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大学時代
②失恋と新たな決意(2)
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私が失恋してショックを受けていた頃。兄はあの美人な舞さんと連絡先を交換し、たまに一緒に出かけているらしい。デートじゃん、と思って付き合っているのか聞いたら『不利になるから付き合えない』と言われたらしい。よく分からないし、兄も理解していないみたいだけれど、『時期が来たらちゃんと私から告白する』とも言われたらしいので、まいっかと思っているのだとか。そして、『最近時間があって何をしようか考え中だ』という話をしたら、『秘書検定とかどうかな?』と言っていたという。理由を聞いても『資格あった方が有利じゃないかな?』と言うだけで、なぜ『秘書検定』なのかは教えてくれないらしい。それでも兄は『舞さんがそう言うなら』と秘書検定を受けることにしたと教えてくれた。そして、『美紗も受けたら? 暇でしょ』と言っていたので一緒に受験することにした。
そしてそれを白川にも言った。以前、友人たちに恋人ができて一緒に遊ぶ機会が最近少なくなっていること、それにより自分の時間が前以上に増えていることを話した。何をして過ごせばいいだろうかと相談したら、『運動するとか?』、『小説書いてみたら?』などと色々と案を出してくれた。運動は最近はじめて、少しずつ体力がついてきているように感じる。そして小説を書くのは、本を読む方が好きなのでその提案は今は実行に移していない。こんなふうに、自分の時間の過ごした方を一緒に考えてくれたので、絶対に伝えないといけないと思っていた。
バイトが終わった後。一緒にご飯を食べに行ったのでそこで話した。
「私さ、前、自分の時間増えてどうしようって言ったじゃん」
「言ってたね」
「運動以外にもやることできた!」
「何?」
「秘書検定受ける!」
「秘書検定?」
「そう。兄ちゃんも暇らしくて『秘書検定受ける』って言ってたから私も受けるーって」
「ふーん。でもなんで秘書検定?」
「兄ちゃんの好きな人が受験を勧めて、それでなんか受けるらしいよ、詳しくはよく知らないけど」
「へえ、そうなんだ。まあ、頑張れ」
最初は少し驚いた顔をしていたけれど、最後には応援の言葉をくれた。
それからは、秘書検定について調べたり、兄と一緒に勉強をしたりして力をつけていった。試験当日は緊張した。けれど、『休憩中も頑張ってたんだ。お前なら大丈夫だろ』と白川に言ってもらえたことを思い出したら、リラックスできた。そして2人とも無事に合格した。そして学生時代の1級合格を目指し2人でさらに頑張ると約束した。そしてそのことを白川に話したら、『へえ、すごいじゃん』と言って焼肉を奢ってくれた。ああ、なんか、白川のこと好きになりそう。だって、私の話聞いてくれるし、優しいし。意地悪だけどいつも私を応援してくれるし。でも、今は失恋の傷が癒えていないだけだ、だから近くの男の人が気になるんだ、と思った私は、白川へのこの気持ちに名前をつけるのはやめた。
そして大学時代に2人とも無事に1級に合格し白川にも報告した。そうしたら『すげえじゃん』と言って素敵な腕時計をくれた。今まで何もあげたことがないしもらったこともないので困惑していたら、『気にすんな。俺があげたいだけ』と言ってくれたのでありがたくもらうことにした。そして卒業後のことを聞かれたので『シラカワコーポレーションに就職が決まった』と報告したら、『お前マジすげえ』と言って名刺入れをくれた。私も何かお返しがしたいと思って、これからどうするのかと白川に聞いたら『どこに行くかは内緒』と言われてしまった。でも就職は決まっているらしいので、お祝いとしてネクタイをあげた。そうしたら、『お前、マジかよ』と真顔で言った後、『絶対に他の奴にはあげるなよ』と言われ、『はい』と言うまで肩から手を離してくれなかった。まあ、そんなこんなで白川とは就職祝いをしたし、その後のバイトも楽しく過ごした。そして大学卒業と同時にカフェのバイトを辞めた私は、あることを後悔していた。
「白川に連絡先聞くの、忘れてたー!!」
「おい、うるさい」
実家で騒いでいたら、兄に怒られたけれどそんなのに構っている暇はない。高校卒業の時に聞くのを忘れ、反省して今回は聞こうと思っていたのに! 大学生になって再会できたのは奇跡なのに。松暮さんに聞こうと思ったけれど、向こうから聞いてきたことがないってことは私が聞いても教えてくれないのでは? という思考になり、結局聞くのをやめた。あーあ。もう会えないのかな。そう思ったら涙が出て来たけれど、白川にもらった腕時計と名刺入れを大事に抱きしめた後、涙を拭って引越しの準備を再開した。
そしてそれを白川にも言った。以前、友人たちに恋人ができて一緒に遊ぶ機会が最近少なくなっていること、それにより自分の時間が前以上に増えていることを話した。何をして過ごせばいいだろうかと相談したら、『運動するとか?』、『小説書いてみたら?』などと色々と案を出してくれた。運動は最近はじめて、少しずつ体力がついてきているように感じる。そして小説を書くのは、本を読む方が好きなのでその提案は今は実行に移していない。こんなふうに、自分の時間の過ごした方を一緒に考えてくれたので、絶対に伝えないといけないと思っていた。
バイトが終わった後。一緒にご飯を食べに行ったのでそこで話した。
「私さ、前、自分の時間増えてどうしようって言ったじゃん」
「言ってたね」
「運動以外にもやることできた!」
「何?」
「秘書検定受ける!」
「秘書検定?」
「そう。兄ちゃんも暇らしくて『秘書検定受ける』って言ってたから私も受けるーって」
「ふーん。でもなんで秘書検定?」
「兄ちゃんの好きな人が受験を勧めて、それでなんか受けるらしいよ、詳しくはよく知らないけど」
「へえ、そうなんだ。まあ、頑張れ」
最初は少し驚いた顔をしていたけれど、最後には応援の言葉をくれた。
それからは、秘書検定について調べたり、兄と一緒に勉強をしたりして力をつけていった。試験当日は緊張した。けれど、『休憩中も頑張ってたんだ。お前なら大丈夫だろ』と白川に言ってもらえたことを思い出したら、リラックスできた。そして2人とも無事に合格した。そして学生時代の1級合格を目指し2人でさらに頑張ると約束した。そしてそのことを白川に話したら、『へえ、すごいじゃん』と言って焼肉を奢ってくれた。ああ、なんか、白川のこと好きになりそう。だって、私の話聞いてくれるし、優しいし。意地悪だけどいつも私を応援してくれるし。でも、今は失恋の傷が癒えていないだけだ、だから近くの男の人が気になるんだ、と思った私は、白川へのこの気持ちに名前をつけるのはやめた。
そして大学時代に2人とも無事に1級に合格し白川にも報告した。そうしたら『すげえじゃん』と言って素敵な腕時計をくれた。今まで何もあげたことがないしもらったこともないので困惑していたら、『気にすんな。俺があげたいだけ』と言ってくれたのでありがたくもらうことにした。そして卒業後のことを聞かれたので『シラカワコーポレーションに就職が決まった』と報告したら、『お前マジすげえ』と言って名刺入れをくれた。私も何かお返しがしたいと思って、これからどうするのかと白川に聞いたら『どこに行くかは内緒』と言われてしまった。でも就職は決まっているらしいので、お祝いとしてネクタイをあげた。そうしたら、『お前、マジかよ』と真顔で言った後、『絶対に他の奴にはあげるなよ』と言われ、『はい』と言うまで肩から手を離してくれなかった。まあ、そんなこんなで白川とは就職祝いをしたし、その後のバイトも楽しく過ごした。そして大学卒業と同時にカフェのバイトを辞めた私は、あることを後悔していた。
「白川に連絡先聞くの、忘れてたー!!」
「おい、うるさい」
実家で騒いでいたら、兄に怒られたけれどそんなのに構っている暇はない。高校卒業の時に聞くのを忘れ、反省して今回は聞こうと思っていたのに! 大学生になって再会できたのは奇跡なのに。松暮さんに聞こうと思ったけれど、向こうから聞いてきたことがないってことは私が聞いても教えてくれないのでは? という思考になり、結局聞くのをやめた。あーあ。もう会えないのかな。そう思ったら涙が出て来たけれど、白川にもらった腕時計と名刺入れを大事に抱きしめた後、涙を拭って引越しの準備を再開した。
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