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第五章 私は道具
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「……ううっ」
テレビで配信の映画を観ながら、お腹を押さえてソファーで丸くなる。
夕方からずっと、お腹が痛い。
ちょうど時期だし、嫌な予感がする。
でも、そうじゃなかったらいいと強く願った。
温めれば治まるんじゃないかとおそるおそるお風呂に入る。
でも鈍い痛みは続くばかり。
「……はぁーっ」
「ただいまー」
憂鬱なため息をついて上がったタイミングで、海星さんが帰ってきた。
「おかえりなさい」
「ん、ただいま」
私の頬に触れ、口付けしかかって彼が止まる。
「花音、なんか怒ってるのか」
普通にしてるはずだった。
なのに彼は気づいてしまうなんて。
「あー、えと。
なんでもない、です」
笑って誤魔化したところで、じわりとなにかが漏れ出した感覚があった。
「あの、えっと。
ちょっと、トイレ……」
そろりと離れ、トイレに駆け込む。
便器に座り脱いだ下着を確認すると、赤く汚れていた。
「……はぁーっ」
大きな失望でため息が落ちていく。
妊娠、できなかった。
海星さんは怒鳴ったりしないだろうが、それでも落胆させるんだろうな。
彼のがっかりした顔を想像したら悲しくなってくる。
早く私が妊娠して、彼を社長にするって誓っていたのに。
なんで私、こんなに役立たずなんだろう。
「花音?
どうした、具合でも悪いのか?
それともそんなに俺の顔が見たくないのか?」
ノックとともに海星さんの声が聞こえてきて自分が随分長い時間、トイレにこもっていたのだと気づいた。
「あっ、なんでもないですよ」
慌てて汚れた下着にナプキンを当てるだけして水を流す。
先週、ふたりで運べる荷物はほとんど運んでしまっていてよかった。
「本当になんでもないのか」
出てきて手を洗う私の背後に海星さんがぴったりとくっつく。
「心なしか、顔色が悪い気がするし……」
心配そうに彼は、眼鏡の下で眉を寄せていた。
「大丈夫ですよ、全然」
体調もメンタルも最悪だが、病気ではない。
「本当か。
なにか言いたいことがあるなら、はっきり言ってくれ」
私をソファーに座らせ、海星さんはレンズ越しに真っ直ぐ私を見た。
私の体調を気遣ってくれた。
なにか心当たりがあるわけでもないのに、怒っているのなら話してくれと理由を聞いてくれる。
こんな優しい人をがっかりさせたくない。
でもこれは、彼の問題でもあるわけで、黙っているわけにはいかない。
「その」
「うん」
口を開いたものの言葉は喉に詰まってなかなか出てこない。
けれど海星さんは辛抱強く待ってくれていた。
「せ、……生理が、きて」
「うん?」
なにを言われているのかわかっていないのか、海星さんはそのまま考え込んでいる。
少ししてなぜか突然、抱き締められた。
「あの……」
「ごめん」
唐突に謝られ、わけがわからない。
「俺は花音に、酷く重いプレッシャーを与えていたんだな」
彼の声は後悔に染まっていた。
「妊娠できなくて申し訳ない、とか考えていたんだろ?」
「……はい」
図星なだけに正直に頷いた。
「いいんだ、妊娠できなくたって。
子供は神様からの授かり物だ、こんなに簡単にできるとは思ってない」
「でも……」
海星さんは社長になりたいのだと言った。
その理由は尊敬できるものだったし、私も彼を絶対に社長にするのだと誓った。
なのに妊娠できなくてもいいと言われても戸惑ってしまう。
「なにがなんでも絶対に社長になりたいわけじゃない。
なれなかったらなれなかったで、どうやったら被害を最小限に抑えられるか考えればいいだけだ。
だからそんなに、花音が責任を感じる必要はない」
私を抱き締める彼の腕は優しい。
「そんな優しいこと言われたら、泣きそうになるじゃないですか」
出てきそうな涙を、鼻を啜って誤魔化す。
それでも私の声は鼻声になっていたが。
「そうか、すまん」
意外そうにまた、海星さんが謝る。
「私は海星さんが社長になるために、子供を産む道具です。
海星さんが社長になれなかったら、存在意義がないんです。
だからそんなこと言わないでくださいよ……」
私はそれだけの存在。
その役割があるから、海星さんに甘やかされる資格があるのだ。
なのに私の存在意義を否定するようなことを言わないでほしい。
「花音は道具なんかじゃない。
俺にとって大切な存在だ。
花音のご両親に言っただろ、花音を愛してる、って。
あの言葉に嘘偽りはない」
私を逃さないかのように、さらに彼の腕に力が入った。
「道具に愛してるなんて言わないでください」
「嫌だ。
花音は道具じゃない。
俺は花音を愛している」
抜け出そうと身を捩るが、彼は私を離してくれない。
「……愛してるなんて、嘘」
「花音?」
腕を緩め、海星さんは私の顔を見た。
「海星さんも都合のいいときだけそう言って、用済みになったら私を捨てるのでしょう?」
あっという間に彼の顔が悲しげに歪んでいく。
それを見て心が痛んだが、気づかないフリをした。
「そうそう簡単に心の傷は治らない、か。
まあ、そうだよな。
俺も似たようなもんだし」
淋しそうに彼が笑い、錐でも捻じ込まれたかのように胸が鋭く痛む。
「俺は花音を捨てたりしない。
俺はそれだけ花音を愛しているからな。
神に……いや。
花音に誓う」
海星さんの声はどこまでも真剣だ。
「もし、嘘だったときは……」
私の両手を取り、彼は自分の首を掴ませた。
「この手で、俺の息の根を止めてくれ。
憲司に、花音が罪に問われないように上手くやるように頼んでおく」
そうしろと言わんばかりに彼が私の手の上から自分の首を軽く絞める。
怖くなって慌てて振りほどいて手を離した。
「それで。
生理がきたんだっけ?
腹は痛くないか」
少しふざけるように海星さんが急に心配しだし、張り詰めていた空気が急に緩んだ。
「あ……。
えっと、はい」
「少しでもリラックスできるようにホットミルクでも淹れてやるよ。
牛乳、あったよな?
いやー、花音が一緒に住むようになっていろいろ入れてもらえるようになって、冷蔵庫も本望だよな」
謎な台詞を吐きながら海星さんは立ち上がってキッチンへ消えていった。
「……はぁーっ」
ひとりになり、腰が抜けたかのようにぐったりと背もたれにもたれかかる。
さっきのはいったい、なんだったんだろう?
嘘だったら殺してくれだとか。
あれが本当だとしたら、愛が重すぎる。
「……愛してる、か」
海星さんが私を捨てたりしないって本当はわかっている。
でも、彼の手を取るのが怖い。
彼を好きになってしまったら次、捨てられたときに立ち直れなくなる。
それでなくてもこの結婚は、彼が社長になるために子供を産むのに付随したものだ。
――もし、一士本部長の奥様が私より先に妊娠し、海星さんが社長になれなかったら?
それこそ私は用済みだ。
だからこそ、素直に彼の気持ちを受け入れられない――。
テレビで配信の映画を観ながら、お腹を押さえてソファーで丸くなる。
夕方からずっと、お腹が痛い。
ちょうど時期だし、嫌な予感がする。
でも、そうじゃなかったらいいと強く願った。
温めれば治まるんじゃないかとおそるおそるお風呂に入る。
でも鈍い痛みは続くばかり。
「……はぁーっ」
「ただいまー」
憂鬱なため息をついて上がったタイミングで、海星さんが帰ってきた。
「おかえりなさい」
「ん、ただいま」
私の頬に触れ、口付けしかかって彼が止まる。
「花音、なんか怒ってるのか」
普通にしてるはずだった。
なのに彼は気づいてしまうなんて。
「あー、えと。
なんでもない、です」
笑って誤魔化したところで、じわりとなにかが漏れ出した感覚があった。
「あの、えっと。
ちょっと、トイレ……」
そろりと離れ、トイレに駆け込む。
便器に座り脱いだ下着を確認すると、赤く汚れていた。
「……はぁーっ」
大きな失望でため息が落ちていく。
妊娠、できなかった。
海星さんは怒鳴ったりしないだろうが、それでも落胆させるんだろうな。
彼のがっかりした顔を想像したら悲しくなってくる。
早く私が妊娠して、彼を社長にするって誓っていたのに。
なんで私、こんなに役立たずなんだろう。
「花音?
どうした、具合でも悪いのか?
それともそんなに俺の顔が見たくないのか?」
ノックとともに海星さんの声が聞こえてきて自分が随分長い時間、トイレにこもっていたのだと気づいた。
「あっ、なんでもないですよ」
慌てて汚れた下着にナプキンを当てるだけして水を流す。
先週、ふたりで運べる荷物はほとんど運んでしまっていてよかった。
「本当になんでもないのか」
出てきて手を洗う私の背後に海星さんがぴったりとくっつく。
「心なしか、顔色が悪い気がするし……」
心配そうに彼は、眼鏡の下で眉を寄せていた。
「大丈夫ですよ、全然」
体調もメンタルも最悪だが、病気ではない。
「本当か。
なにか言いたいことがあるなら、はっきり言ってくれ」
私をソファーに座らせ、海星さんはレンズ越しに真っ直ぐ私を見た。
私の体調を気遣ってくれた。
なにか心当たりがあるわけでもないのに、怒っているのなら話してくれと理由を聞いてくれる。
こんな優しい人をがっかりさせたくない。
でもこれは、彼の問題でもあるわけで、黙っているわけにはいかない。
「その」
「うん」
口を開いたものの言葉は喉に詰まってなかなか出てこない。
けれど海星さんは辛抱強く待ってくれていた。
「せ、……生理が、きて」
「うん?」
なにを言われているのかわかっていないのか、海星さんはそのまま考え込んでいる。
少ししてなぜか突然、抱き締められた。
「あの……」
「ごめん」
唐突に謝られ、わけがわからない。
「俺は花音に、酷く重いプレッシャーを与えていたんだな」
彼の声は後悔に染まっていた。
「妊娠できなくて申し訳ない、とか考えていたんだろ?」
「……はい」
図星なだけに正直に頷いた。
「いいんだ、妊娠できなくたって。
子供は神様からの授かり物だ、こんなに簡単にできるとは思ってない」
「でも……」
海星さんは社長になりたいのだと言った。
その理由は尊敬できるものだったし、私も彼を絶対に社長にするのだと誓った。
なのに妊娠できなくてもいいと言われても戸惑ってしまう。
「なにがなんでも絶対に社長になりたいわけじゃない。
なれなかったらなれなかったで、どうやったら被害を最小限に抑えられるか考えればいいだけだ。
だからそんなに、花音が責任を感じる必要はない」
私を抱き締める彼の腕は優しい。
「そんな優しいこと言われたら、泣きそうになるじゃないですか」
出てきそうな涙を、鼻を啜って誤魔化す。
それでも私の声は鼻声になっていたが。
「そうか、すまん」
意外そうにまた、海星さんが謝る。
「私は海星さんが社長になるために、子供を産む道具です。
海星さんが社長になれなかったら、存在意義がないんです。
だからそんなこと言わないでくださいよ……」
私はそれだけの存在。
その役割があるから、海星さんに甘やかされる資格があるのだ。
なのに私の存在意義を否定するようなことを言わないでほしい。
「花音は道具なんかじゃない。
俺にとって大切な存在だ。
花音のご両親に言っただろ、花音を愛してる、って。
あの言葉に嘘偽りはない」
私を逃さないかのように、さらに彼の腕に力が入った。
「道具に愛してるなんて言わないでください」
「嫌だ。
花音は道具じゃない。
俺は花音を愛している」
抜け出そうと身を捩るが、彼は私を離してくれない。
「……愛してるなんて、嘘」
「花音?」
腕を緩め、海星さんは私の顔を見た。
「海星さんも都合のいいときだけそう言って、用済みになったら私を捨てるのでしょう?」
あっという間に彼の顔が悲しげに歪んでいく。
それを見て心が痛んだが、気づかないフリをした。
「そうそう簡単に心の傷は治らない、か。
まあ、そうだよな。
俺も似たようなもんだし」
淋しそうに彼が笑い、錐でも捻じ込まれたかのように胸が鋭く痛む。
「俺は花音を捨てたりしない。
俺はそれだけ花音を愛しているからな。
神に……いや。
花音に誓う」
海星さんの声はどこまでも真剣だ。
「もし、嘘だったときは……」
私の両手を取り、彼は自分の首を掴ませた。
「この手で、俺の息の根を止めてくれ。
憲司に、花音が罪に問われないように上手くやるように頼んでおく」
そうしろと言わんばかりに彼が私の手の上から自分の首を軽く絞める。
怖くなって慌てて振りほどいて手を離した。
「それで。
生理がきたんだっけ?
腹は痛くないか」
少しふざけるように海星さんが急に心配しだし、張り詰めていた空気が急に緩んだ。
「あ……。
えっと、はい」
「少しでもリラックスできるようにホットミルクでも淹れてやるよ。
牛乳、あったよな?
いやー、花音が一緒に住むようになっていろいろ入れてもらえるようになって、冷蔵庫も本望だよな」
謎な台詞を吐きながら海星さんは立ち上がってキッチンへ消えていった。
「……はぁーっ」
ひとりになり、腰が抜けたかのようにぐったりと背もたれにもたれかかる。
さっきのはいったい、なんだったんだろう?
嘘だったら殺してくれだとか。
あれが本当だとしたら、愛が重すぎる。
「……愛してる、か」
海星さんが私を捨てたりしないって本当はわかっている。
でも、彼の手を取るのが怖い。
彼を好きになってしまったら次、捨てられたときに立ち直れなくなる。
それでなくてもこの結婚は、彼が社長になるために子供を産むのに付随したものだ。
――もし、一士本部長の奥様が私より先に妊娠し、海星さんが社長になれなかったら?
それこそ私は用済みだ。
だからこそ、素直に彼の気持ちを受け入れられない――。
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