い立ち上がる異世。

「圭樹、階段にも有刺鉄線がひいてある。上は無理だ。」

「うおっ…!本当だ。これが刺さったのか……。てことは…下に行くしかないのか……。」
目が泳ぐ異世。

「圭樹…?」

「…誘導されてるみたいで怖くないか?」

(確かにこの状況だと下にしか行けないからな…。)
「あぁ、俺も危険な気がする…けど戻るのか?あの教室に。」

「うーん……。」

「戻っても何も出来ないぞ?それなら進まないか?下に。」

「そうだな…。進むしかないか…。よし、降りよう。」

「…気を付けながらいこう。」
コツ…コツと慎重に一歩ずつ階段を降りる二人。

「一階に着いたな。」

「え…?」
少し驚いた表情で上川を見る異世。

「どうした……?」

「何でここが一階だってわかるんだ?」

「あぁさっき俺達が出た教室がニの五って書いてただろ?」

「そうなのか…?見てなかった。」

「おいおい……。まぁそれでこの学校多分俺達の学校ぽいからさ、その造りで想像したんだよ。」

「言われてみればここ俺達の学校に似てるな…。」

「だろ?そしてそれなら三階建てで上から三年、二年、一年だったろ?だから二年の教室から降りたってことは一年の教室のある一階だと思ったんだよ。」

「なるほどな。てことはもう出られるんじゃないか?」

「あぁ。その可能性は高い。慎重に…でも急ぐぞ!」
出口のある方向を目指す二人。
しかし、出口もまた有刺鉄線で防がれていた。

「くそっ……!マジか!!」

「……最悪だな。どうする?」

「窓…割ってみるか?」

「俺らに何かをした奴らもこれなら外には行っていない可能性が高い…。」

「……割ったらバレるって事か。」

「あぁ…でも今は姿が見えない。危険だけどやる価値はある。」

「危険……か。まぁそうだよな。」

「圭樹…やるか?」

「隆一……。やろう、そして逃げよう。」

「……わかった。下がってくれ。」

(思い切り割らないと中途半端に割っても危なくてすぐ出れないからな…。)
思い切り箒を振りかぶる上川。

「りゅ、隆一…?そんなに思い切り…。」
「っりゃ!!」
ガン!!
と音が響いたが窓は割れていない。

「なっ…!!」
(わ、割れない…!?嘘だろ!? )

「隆一!?何やってんだ!」

「思い切りやった!でも割れない!」
また窓に箒を叩きつける上川。
しかし音が響くだけで一切割れない。

「隆一!一回考えよう!音が響きすぎだ!」

「そ、そうだな。悪い。」


その時だった。


「おい、何してんだお前等。」


「だ、誰だ!!」
背後から不意に二人に声が掛かった。
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